今週は長さの話をしていきましょう。
ゴルフクラブを振り切る、コントロールする、という意味では、この長さがというのが最重要項目だと考えています

前回、ライ角調整のお話の中で、ライ角が変わっただけでも、長さの感覚が変わることがあるということを書かせていただきましたが、それくらい微妙な長さの違いでも、人は感じることができます。

また、長さ=ヘッドスピードにも直結しますから、コースでは様々な距離を打ち分ける必要があるゴルフゲームでは、いろいろな長さのクラブをコースで使用する、ということが求められます。バッグの中に入っているゴルフクラブ14本が違う長さで入っているというのはそういう意味合いが強いです。

特に、ドライバーなどは、最大距離を求める方も少なくないため、長さにこだわる方も少なくないでしょう。もちろん、そういった考え方、クラブに対するアプローチも重要ですが、まずは、コントロールのしやすさを重点的に考えていただき、長さを決めて行っていただけると嬉しいです。では、その長さをどのように考えて行って、どのように調整していったらよいのか?そて、当方がフィッティング中にどのように調整することが多いのか、を書かせていただきます。

①パター

当方のフィッティングはパターから行っていきます。
「パッティングに型なし」、とは言いますが、同じ人間が扱うクラブの1本ですから、やはりそこにはその人なりの癖が出ます。もっといえば、凝縮されて出ていることが多いです。

そのため、このパッティングを見ることで、その日のフィッティングの内容そのものも変わってくることがあると考えて、重要視をしています。

そして、傾向的なものがあります。それは、パターが短すぎる人が多いということです。
これにはいろいろな要素があるので、一概には言えないのですが、一番は自信がなくなってくるとどんどん構えが小さくなってくるということだと考えています。
どうしても、入らないことが続いてくると、ボールを確実に打ちたいという意識が働きすぎてしまって、ボールに近付きすぎてしまう方が多いです。
その結果、窮屈なアドレスになってしまい、余計に手が動きにくくなって、ミスが出やすくなる、ということが起きていると考えています。
そういったケースの場合、まずは、手の通り道を確保してもらうためにも、長くしていただくことが少なくありません。長くすることが最終目的ではないのですが、それによって、正しい姿勢を思い出していただけるようになるということがあります。

そして、ここで気を付けなくてはいけないのが、長くしただけでは、振り感が重くなりすぎてしまい、ただの振りにくいパターになってしまいますから、同時にヘッドの重さを軽くしていくことをすることをオススメいたします。

それに、伴いライ角も変わってきますので、フラット方向にすることもあります。また、長くなることで振り遅れが出やすい方には、パターのシャフトも硬くすることもあります。

つまりは、こうやって適正な長さを考えて行くと、重さも、ライ角もそして、グリップもいろいろと考えて行かないとコントロールしやすいものにはなりにくい、ということがわかってきます。一度長くしてみて、クラブをコントロールしやすい姿勢(アドレス)をつかめると、その中での適正なクラブ長さというのが見えてくることが多いです。

パッティングの場合だけではなく、クラブと言うのは、シャフトも含めたグリップまでをしっかりとコントロールすることが重要になります。そのためには、支えている手が、そして腕がきちんと動くようにセットアップしなければならないでしょう。

パッティングは他のフルショットをするクラブとは大きく違って、より、その手、腕の動きが強調されますから、されに、その動きやすいセットアップというのが重要になります。そのための、長さをしっかりと確保する、というのがパターの長さに対する考え方となっていきます。

② ウェッジ

まずは、ウェッジの小さいストローク時のアプローチショットのことからお話をしていきます。大半の方が、短く持たれていることでしょう。もちろん、そのままお使いの方も少なくないですが、小さい距離を打つためには、短く持つ方が楽ですよね!

ウェッジというは、実際には他のクラブもそうなのですが、その中では比較的、こうやって長さを変えて使う方が多いクラブだと思います。つまり、それを見越して、クラブの長さを決めていくのが良いということになっていきます。
本当にその長さでしか使わない、ということであれば、その長さにしてしまうのが一番良いです。
ウェッジはヘッドが重いものが多いですし、フィッティング中にも短くすることが多いクラブの代表でもあります。

③ アイアン

アイアンも長さを変えてくクラブの一つでもあります。
アイアンというクラブは、1本だけで使うクラブではないので、それぞれを長くして距離を求めなくてはならないクラブではありません。例え、飛ばなくなってしまったとしても、違う番手で補えるのがアイアンでもあります。そのため、全体の振り感重視で調整をすることが多いです。

もともと、国産ブランドは今より短い長さが主流だったのですが、欧米のブランドが主流になってきた現在では、その長くなった長さで使っている方が多いです。

アイアンは、一発の距離よりも結果の安定性が重要視されますから、本来であれば、短い方が良いでしょう。例えば、1/4インチ変わるだけでも、その確実性は大きく変わります。劇的に変わる方も少なくないです。

短くすることでのデメリットで考えられるのが、ボールが飛ばなくなる、上がりにくくなるなどなのですが、もともと長すぎるクラブで苦労されている方が、短くすることで、振り切れるようになり、元の長さだった時より、飛距離が伸びて、球も上がるようになる方をたくさん見てきています。

アイアンの場合、上記しましたように、セット(4本~7本)で考えることが必要なので、特定の番手だけ短くするというのはあまりないのですが、上の番手、5番くらいになってくると、確実性が下がりやすいので、5番だけさらに短くして、6番との差を縮めるということをやることがあります

また、ここで、一番多いのが、バランス(スイングウエイト)を気にされる方でしょう。
この辺りは、全体のお話にもなりますので、のちほど書かせていただきます。

④ドライバー

長さの順で行くと、FWやUTのお話になりそうですが、ここはドライバーからお話をさせていただきます。当方のフィッティングでもこの順番で確認していきます。

それにはいくつかの理由があります。
1つは一番長いクラブを先に決めることによって、他のFWやUTの長さが決めやすいということです。それから、やはり、FWやUTよりもドライバーの方が確実にコースでの使用頻度が高いから、ということにもなります。

また、ドライバーに悩んでいる方も多数いらっしゃるので、そこから解決策を見出すことで、他のクラブも順ずることができるということもあります。

では、トライバーは、どうすることが多いかというと、これは、もう当読者の方なら一番気にされていることかと思いますが、短くすることがほとんどです!

飛距離に直結するドライバーの長さを短くする、ということには、抵抗感がある方が本当に多いです。ですが、なかなか、45インチ以上のドライバーを使いこなせている方は少ないと考えています。特に当方のフィッティングにお越しになる方のほとんどが、ドライバーが振り切れない、結果が出ないという状況ですので、この場合、バッサリと切ることが多いです。

一番短くした方で43.5インチという感じで、44インチくらいで落ち着く方が多いというのが印象です。

短くすることのメリットは以下のように考えています。

➢ バランス(スイングウエイト)が軽くなり、振り切れるようになる
➢ シャフトを硬く感じるようになり、振り遅れが減る
➢ 以上のことから、当てやすくなる

一方でデメリットもあります

➢ ヘッドスピードが遅くなる
➢ 球が上がりにくくなる

という感じでしょうか? ですが、せっかくのメリットを生かしたいので、デメリットが出ないように短くしていく方法を考えてみましょう。

ヘッドスピードが遅くなるのは、物理的に致し方のないところなのですが、ボールスピードに着目していくと、ある程度短くしていただいた方が確実に上がる方がいらっしゃいます。もちろん、長いクラブできちんと振れて芯に当たった時にはかないませんが、それでも、平均でいくと、かなりの方が、短い方がボールスピードが速くなる、ということになりがちです。

これには2つ要因があります。

一つは短くすることで芯に当たりやすくなるということです。

もう一つは、きちんと振りきることができるということです。

長いクラブで、芯に当てようとすると、実はスピードを落としてうまく合わせている方がほとんどです。そうなると、実際には当たっているのにボールスピードが上がらない、つまりはヘッドスピード自体が落ちている、という現象になります。

実は、最大距離を出すためには、長い方が有利なのですが、ヘッドスピードを出し切れる長さというのに限界があると考えていただけると嬉しいです。

その長さ、というもの見極めるのが重要になります。
よほど身長の高い方出ない限り、44インチ以上になる方は少ないと考えています。

球が上がらない部分は、ロフトで補いましょう。短くしていって、ロフト角の多いドライバーに変更していくのが良いと思います。44インチでロフト角12度くらいのドライバーで飛距離が伸びた、という方をたくさん見てきています

⑤ FW&UT

ドライバーの長さがある程度見えてくると、FWやUTの長さもおのずと決まってきます。FWはドライバーほど、振り切れないという方は少ないです。

ただし、FWはティアップをしないで打つ場合もありますから、そうなると短くすることでコントロールしやすくなる場合が多いです。地面から打つボールを拾いやすくなる、ということにつながりやすいです。

UTは比較的そのままの長さでも打てる方が多い印象です。
以前にも書きましたが、UTを持つ場面を考えると、比較的シビアな結果が求められない時に使うことが多いと考えています。そのため、全く振り切れない、という長さではない限り、使いこなすことができるクラブだと考えています。

ドライバーの時と同様に、短くすると球の上りが確保しにくくなります。その分を、やはりロフト角で補うのが良いでしょう。

シャフトで上がりやすいものを選んでしまうのは、また、本末転倒。

折角短くしたのに、また、振りにくいクラブに逆戻り、ということもあり得ますのでお気を付けください。

以上の様に、基本的には短くする、ということを念頭に置いてフィッティングをすることが多いです。

もちろん、長くする場合もあります。

それは以下のような場合になります。

➢ スコアメイクの上で他のクラブはほとんど問題なく、もう数ヤードでもドライバーが飛ぶことでスコアアップが望める、競技ゴルファーのドライバー
➢ どうしても短く持ってしまって打ち急ぎが出ることでミスをしやすいウェッジ

という感じです。
他のクラブで、どうしても長くしたくなったことは皆無と言っても良いでしょう。

そして、ここで、バランス(スイングウエイト)のお話に戻らせていただきます。スイングウエイトというのは、振り感の目安になる数値ですので、ここにこだわっている方も多いと思います。クラブは短くするとバランス(スイングウエイト)は軽くなりますから、それを鉛などで戻すように調整すべきでは?と考えることかと思います。

ここで一つ、原点に戻っていただきたいのですが、今回の長さ調整の目的が「長さを短くする前の状態では振りにくく、振り感を変えて振りやすくするため」ということです。

つまり、スイングウエイトを変えるということと目的は同じであり、振り感をよくするために、長さ変更した、ということになりますから、スイングウエイトを考える前に、短くしたまま振ってみる、ということをオススメいたします。


もちろん、数値通り、軽く感じますが、その軽く感じることで、今までのミスの要因である、振り遅れや、当てにくさが改善されているとしたら、それが一番良い重さ、ということになります。

鉛を貼ることで確実に振り感は変わります。振り感を変えるために、もっと良くするために貼っていくのであればよいのですが、単純にスイングウエイトを変えたい!ということを目的にしてしまうと、本末転倒になりやすいです。

スイングウエイトはあくまで結果であって、目的にしてしまうと混乱しやすいですから、お気を付けください。


そして、最後になってしまいますが、つながりのお話もさせてください。

ここが一番難しいですが、一番重要です。
長さの流れは、本当に大切で、いろいろな場面で、いろいろな距離を打ち分けるためには、沢山の長さ違いを入れていくことが合理的でしょう。

ワンレングスという考え方も良いアイデアではありますが、距離の打ち分けに有利であるとは言い切れません。そのため、そのワンレグスの様に長さの違うクラブの振り感をそろえる、ということが目標になってきます。

長さを全体的に短くしただけでも、振り感が良くなり、かなり確実性が上がることが多いので、それでも問題ないです。

ドライバーからアイアン、ウェッジまで、振り感をそろえるためには、そのシャフトの特性だったり、ヘッドの重さなども考慮していかなくてはなりません。

ただし、言えることは、短くしすぎて失敗する例は少ないということです。

また、どんなに短くしても振りにくいものはあります。その場合には、やはり、シャフトの選別が良くなかったと考えて行くべきでしょう。短く使ってみて初めて、シャフトの特性に気づく、ということもあります。

いきなり切るのは、抵抗感があると思いますが、短く持つことでその効果は実感できます。是非、お気楽にお試しいただき、短くできるものはやってみてください。

ご参考になれば幸いです。


ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。