ゴルフギアライターとフィッターが考える「シャフトを再利用」する問題点
ゴルフライターT島が切り込む!フィッティングショップだから分かるゴルフギア最新事情/第9回
大蔵ゴルフスタジオ(東京都世田谷区)の金子フィッター
最近増えているという中古のシャフトを購入したり、使用中のシャフトを再利用している人は必読。シャフトの使い回しについての問題点をゴルフライターT島氏が切り込みます。
写真提供/大蔵ゴルフスタジオ
ゴルフクラブってどんどん構造が複雑になって、高額になっていきます。皆さんプロゴルファーじゃありませんから、日々の生活の中で大切なお金を投資してクラブを購入するわけです。だから中古ショップが一般的となり、最近では中古のシャフトを扱う店も増えてきました。中古のシャフトを購入して再利用したり、今、使っているシャフトを再利用している人が増えてきました。金子フィッターがその危険性について教えてくれました。
「中古クラブ、僕も購入したことがあります。昔と違って買取の際にきっちりと計測したり、チェックする店が増えてきたので偽物を買わされたり、買った後トラブルになったりという話は聞かなくなりました。でも中古のシャフトはオススメできません」
中古のシャフト、最近はドライバーが可変スリーブとなり、簡単に取り外せたり、オークションなどで個人売買が盛んになったりで、多く流通するようになりました。でも金子フィッターが言うように、買ったは良いけど後で後悔することもあるようです。具体的にどういう点が問題なのですか?
「ヘッドと違って、シャフトは外見が問題なくても、実はダメージを受けている場合があるんです。シャフトを抜いて再利用する際に危険があります。シャフトは接着剤で、ヘッドや可変スリーブに固定されていますが、抜く際は接着剤をヒートガンというドライヤーの熱風がとても高くなるような機材を使って熱をかけて抜きます。この熱をかけることで、一番負担がかかり弱い先端部分の強度が落ちるのです」
シャフトメーカーさんも“再利用はしないでください”と明記していますよね。ということは、シャフトメーカーは、再利用は危険があると認識しているということでしょう。
「再利用ですが、ぶっちゃけ我々のようなプロが抜いて再利用すことは1回ぐらいなら大丈夫かと思います。でも中古のシャフトは外見を見ただけではなにもわからない。何度再利用したのか? どれくらいの技術を持った人がそれに関わったのか?全くわかりません。皆さん塗装に傷があるかないか?必要な長さを確保できるか?ばかり気にされていますが、そこよりも再利用の手順や、回数が問題です。再利用すると繊維の強度が落ちて、シャフトメーカーや我々が想定している強度が出なくなるのです。ゴルフクラブは、凶器にもなりますから、大蔵ゴルフスタジオでは中古のシャフトの持ち込みは一切お断りしています」。
今は自分でリシャフトする人も増えています。プロの手際の良さから比べると、やはり熱をかけすぎたり、手際が悪かったりと、再利用の際シャフトにかなりの負荷をかける。更に何度も再利用したら……考えるだけでもゾッとしますね。
「節約したい気持ちはわかりますが、“再利用したシャフトは別物”ぐらいに思っていただいたほうがいいかもしれませんよ」