スリクソンZX5|日米の共同開発で松山英樹の進化を超えたクラブに結実!
商品開発はドラマ!!!|今だから言える驚きのストーリー[第7回]
ゴルフメーカーの商品開発におけるドラマチックな業界裏話をメーカー勤務経験のフリーライター・嶋崎平人が語る連載企画。今回はスリクソンZX5が主役のストーリー。
GOLF TODAY本誌 No.590/68ページより
2021年のマスターズは松山英樹が日本人男子として初めてメジャー大会を制した大会として、永遠に語り継がれることは間違いない。それもゴルファーなら誰もが憧れるマスターズである。この優勝を多くの関係者が喜んだことは想像に難くない。
その中でも、松山とゴルフ用品契約を結んでいる住友ゴム工業の喜びはひとしおであろう。松山英樹がマスターズで優勝したときに握っていたドライバーは住友ゴム工業の「スリクソンZX5」のプロトタイプである。
市販品との違いはほとんどなく、フェースの色がシルバーであること、ヘッドのクラウンとフェースの境目のトウの研磨と塗装のラインへのこだわりがあるだけで、基本的形状は同じである。
優勝後のインタビューで優勝を決めた最終日のベストショットは? との問いに「18番のティショット」と振り返っている。ZX5でのティショットである。
2020年までは他社のドライバーを使用していたので、もし契約外のドライバーを使ってのメジャー制覇であれば、用品契約先としてうれしい反面、複雑な心境となったであろう。
しかし、使っていたのは自社のスリクソンであった。ここに至るまでの経緯を松山のクラブについて詳しい、住友ゴム工業・広報部の浅妻課長に伺った。浅妻課長は現在広報担当であるが、クラブのデザイナー業務にも従事したことがあり、松山のクラブの変遷について熟知されている。
松山英樹は中学生の頃からスリクソンユーザー。2008年発売の体積425㎤の小ぶりなヘッドのドライバー、「スリクソンZR30」ロフト8・5度を使っていた。
松山のこだわりは「シャフトからフェースにかけて真っすぐに見えるクラブが絶対条件です。要するにアイアンの見え方です。ドライバーもアイアンと同じイメージであることが重要で、ベースはスクエアに構えられるアイアンであること」