PGAツアーのLGBTへの理解はどう変わっていくのか
佐渡充高のテレビでは語れなかったPGAツアー
レインボー・ゴルフ協会主催の競技会に出場したゲイゴルファーたち。メンバーの夢82年創設LGBTの五輪であるゲイゲームズ出場。ゴルフは02年豪州シドニー大会から種目に加わった。今年11月の香港大会はコロナ禍で来年に延期。2026年はスペインのバレンシア大会で世界各地の著名コースが舞台だ。
ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。
GOLF TODAY本誌 No.601/123ページより
米国プロゴルフ協会は昨夏PGAインパクトと題しダイバーシティ&インクルージョン(多様性&受容)を推し進めると発表。PGAツアーも2010年からアフリカ系やマイノリティ選手の育成ツアーをスタートするなど成果をあげる一方、LGBTに関しては個人的事項のためか大きな変化は感じられなかった。が、今年3月キャディのトッド・モントーヤのゲイ公表が一石を投じようとしている。
PGAツアーで僕が初めて「ゲイ」という言葉に接したのは93年だった。実力に加え朗らかな性格で宴会部長といわれた人気選手ピーター・ジェイコブセン(7勝、シニアメジャー2勝68歳)がハーバータウンで大会前に行った自著出版の発表会見だった。終盤、神妙な表情に変わり「弟ポールはゲイだった。長く薬物依存とエイズで闘病し32歳の若さで他界。兄として誇りに思う」と目を潤ませた。記者たちはジェイコブセンの笑顔の裏にあった悲しい出来事に衝撃を受けたが、唐突にでた「ゲイ」という言葉に複雑な反応。当時のPGAツアーはLGBTとは隔たった世界だった。