松山英樹 は ツアーAD DI を長く愛用。ツアープロが同じシャフトを使う理由

ゴルフライターT島が切り込む!フィッティングショップだから分かるゴルフギア最新事情/第3回

2021/06/24 ゴルフサプリ編集部



大蔵ゴルフスタジオの代表でフィッターの市川氏。

大好評のゴルフライターのT島さんのコラム。今回のテーマはシャフト。新しいものの方が良いものだと思ってしまいがちですが……はたして真実は? 日常的にリシャフトをしているゴルファーは、特に必読です!

写真提供/大蔵ゴルフスタジオ

ゴルフライターのT島です。私のブログでもそうなのですが、最新モデルの、というだけで試打インプレッション系の記事はアクセスが上がります。大蔵ゴルフスタジオのYou Tubeでも、最新シャフト試打動画は人気です。

フィッターの市川氏によれば、そうした試打動画が公開されると常連のお客様から「アレは僕にはどうなの?」と電話があるそうです。その際、市川氏は『先日フィッティングした〇〇、調子良くないんですか?』と一応聞くそうです。だって、しっかりとフィッティングして、購入していただいたのですから、最新シャフトが気になるということは『何か問題が発生したのでは?』と思いますものね。

でも、お客様は「いやぁ最新だから飛ぶのか?!と思って」とのこと。

ゴルファーは誰もが飛ばしたいと思っていますから、最新シャフトに変えたならば、さらに飛距離アップするんじゃないか!!と妄想が膨らむ気持ち、とてもわかります。ですが、ちょっと冷静になってください。1000本以上のシャフトから“あなたにピッタリのシャフト”をフィッティングで見つけたのです。ということは?

最新シャフトだからといって“あなたにとって最善”な可能性ってかなり低いです。

さらに、こうした件についてフィッターの金子氏に聞くとYouTube撮影しながら「あっ、もしかしたらあの人はこのシャフト好きだろうな」とお客様の顔が浮かぶことがあるそうです。ただ、沢山の候補から選りすぐったシャフトを提案し、使っていただいているわけですから、最新シャフトがさらに良いのか? というと、なかなかそうはならないケースが多いようです。

ギア好きの友人が毎回最新モデルを購入し、話題のシャフトを入れて、あーでもないこーでもないとやっています。そんな友人から「アレは飛ぶの?」と毎回、相談を受けるのですが、面倒くさいので「松山英樹プロは最新シャフトを使っているかい?」と言ったことがあります。

松山英樹プロ、マスターズ優勝時は「グラファイトデザイン ツアーAD DI」というシャフトを使っていました。このシャフトは2009年の10月発売ですから、発売から12年近く経過しています。人気が続くので、外装のデザインは現在のツアーADと同じデザインに変更され、未だに人気です。

松山英樹プロが最新シャフトをテストしている姿は目撃されていますし、ツアーAD XCを使っていた時期もありましたが、いつの間にかDIに戻ってしまいます。

こんな話をすると「ってことはシャフトって進化していないの?」と言われることがあります。

そう思われるかもしれません。でも、シャフトの素材、製法は年々進化しています(キッパリ)

メーカーではシャフトを設計する際、「こういうゴルファーに使って欲しい」という性格付けをしています。そうです、対象ユーザーをハッキリさせないと魅力的なシャフトは出来上がりません。対象ユーザーを広げれば広げるほど、中途半端になってしまうからです。

今、ツアーで人気なのがフジクラのVENTUS(ベンタス)というシャフトですが、全ての選手がVENTUSを選んではいません。ですが、ツアープロの多くは「誰かが●●●に変えて飛ぶようになったっていう話を聞いたら、そのクラブやシャフトは気になるので試してみる」と言います。しかし、だからといって、そのクラブやシャフトを試合で使うことは少ないそうです。

というわけで、最新モデルというのは、ある特定のユーザーに対しては最善の選択になるかもしれないけど、あなたにとって最善となる可能性は非常に低いわけです。