清々しくて心も洗われちゃう? 早朝ゴルフは三打の得なのです
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第24回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
撮影/篠原嗣典
夏至も過ぎて、夏ゴルフの季節が到来しています。
汗が噴き出るシーンでゴルフをするのが最高だというゴルファーにとっては、シーズンインです。
しかし、ゴルファーによっては、夏シーズンはゴルフをお休みする人もいます。猛暑の中でゴルフをして、熱中症で倒れたりすれば、まさに、本末転倒で、命がけでゴルフをする危険は冒さない、ということなのです。
それも一つの正解です。
令和の時代。年々、夏は暑くなり続けています。夏日、真夏日、そして、最高気温が35℃以上の猛暑日という言葉も生まれました。
ゴルフも、その時代に合わせて進化しているのです。
早朝の涼しい内にプレーをしてしまう早朝ゴルフは、夏ゴルフの様々な問題を解決してくれます。現在では、多くのコースで行われている夏の風物詩です。
早朝ゴルフといっても、いくつかの種類があります。
日の出と共に4時台にスタートする日の出ゴルフ。
5時、または6時台にスタートする早朝ゴルフ。
アリーバードと呼ぶコースもありますし、サマータイムスタートと呼ぶコースもあります。
一般的なスタート枠の8時までにハーフを折り返せば、スルーラウンドで18ホールを一気に回ることが可能です。
クラブハウスがオープンしていない時間帯は、シューズなどは車で履き替えて、キャディマスター室まで自分でバッグを持っていき、前払いで料金を払ったりもします。
素早くプレーすることができるゴルファーにとって、このシステムは最高だったりもするのです。
実は、昭和の時代から、河川敷のコースを中心に早朝ゴルフは実施されていました。
今と違うのは、ハーフの9ホールプレーだったことです。
諸説ありますが、河川敷のコースの早朝プレーは、ドロボウゴルフの対策だったという説があります。
昭和50年代に、ゴルフの大衆化が始まります。情けない話ですが、日の出と共に、コースの途中の脇道などからコースに進入して、無許可で数ホールをプレーする通称ドロボウゴルフの横行に、ゴルフコースは悩まされていました。
河川敷のコースは、国有地の河川を借りて営業しているので、どこからでも出入りできてしまいますから、特に深刻だったのです。早朝ゴルフを受け付けることで、ドロボウゴルフを阻止する対策になったというわけです。
一般のコースが、早朝ゴルフを開始したのは平成になって、だいぶ経った頃でした。
外資ファンドは、日本の多くのゴルフコースを買い叩きました。彼らは、経営権を握ったコースで、合理的なゴルフコース経営を導入したのです。
その一つが、サマータイムを導入したアーリーバードです。夏場にプレーできる時間が早朝にあるのだから、それも使い切るのがビジネスだと日本中に知らしめたのです。
最初は、話のネタに、ちょっとやってみるか、と挑戦したゴルファーの中に、「コレは良いぞ」とメリットを見つけたゴルファーたちがいました。僕もその一人でした。
少しずつですが、早朝ゴルフはファンを獲得して、広がっていき、現在に至るのです。