青木瀬令奈 ロングインタビュー|プレーヤーズ委員長に聞く 

「2020年、私がプレーヤーズ委員長に選ばれたのには意味があると思っています」

2020/12/25 ゴルフサプリ編集部



彼女がその場に現れただけで無機質な部屋に色彩が灯る。黄金世代、ミレニアム世代が席巻する女子プロゴルフ界にあって27歳の青木瀬令奈は「もう若くないですよ」と自嘲気味に微笑んだ。だが目の前にいるその人は若手とベテランの狭間の難しいポジションを颯爽と胸を張って歩んでいるように見える。

GOLF TODAY本誌 No.582 158〜163ページより

――今年プレーヤーズ委員長に就任されたそうですね。

青木 はい。女子は選手会がなくてそのかわりがプレーヤーズ委員会。毎年10人前後で構成されますが、今回私は委員になるのも初めてでした。前任の有村智恵さんに「やってみない」といっていただき考えた末引き受けさせていただきました。主な活動はその年のスローガンを決めたり、ファンサービスのための缶バッジやステッカーのデザインを考えたり。あとは年に数回ミーティングを開いて選手の要望を協会側に伝え、協会の考えを選手に戻したり、選手と協会をつなぐ役割も担っています。

例年ならそこまでなのですが、今年はコロナの影響でまったく違う状況になってしまいました。会うこともできないので選手たちのグループラインを作って現状や要望などさまざまなアンケートを行って意見をまとめました。

――大変なときに委員長になられましたね。

青木 よく大変でしょ?といわれますけれど私は逆に今年自分がなった意味があると思っているのです。1つの理由としてはこれまで下部ツアーを経験してプレーヤーズ委員長になった選手がいなかったからです。歴代の方々はエリートが多くて下部ツアーでお金がない時代を過ごした方がいないので、それを経験した自分だからこそ新型コロナウイルスの影響で収入がなくなったとか、契約を切られそうだとか、そういう切実な事情に寄り添えるのかな、と。

実際に姉もまだプロテスト合格を目指していますし、いろいろな立場の選手のリアルな声をきちんと協会に伝えるのが私が選ばれた意味だと思っています。連絡も結構まめに取る方ですし、今年は私で良かったのではないかな(笑)。

――お金がないこともあった?

青木 プロテストに受かってからステップアップツアーに出ていた1、2年はお金がなかったですね。プロゴルファーになれば一生お金に困らないでしょ?といろいろな方に言われますが、実際そんなことはなくてボギーを打ったら「赤字だ!」って思っていました。金銭面で追い詰められてゴルフに響く悪循環。

アマチュアのときは失うものがないので、ボギーを打ってもバーディを獲ればいいや、と思っていました。でもプロになった瞬間〝生活がかかっている〞となったらボギー、イコール赤字みたいな。アマチュア時代から結果を出している選手にはスポンサーがつきますが、そうじゃなかったので来週のステップツアーに行くお金がない、どうしよう? ということもありました。困ったときは親に頼るしかないのですが、プロになったのに申し訳なくて肩身が狭い。いつも行く練習場まで家から車で15分なのですが往復のガソリン代さえもったいないと思った時期がありました(苦笑)。