重さが200gもあったヒッコリーシャフトの時代のヘッドは今よりも軽かった

「飛距離の階段」ナゼ作れない?―「バランス理論」の盲点|第2回

2022/04/21 ゴルフサプリ編集部 戸川 景



「スイングバランス理論」はシャフト重量が揃ったスチール時代のもののはず。ところがその基準は球聖ボビー・ジョーンズのヒッコリーシャフト製のクラブセットだという。グランドスラムを達成したクラブヘッドは、現代よりはるかに軽かったのでは。

シャフト重量自体の増減は、動的モーメントにはあまり影響がない。大きく影響するのは、レングス(長さ)とヘッド重量の増減だ。だから、アイアンのシャフトがスチール120gでもカーボン60gでも、レングスが変わらなければ飛距離はほとんど変わらない。

100年前、ヒッコリーシャフトはスチールより70g以上も重い約200gもあったが、それでもプレーには支障がなかった。番手ごとのレングスに対して、効率よく振れるヘッド重量を探っていた時代とも考えられる。

問題は、スチールシャフトのスタート地点での「スイングバランス」の反映にある。スポルディング社は1930年にグランドスラムを達成したボビー・ジョーンズのアイアンを基に「スイングバランス」を揃えたセットを発売。このバランス数値が「基準」となったわけだが、ジョーンズのアイアンはヒッコリーシャフト。スチールシャフトで同じバランス数値で組んだら、明らかにヘッドは重くなってしまったはずだ。