とにかく攻め続けた星野陸也選手の関西オープン

プロキャディが語る! 2019シーズン熱戦エピソード /出口慎一郎編

2020/06/24 ゴルフサプリ編集部



ツアーも開幕を迎え、新型コロナウイルスによる“ゴルフ自粛生活”が、ようやく終わりを告げた? と思える今日この頃。だが、試合はまだ少なく、元気のないゴルフファンに少しでも楽しんでいただきたい! そして、相次ぐ大会中止によって活躍の場が減少しているプロキャディの皆さんに少しでも露出できる場を創造したいという考えからスタートしたこの企画。

男女ゴルフツアー・2019年シーズンにおいて、プロキャディたちが厳選した“熱戦エピソード”や裏話などを臨場感たっぷりにお届けします!

今回は出口慎一郎キャディが登場。2019年シーズンは星野陸也選手やチャン・キム選手のバッグを担いでいた。17年にメンタルトレーナーの資格を取得し、選手たちをメンタル面からもサポートしている。19年に心を動かされた試合は一つではなかったようだが、どんな話が飛び出すか?!

まずは星野陸也選手のキャディとして、参戦した5月末の「関西オープンゴルフ選手権競技」。最終日、トップとは5打差、最終組の一つ前でラウンドした星野選手は、9バーディ・ノーボギーの9アンダーでラウンド。だが、最終ホールで同組の大槻智春選手に並ばれ、勝負はプレーオフへ。

「大槻選手と18番、389ヤードの短いパー4でのプレーオフでした。距離もないし、残り100ヤード地点は広いので、ピン位置から考えても、レイアップという選択肢もあったのに、両選手とも『レイアップしたら気持ちで負けている』という感じで、どちらもドライバーでしか攻めないんですよ。あれはジリジリとした試合展開でしたね」と振り返る。

結局、プレーオフ4ホール目で、大槻選手がバーディを決めて、星野選手は敗退した。

「大槻選手も7バーディ・ノーボギーで回っていて、とにかくスコアの伸ばし合いの試合でした。プレーオフまで行けたのは思い出になりました。この日の星野選手は、とにかくパッティングが良くて、入って欲しいと思うようなバーディパットがきっちり入っていました。スタッツには出てこないけど、勝負どころのパッティングでいかにバーディが獲れているかという部分で、平均パットなどとは少し違う見えないスタッツが良かった印象ですね」

実は星野選手はこの試合の約1か月後の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」で、待望の2勝目を挙げたのだが、そのときは出口キャディではなかった。

「実は、僕の結婚式でその週はお休みしたんです(笑) 翌週の試合で星野選手から『出口さんの結婚式に花を添えたくて、優勝したいと思っていたんですが、その通りになりましたよ』なんて言ってくれました(笑)」

2人の信頼関係を感じさせる会話だ。出口キャディは2017年にメンタルトレーナーの資格を取得。その後、星野陸也のキャディをするようになったのだが、この資格を持っていたことで、星野選手の初優勝を引き寄せることもできたという。