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「ギャンブルで約52億円以上を失った」フィル・ミケルソン活躍の原動力とは

佐渡充高のテレビでは語れなかったPGAツアー

2022/08/06 ゴルフサプリ編集部

フィル・ミケルソン

アマチュア(大学生時代)91年にPGAツアー初優勝で両親歓喜! 卒業後の翌年にプロ転向。 ヒュー・グラント似のハンサム選手と話題になり、94年にはTV版スーパーマンシリーズでクラーク・ケントのゴルフコーチ役として俳優デビューも果たした。

ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。

GOLF TODAY本誌 No.602/115ページより

フィル・ミケルソンの衝撃的な伝記

今春出版されたアラン・シプナック著のフィル・ミケルソン伝記(非公認)の中に「2014年までの4年間にギャンブルで4000万ドル(約52億円)以上を失っていた」と記されている。額面に驚きはしたが彼の収入を考えれば相応の額なのだろう。

ミケルソンのギャンブル好きはPGAツアー入り直後から知られている。独身の頃、母メアリーが心配のあまり「ラスベガス行きはやめなさい!」と厳命、しばらくバカラを封印。が、スポーツベットはエスカレート!居間だけでなく寝室にまでテレビ6台を設置し大好きなNFL(フットボール)中継を同時観戦し勝負の行方を楽しむように。
ゴルフの成功で巨額の収入を得ると再びラスベガスのVIPルームへ出かけるようになった。

勝負に挑み続けるフィル・ミケルソン

ゴルフ場

僕の記憶に残るギャンブル名勝負は2001年のこと。NFLバルティモア・ラベンズに2万ドルを賭けスーパーボールに勝利!オッズは22対1だった。同年MLBワールドシリーズでアリゾナ・ダイアモンドバックスに4万ドル賭けワールドシリーズ優勝!オッズは15対1などハイリスクの賭けを次々に的中。試合会場でも賭けずにいられず、同年8月NEC招待最終日にコース内で選手仲間にもちかけた。

ミケルソンはホールアウト後にM・ウィア、D・トムズ、S・シンクとテーブルを囲みテレビでウッズとフューリックのプレーオフを見ていた。1ホール目フューリックがバンカーに打ち込んだのを見て「次のショットが入るか賭けよう。僕は入る方に20ドル、倍率は25倍」。ウィアだけが応じ、フューリックが劇的に決め、ミケルソンが500ドルを獲得。が、ツアーは試合会場内での賭け事禁止で2人に罰金が課せられた。
 
03年夏には投手(右投)としてデトロイト・タイガース3Aのトライアウト挑戦前の練習でプロを相手に「ポケットにあった300ドルを出しホームランを放った選手に進呈」などエピソードは多い。
かつて母メアリーから「とても不器用な子だった」と意外な話しを聞いたことがある。あらゆるスポーツに親しみ勉学も高校時代の成績は全米トップクラス。大学生(アマ)でツアー初優勝を飾り、史上最年長50歳でメジャー6勝目、通算45勝。

テクニックも抜群でコンクリートのカート道やギャラリースタンドからアプローチ、急斜面から後方ショットなど天才的スキル、林から上空の極小空間を抜くなど数々の独創ショットに成功!集中力マックス時の獲物を射るような瞳は怖いほどだ。
すべては不器用であるがゆえ、途方もない努力と常識打破の発想と工夫によるもの。30年以上のキャリアをハイレベルで維持する活力と原動力は、ギャンブルという強烈な刺激なのかもしれない。新ツアー挑戦の選択も賭けと冒険と言える。

フィル・ミケルソン氏の華麗なる一族

フィル・ミケルソン一族

朗らかでゴルフ好きの父フィルSr.は米海軍の戦闘機パイロットを経て民間機の機長を長く務めた。
母メアリーは老人介護の正看護師として活躍の傍ら01年シニア五輪でバスケットボールの金メダリスト、テコンドー有段者のアスリート。
姉ティナはゴルフインストラクター。弟ティムは大学ゴルフ部ヘッドコーチ時代にJラームをリクルート、現在は兄の専属キャディ。

佐渡充高

●文/佐渡充高
さど・みつたか
上智大学法学部卒業。1985年に渡米し、USPGAツアーを中心に世界のゴルフを取材。NHKゴルフ解説者。


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