優勝したジャスティン・トーマスのプレーの進化には目を見張るものあり!凄いハイレベルだった今年の全米プロ|レックス倉本

レックス倉本のGOLFアメリカンな話”ちょっと聞いて〜や‼︎”/第25回

2022/05/30 ゴルフサプリ編集部 レックス倉本



全米プロで優勝したジャスティン・トーマスは、2017年の同大会で松山英樹選手と優勝争いを繰り広げた時と比べてさらにショットの技術力とマネージメント力の質を増し、トーマスの進化がしっかりと見られた、素晴らしいプレー内容でした。今日はそのトーマスのプレーの進化と、メジャー大会をかなり面白くさせた20歳代の若手プレーヤーたちについて振り返ります。

大逆転で優勝したジャスティン・トーマスは、去年3月のザ・プレーヤーズ選手権でも逆転優勝をしましたが、その間に何度も勝つチャンスはあったんですが逆に勝ちきれなかったんです。ツアーで十何勝もしている選手で勝てそうな状況でもなかなか勝ちきれないほど難しいレベルにPGAツアーがなってきているということなんだと思います。

そのトーマスのプレーぶりを振り返ると、2017年のクエルホローで開催された全米プロで優勝した時にはフックボール一辺倒の選手だったのが、今回はもちろんフックボールを打ちたいときはフックも打つけど勝負球をフェード系に変えていろんなボールを打ち分けて勝つ選手に大変身しました。自分の引き出しを増やしてゴルフゲームの精度を磨いてきています。
逆に言うといろんなボールを打てるようになれば両サイドのボールを打つ精度を磨くことが要求されるので難しくなりますが、トーマスはこの1年間、そこのところに取り組んできたように私には見えます。

今回のような左右にドッグレッグするホールが多いサザンヒルズでボールを左右に打ち分けることを要求されるコースでは、特にトーマスの左右に打ち分けるショットの技術力が発揮されたんじゃないかと思います。
プレーオフで敗れたウィル・ザラトリスはフック系のボールで攻めるときはガンガン気持ちよくショットを放ちますが、スライスボールを要求されるときはちょっと苦労しながらプレーしていましたよね。今のトーマスはフック系よりもスライス系のボールの方が楽に攻められるんです。

例えばプレーオフで、13番パー5ではティショットはフック系のボールが要求されますが、トーマスはフックしきれず右のラフにいきました。一方のザラトリスはフック系のボールでフェアウェイに。17番パー4では左からの風にトーマスはフェードで攻めてフェアウェイ、ザラトリスはフック系のボールで左に曲がりきらず右の池ギリギリに。18番もティショットでフェードが求められるのですがトーマスは左からフェードで楽にフェアウェイに攻めていけました。

プレーオフの展開を見ていても持ち球によって攻めやすいホール、攻めにくいホールがあったのがわかりますし、72ホールを見てもそんな綾があったと思います。今、ボールは飛ぶけれど曲がりづらい時代。そんな中、すごくハイレベルなトーナメントで、ボールのスピンコントロールとボールを曲げる技術でもって選手たちがしのぎを削る様は見ていてホント面白いですね。