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「ワンレングス」で10ヤード刻みにできるわけがない本当の理由

「飛距離の階段」ナゼ作れない?―「バランス理論」の盲点|第3回

2022/05/01 ゴルフサプリ編集部 戸川 景

「飛距離の階段」ナゼ作れない?―「バランス理論」の盲点|第3回

ほぼ「同じ振り心地」の「フルショット」によって飛距離を打ち分けるのが「バランス理論」の目的のはず。
ブライソン・デシャンボーの採用で注目された「ワンレングス」なら、ほぼ「同じ振り心地」になる。
だが、飛距離の打ち分けに合理的とは言えないようだ。

写真/渡辺義孝

同一レングス=同一ヘッドスピードから生じる難題

「ワンレングス」の場合、各番手のパーツ重量、ヘッドの重心距離、ヘッドMOI(慣性モーメント)、重心アングルを揃えたら「振り心地」はほぼ同じになる。これらのスペックを揃えること自体難しいが、実現できたとしても「飛距離の階段」は何段作れるだろうか。

というのも、レングスと重量が同一なら、フルショットのヘッドスピードが変わらない。つまり、飛距離差はロフト角にしか頼れなくなるわけだ。ヘッドスピードが同じなら10~15ヤード刻みで打ち分けるのに、番手ごとのロフト角の差は3~5度では足りない。6~8度は必要になるはずだ。

さらに「ワンレングス」は打ちやすさを考えて37~38インチ(6、7番アイアンの長さ)に設定されやすいが、そうなると一般的にヘッドスピードは35~39m/sぐらい。ロフト角は26度以上ないと、弾道が低くなりすぎてキャリーが伸びなくなる。となると、「飛距離の階段」はせいぜい4~5段ぐらいしか作れないだろう。

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「打ち分け」にはスイングサイズの加減が絶対必要

実は、飛距離の打ち分けに最も必要なのは「ヘッドスピードの変化」だ。「振り心地が揃う」というのは、あくまで同一のリズムとテンポで振れること。同じ「振り心地」でヘッドスピードを変化させるには、クラブレングスを変えるほうが絶対に合理的と言える。

さらに言えば、レングスが変わるとアドレスの姿勢やサイズ感が変わり、振り幅も変わる。番手ごとに半インチ以上の差異が生じて、十分なヘッドスピードの違いが保たれるのだ。

とはいえ「ワンレングス」の発想はダメ、というわけではない。レングスを全番手で細かくフローさせるのではなく、2~3本ずつ同一レングスにして、その中でロフト角の差で飛距離差を作る、という考え方はアリだ。すでにプロギアの『05アイアン』などがそういったコンセプトで作られている。「へッドスピードの変化」と「ロフト角の違い」の組み合わせを現行のクラブセットよりシンプルするのは、非常に理にかなっていると思う。

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