金谷拓実 ロングインタビュー

「努力は惜しみません! プロになったからにはこれが“仕事”ですから」

2021/02/04 ゴルフサプリ編集部



窓から東京タワーが見えるホテルの一室。スーパールーキー金谷拓実は、こちらが拍子抜けするほどの自然体で我々を迎えてくれた。食べかけのヨーグルト。テレビにはサッカーの映像。22歳の若者は自分の言葉で来し方から未来までを流暢に語り始めた。

GOLF TODAY本誌 No.584 134〜141ページより

――アマチュア世界ナンバー1からプロへ。すでにダンロップフェニックスで優勝されていますがプロになった心境は?

金谷 プロとアマは別の世界なので、やはりプロ入りしたときは不安がありました。ほかのスポーツもそうですけれど、たとえばプロ野球はドラフト1位で入団した選手がプロ3年目でクビになることもある。アマチュアではいいプレーができてもプロでうまくいくとは限らないので、僕もゼロからのスタートだと思っていました。

――デビュー戦の日本オープンでトップ10入り。いとも簡単に壁を乗り越えたように見えましたが。

金谷 どの試合でも優勝を目指して出るのは変わりません。日本オープンでは勝てなかったけれど、上位争いができてトップ10に入れたのは良かった。少し自信になりました。

――そしてプロ3戦目で優勝。

金谷 普段僕は初日が苦手なのですが、あの試合(ダンロップフェニックス)は初日からいいプレーができているな、という感触はありました。最終日の後半12番で石坂友宏くんがバーディ。その時点で3打差つけられたのですが、諦めずに15番、16番連続バーディ。16番で石坂くんのボギーで追いついて、17番も1メートル半をきっちり入れてパー。いい流れのままプレーオフに入ることができました。4ホール目まで(プレーオフ)いきましたけれど諦めずにプレーしました。

プロとしてすぐ勝ちたいというのがあったし、チャンスがあったら絶対に掴むぞ、勝つぞ、と思っていました。その試合だけではなく、常にベストを尽くしてチャンスを掴みたい。それだけを考えています。

――アマチュア時代もフィールドの厚い住友VISA太平洋マスターズに勝っているし、ご自身の強みを分析すると?

金谷 フェニックスもそうでしたけれど最後まで諦めずにプレーすることですね。諦めないから上位で戦えていると思うし、トップ10フィニッシュもそう。

技術面ではパッティングは自信があります。大学時代、といってもまだ数カ月ありますが、学校の施設が素晴らしかったので練習はかなりしていました。人よりもやっていたと思います。2019年秋に渡米してZOZOチャンピオンシップに出場したときも、自分がコースを出るのが一番最後というのが多かった気がします。練習しないで上手くはなれないと思うし、そこはやっぱり人よりもやりたいと。

―― ZOZOで海外の強豪と対戦してみてどうでした?

金谷 自分が思った以上にスコアが伸びるのは感じました。メジャーでもプレーしましたが、やはり上の世界でやることが大事だと思いました。そこで揉まれてこそ強くなれる。その世界をもっと経験したい、努力したいと改めて感じました。

僕は飛距離だけ伸ばそうとかショートゲームだけ底上げしたいというのは嫌で、全体的にトータルで上手くなりたいと思っています。そのための努力は惜しみません。だってプロになったからにはこれが〝仕事〞ですから。〝仕事〞って言葉、結構好きなんですよ。ゴルフはもちろん好きだけれど自分のなかの位置付けはやっぱり〝仕事〞。人より秀でないと置いていかれる世界だし、だからこそ練習もするし努力もする。そう思います。