MAJESTY|高級感を演出して成功した! フルセット200万円のクラブ

商品開発はドラマ!!!|今だから言える驚きのストーリー[第12回]

2022/01/10 ゴルフサプリ編集部



ゴルフメーカーの商品開発におけるドラマチックな業界裏話をメーカー勤務経験のフリーライター・嶋崎平人が語る連載企画。今回はMAJESTYが主役のストーリー。
GOLF TODAY本誌 No.595/68ページより

「MAJESTY(マジェスティ)」ブランドが誕生したのは今から30年前の1991年である。当時のマルマン株式会社の創業20年記念モデルとして登場したブランドである。この「MAJESTY」の成り立ちについて、2018年にマルマン株式会社から社名変更し、このブランドを引き継ぎ、会社名にも冠しているマジェスティゴルフ株式会社マーケティング部岩井徹氏に話を伺った。

岩井氏は1992年入社で、生産技術を皮切りに各部門を経験し、このブランドの経緯にも詳しい。

創業20周年記念モデルのブランド名は高級感がある名前を検討した。その候補に、当時マルマンが持っていた商標「ビッグウイン」などもあったが、その中に威厳、荘厳の意味がある「MAJESTY」があった。

Your Majestyなどの形で、王・女王への尊称にも使われるが、海外から不敬に当たるので使わないでほしいとの意見もあり使われなかったブランド名だった。

ただ最高級の商品を目指すことで、当時の企画担当鍋島孝史氏が提案し、創業者の片山豊社長が最終的にゴーを出した。「MAJESTY」の誕生であった。ブランドの基本的コンセプトは
①圧倒的な飛距離
②世界最新の技術。

この20周年記念モデルのドライバーも当時としては大型の195cm3チタンヘッドで、シャフトもの軽量化技術を駆使したライムライト41シャフトを装着。世界最軽量の41gを実現している。またアイアンも表面処理にイオンプレーティングを初めて採用した。

ただ、「MAJESTY」と言えば現在はゴールドのイメージがあるが、このドライバーのヘッドはダーク系の玉虫色に光る塗料で塗装され、高級感を演出していた。この20周年記念モデルは、200セット限定のフルセット(ドライバー、3W、4W、5W、アイアン#3~SW)200万円で販売された。超高額セットではあったが、百貨店、専門店で、あっという間に完売したとのことだ。

ただ、40g台の軽量シャフトについては、静的な強度を満足するだけでなく、ロボットによる強度テストもクリアしなければならなかった。飛びのために軽さにはこだわり「また折れた、また折れた」と開発に苦労したが、改良に改良を重ねクリアできた。

このシャフト製法は当時日立化成と共同で開発したフィラメントワイディング製法で、強さと軽量化を実現。苦労して培ったシャフト軽量化技術の蓄積は、次のモデルに生かされたいった。

新モデルはウッドが1本15万円アイアンが10本でなんと60万円。それが売れた!