【スライス特集】こうすれば飛ばないスライスが飛ばせるフェードに変わる!!
長年悩んでいて、どうしても治らなかったドライバーのスライス対策 PART3
コスリ球のスライスから脱却してフェードが打てるようになりたいと心底願うゴルファーは多い。そこで阿河徹コーチがフェードをマスターするコツを親切レッスン。球筋をちょっと変えるだけのマイナーチェンジではダメで、スイングを大改造するフルモデルチェンジの意識が大切だという。
◎解説
阿河 徹
あが・とおる
1976年生まれ、香川県出身。21歳で渡米し、サンディエゴゴルフアカデミーなどで最新スイング論を学ぶ。現在は藤本佳則、塩見好輝などツアープロのコーチをつとめる一方でアマチュアレッスンにも精力的に取り組む。
フックの練習で球をつかまえるコツを覚える
フェードはターゲットに向かってストレートか、わずかに左に飛び出して落ち際から緩やかに右に曲がる球筋をいう。球がつかまらないスライスと違って、フェードは球がしっかりつかまった球筋だ。つまりフックを打つ要素も含んでいるのだ。
スライスとフェードは根本的に違う球筋だ
スライスの曲がり幅を小さく抑えればフェードが打てるようになると思い込んでいるゴルファーは多いが、それは大きな間違い。スライスとフェードではスイングのメカニズムが根本から異なるということを最初に理解しておかないといけない。
スライスをフェードに変える第一歩|フック打ちの練習でインサイドアタック&フェースターンをマスターしよう
フェードを覚えるにはスライスと真逆の球を打つ練習が欠かせない
スライスが出てしまうという人は「ダウンスイングでクラブがアウトサイドから下りてしまう」と「フェースターンができない」の2つのマイナス要素から脱却できないでいます。フェードをマスターするには、このマイナス要素を先に消しておく必要があるのです。
そこで最初に取り組んで頂きたいのがフックを打つ練習です。フックを打つための条件は、インサイドアタックとフェースターンの2つ。クローズスタンスに構えることでクラブをインサイドから下ろしやすくなります。さらに顔を残してフェースを返しながら振り抜きましょう。目標の右側に打ち出して、球を左に曲げる意識をしっかり持ってスイングすることが大切です。
実際のフェードはフックほどインサイドから振り下ろさないですし、フェースターンもそんなに使いませんが、「球をつかまえる」感覚が不可欠です。スライスの曲がり幅を小さくしてフェードに近づけようという発想では球をつかまえる動きが身につかず、スライス病から逃れないのです。
スライスの元凶1|アウトサイドから下りる
スライスの元凶2|フェースターンができない
クラブをインサイドから下ろす
クラブと体が引き合うイメージ
クローズスタンスに構えて練習
スイングのレベルアップ練習|ボールポジションを変えてドローとフェードを打ち分ける
ボールの位置を変えればスイングの軌道も変わる
ドローとフェードのスイングは微妙な違いでしかない
フックを打つ練習でボールをしっかりつかまえる感覚を体感できたら、今度はスクエアに構えてフックの曲がり幅を少なくしてドローを打つ練習に移りましょう。スライスとフェードは根本から違う球筋ですが、フックとドローはスイングのメカニズム的にはよく似ていますから、フックが打てるようになればドローにも早く馴染めるでしょう。
それと並行してフェードを打つ練習にも取り組んでください。ドローとフェードの違いはボールの位置だけです。フェードは左カカト内側の前で、ドローは1個内側となります。ドローとフェードのスイングを比較するとフェースターンを少し入れるか、やや抑え気味に打つかのイメージが違うくらいで見た目にはほとんど変わりません。ボールの位置が少し変わればボールに対しての軌道も少し変わり、球筋が自然に変化するのです。「真っすぐな球を打とう」なんて考えなくて結構です。「こうすればドローっぽい球になるな」、「フェードっぽい球が打てるんだな」などと感じ取ってください。
ボールの位置でドローとフェードの軌道が少し変わる
ドローは腰の回転をセーブするイメージ
フェードは腰を回し続けるイメージ
フェードスイングの総仕上げ|シャットフェースをキープしつつ、フェースターンを抑えて打とう
シャットフェースのままフェースを返さずにフォロースルーへと出す
フェースが閉じたまま球をとらえるから飛距離が伸びる
フェードは方向の安定性が高く、距離も出ます。どうしてかというとスイング中に体の回転にいっさいブレーキをかけませんし、腕を回旋してフェースをターンさせることもないからです。ドローと比べると球の回転の横のネジレが小さく、ツアープロたちの感覚からすればそれだけストレートボールに近いのです。
ポイントはフェースを少しかぶせた「軽いシャットフェース」をキープし、フェースターンを抑えて打つことにあります。フェース面とボールが真正面からぶつかり合うようなぶ厚いインパクトが作れて、キャリーがぐんぐん伸びる球となるのです。
ツアープロたちを見ていてもフェードを持ち球にしている人は、ドローもきれいに打てます。でもドローが持ち球の人はフェードも打てるけれど、案外球が散らばりやすいもの。それだけフェードは質の高い球筋といえますし、真っすぐな球を打ちやすいという今どきのドライバーの特性にもよくマッチしていると思います。
顔とヘッドが一緒に動くというイメージ
フェードのスイングにはフェースターンはいらない
フェースをシャットにキープ
協力/新武蔵丘ゴルフコース
GOLF TODAY本誌 No.581 36〜43ページより
【シリーズ一覧】
●PART1 メカニズムを知ればスライスはカンタンに直る!
●PART2 原因別の対策ドリル
●PART3 スライスを味方につける!
●PART4 スライサー卒業はクラブ&ボール選びから!ギアで脱!スライス