寒くても安くプレーできる冬は最高? 若者ゴルファーの辞書にオフシーズンという言葉はない
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第2回
練習グリーン
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
撮影/篠原嗣典
「冬の間はゴルフはしないから……」
オールドゴルファーの何割かは、冬の期間はゴルフをお休みする慣習を採用しています。
他者に迷惑を掛けない限り、ゴルファーの選択は自由ですから、非難したり、されたりするのは野暮というものです。
雪が多いエリアでは、ゴルフコースは冬期クローズになりますから、ゴルフをしたくともできないと嘆いているゴルファーもいます。
彼らからすれば、真冬でもコースがクローズしないだけでも、十分にラッキーなことです。
とはいえ、せっかくのゴルフは、できるだけ良い環境でやりたいと考えるのは当たり前ですから、好き好んで真冬にゴルフをするという人は少ないのが現実。
冬はゴルフのオフシーズンということになるわけです。
しかし、2020年の終わり頃から、冬のオフシーズンの様子が少し変わってきました。都会から遠いコースは、冬になると来場者が少なくなり、ガラガラになるものですが、明らかに人が増えたのです。『コロナ禍で迎えた冬のオフシーズンなのに?』と関係者の疑問をスルーして、事実は小説より奇なり、でした。
そして、2021年の終わりは異常でした。秋のハイシーズンから始まって冬のオフシーズン、そして、年末年始まで、週末の満員御礼が途切れなかったのです。
約10年間、そのコースに通っていますが、こんなことは初めてでした。
真冬でもコースがゴルファーで溢れた最大の要因は、たくさんの若いゴルファーが誘い合って来場しているからです。コースに溢れるゴルファーの過半数は、若い人たちなのは、誰が見てもわかる現実だったのです。
僕は朝のゴルフコースで、ゴルファーの期待に溢れた笑顔が交差するシーンが大好きで、スタート時間にかかわらず、早めにコースに行くようにしています。
そういう中でも、冬の朝は特別なのです。
「寒いけどさぁ。安くゴルフできるのって、最高だよね」
というような声が、コースのあちらこちらで聞こえてきます。
その多くが若者たちです。何とも頼もしく、微笑ましい気持ちになります。