夏のグリーンが重いなら、冬のグリーンは軽い?グリーンの謎を追え!
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第29回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
撮影/篠原嗣典
「グリーンに出ようか」
なんて言う通なオールドゴルファーは、ほぼ絶滅してしまいましたが……
19世紀の中頃まで、コース全体のことをグリーンと呼んでいました。
19世紀の初めに進化した芝刈り機が実用化されるまで、フェアウェイは、ゴルフコースにはなかったのです。全てはグリーンだった、というわけです。
芝刈り機が進化していく中で、コースのレイアウトも生まれて、用具の進化も重なって、ゴルフは一気に近代化していきます。
21世紀になった現在、グリーンは特別な場所です。
「グリーンは、ゴルフコースの顔なのだ!」
と初心者の頃に教えられたります。
顔というのは、そのコースの管理状態を象徴する場所であり、ホールの最後に同伴ゴルファーたちが再集合する場所であり、大切にしなければならない場所であるというように、複数の意味が融合しているのです。
グリーン周りの少し長めに芝生が刈ってあるエリアをカラーと呼びます。これは、グリーンを顔に見立てて、襟という訳なのです。
用語上でも、グリーンは、まさに、顔そのものなのです。
ワングリーンのゴルフコースであれば、18個の顔があり、2グリーンのコースなら36個の顔があります。
練習グリーンも数えれば、もっと数は増えます。
基本的には、人は顔を見て、その人を認知します。
更に、人は、顔を洗いますし、男性はひげを剃りしますし、女性はお化粧したりします。
顔に泥を塗るなんてことは、ないに超したことはありません。
そういう意味で、グリーンも一つ一つに個性があり、それでいてメンテナンスは全て同じ仕上がりが求められて、顔を洗うように水をやり、ひげを剃るように芝生を刈り、化粧をするように作業もするのです。
古今東西、グリーンの印象で、そのゴルフコースの評価は大きく変わります。
そういうところまで含めて、グリーンはゴルフコースの顔なのです。