8代目でも右肩上がり! なぜ『SM8』のツアー使用率は50%を超えたか?
スピン性能の先にある技術にボーケイウェッジの秘密があった!
はじめてボーケイウェッジが米国PGAツアーの使用率No.1を獲得したのは2004年。それ以来、15年連続で使用率No.1をキープしているだけでなく、ここ数年は使用率が右肩上がりで伸びている。19年には年間平均使用率は49%を超え、20年は過去最高使用率57%を記録した試合もあった。
ちなみに今年はボーケイウェッジ使用プロの約8割が『SM8』を使っている。なぜ、『SM8』になって、さらに使用率が伸びたのか? 今回はその秘密をボーケイ氏とともに仕事をするタイトリスト事業本部の黒野隼氏と、日本ツアーの現場でツアープロを担当する岩国誠之氏という日本のキーマン2人に聞いてみた。
安定したスピン性能のカギを握るのは溝が重要だと思っているゴルファーは多いし、実際にゴルフメーカーでも溝にこだわったウェッジを追求しているところもある。しかし、ボーケイ氏は溝だけでなくヘッド重心にも着眼した。
黒野「スピン性能と言うと、すぐに溝の話になります。もちろん、ボーケイウェッジでもロフト別に溝の幅を変えるなど独自の設計でスピン性能を高めていますが、それだけではありません。選手がスピンをかけるイメージが『切る』から『乗せる』になったとき、着目したのが重心です」
フェースに乗る時間を長くしてインパクトを安定させるには、ヘッドの重心でボールをヒットすることが理想。ボーケイウェッジでは2016年の『SM6』から、ロフト別の重心設計にこだわってきた。18年モデルの『SM7』ではより打点位置とヘッドの重心が近くなるような重心を実現。そして20年モデルの『SM8』では、重心をフェースの前方にする浅重心化によって、インパクトでフェースがスクエアに戻ってきやすくなり、適正なインパクトロフトによってフェースに乗りやすくなっていた。『SM8』の開発段階では『SM7』のウェッジの前側に特殊なウェイトをつけて、浅重心をテストしていたようだ。