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夏のグリーンが重いなら、冬のグリーンは軽い?グリーンの謎を追え!

ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第29回

2022/07/31 ゴルフサプリ編集部 篠原嗣典

グリーン

ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。

撮影/篠原嗣典

グリーンはゴルフコースの顔

「グリーンに出ようか」
なんて言う通なオールドゴルファーは、ほぼ絶滅してしまいましたが……
19世紀の中頃まで、コース全体のことをグリーンと呼んでいました。

19世紀の初めに進化した芝刈り機が実用化されるまで、フェアウェイは、ゴルフコースにはなかったのです。全てはグリーンだった、というわけです。

芝刈り機が進化していく中で、コースのレイアウトも生まれて、用具の進化も重なって、ゴルフは一気に近代化していきます。

21世紀になった現在、グリーンは特別な場所です。
「グリーンは、ゴルフコースの顔なのだ!」
と初心者の頃に教えられたります。
顔というのは、そのコースの管理状態を象徴する場所であり、ホールの最後に同伴ゴルファーたちが再集合する場所であり、大切にしなければならない場所であるというように、複数の意味が融合しているのです。

グリーン周りの少し長めに芝生が刈ってあるエリアをカラーと呼びます。これは、グリーンを顔に見立てて、襟という訳なのです。
用語上でも、グリーンは、まさに、顔そのものなのです。

ワングリーンのゴルフコースであれば、18個の顔があり、2グリーンのコースなら36個の顔があります。
練習グリーンも数えれば、もっと数は増えます。

基本的には、人は顔を見て、その人を認知します。
更に、人は、顔を洗いますし、男性はひげを剃りしますし、女性はお化粧したりします。
顔に泥を塗るなんてことは、ないに超したことはありません。

そういう意味で、グリーンも一つ一つに個性があり、それでいてメンテナンスは全て同じ仕上がりが求められて、顔を洗うように水をやり、ひげを剃るように芝生を刈り、化粧をするように作業もするのです。

古今東西、グリーンの印象で、そのゴルフコースの評価は大きく変わります。
そういうところまで含めて、グリーンはゴルフコースの顔なのです。

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「今日のグリーンは重くて、ショートばかりだよ」
なんていう文句というか、エクスキューズというか、ゴルファーの常套句だったりします。

初心者にとっては「重い」という表現は、不思議なものです。
良く転がることは、普通に「速い」と表現します。決して、「軽い」とは言いません。

この不思議な言葉の違いは、「速いグリーン」が褒め言葉であることがわかると解決できます。

つまり、「遅いグリーン」は、褒め言葉の逆で、悪口というか、ネガティブな強い表現になってしまうわけです。悪い言葉をそのまま使うのは、大人げないと考えた先人ゴルファーたちの配慮として広まったのが「重いグリーン」なのです。

そもそも、速くとも、遅くとも、それにアジャストしてパットするのがゴルフというゲームで、ラインの曲がりと同じぐらいに距離感というのは「読み」としてゴルファーの腕前の一部なのです。
本当の上級者は、好き嫌いはあったとしても、グリーンの転がる速度に文句を言うケースはありません。
ショートしても、オーバーしても、全てはゴルファーの責任だからです。

グリーンはゴルフコースの顔ですが、一般的なゴルファーには、どんな顔が良いのかはわかりづらいのも現実です。最もわかりやすいのが、転がる速度です。スムーズに転がる速度であれば、ある程度ゴルフをしていれば体感できます。

20世紀の終盤から、スピードの戦いが始まりました。
その頃、スティンプメーターという機器で測った速度は(数値が大きいほど速い)、8フィートでもかなり速いグリーンでした。
当時の日本では、速度を芝生の刈高で表記するのが一般的で、「今日のグリーンは2.5ミリのダブルカットだってよ」なんて会話が練習グリーンで交わされたものです。これは、刈高が2.5ミリで、2度刈りしたという意味です。

約40年間。世紀をまたいで、スピードの戦いは続いています。
現在では、刈高で速度を表すなんて馬鹿馬鹿しいというのが常識になっていて、かなり速いグリーンでも刈高4ミリ程度です。でも、8フィートというと、かなり重いグリーンになってしまいました。
9.5フィートを越えると、速いと言われるのが、現代の基準になっています。

色々な技術革新を経て、グリーンのスピードは20世紀末から比較しても、2割は速くなっていますし、ツアーのグリーンは、4割速くなっているグリーンもあります。

速いグリーンは良いグリーンだというわかりやすさだけを追い求める時代は、もう終わりにしようという賢者たちもたくさんいます。
設計段階で、9.5フィートを越える転がりを想定していない古いグリーンでは、転がりすぎて、ゴルフの面白さが削られているという問題が、あちこちで起きているからです。

奥深い話ですが、そのゴルフコースに合った一番面白くなるグリーンの速度があるのです。
ただ速ければ良い、というのは、幼稚で、乱暴な意見だということになりつつあります。

意外に知らないグリーンのあれやこれや

「7月にしては、今日のグリーンは転がるね」
ディープで渋い憧れのセリフです。

ベント芝などの洋芝の多くは、冬芝と分類されることもあります。高麗芝とかは夏芝です。
ワングリーンのコースの多くは、冬芝ですので、夏の高温多湿を乗り越えるのは大変なのです。だから、芝生を保護する意味で、一時的に葉の面積を広げるために、刈高を高くするのが一般的になっています。
結果として、夏場のグリーンは転がりが悪くなるのです。
その辺の事情を知っていれば、「重い!」と文句を言うよりも、「夏場だからね」と気遣いをするほうが正解ですし、上級ゴルファーと評価されるというわけです。

夏の強い日差しで、グリーンはピカピカして見えて、芝生も元気いっぱいに見えるけど、という人もいますが、冬芝の多くは、気温が20℃~25℃ぐらいなら成長しますが、それよりも高くなると成長しなくなってしまうのです。コースの管理スタッフは、水を撒いたり、ときには、大型の扇風機で風を送って、芝生を冷ましています。

確かに、グリーンがピカピカして、発色が良く見えることはありますが、これは薬剤を撒いてグリーンの芝生を染めた効果だったりするのです。
直射日光から逃れるための反射する効果がある溶剤を散布するのです。それが、ピカピカして見えるというわけです。
グリーンに落下したボールに緑の色が付くことがありますが、芝生の色だと勘違いしている人がいますが、これは染めた溶剤がボールに付いているのです。

冬芝のグリーンは、日本の極寒の冬も苦手なので、成長期間は、春と秋になります。
穴だらけのメンテナンスしたグリーンに文句を言う人もいますが、成長期だから短い期間で元に戻るから春と秋に行われるのです。色々な意味と効果があるのですけれど、あのようなメンテナンスを経て、転がりの良いグリーンが維持できることは間違いありません。
大らかな気持ちで、メンテナンス中のグリーンの運不運を楽しもう、と考えるのが正解です。

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話を戻しますが、夏場はグリーンにとって一番苦しい季節です。
酷い猛暑が続けば、所々がハゲたグリーンになってしまいます。こうなると、完全に復旧出来るのは半年以上かかります。

ゴルファーにできることは、ひたすらいたわることだけです。
スパイクを引きずったり、跳ねたり、走ったりしないという基本的なことが大事なのです。

先日も、グリーンのあちこちに、酷いスパイクマーク(スパイクの跡が傷のようになったもの)がありました。
前の組を観察していると、パットがはすれるたびに、「惜しい!」と身体を捻る動作をする人がいて、その位置に行くと、スパイクマークがありました。
本人にとっては、悪気のないクセなのでしょうけれど、身体をツイストすると、そのねじれが足に伝わって、グリップ力が強いシューズほど、グリーンが傷むのです。突起の形状の数の5ミリ程度の酷いささくれがグリーンに残っているのを放置すれば、その部分から芝生は枯れて、傷は広がります。

直後であれば、グリーンフォークで修正できます。傷は最小限で済みます。
僕は初心者に、底が平らなスニーカーで良いよ、と話したり、ソフトスパイクではなく、スパイクレスのシューズを薦めるのは、グリーンをいたわるのが目的なのです。

オールドゴルファーでも、普段、スリッパを引きずって歩くことが習慣になっていると、無意識にグリーンで引きずり傷を残してしまう例がけっこうたくさんあります。

グリーンは、ゴルフの最後の舞台です。自分の順番のときは、スポットライトを浴びる場所です。
先程、酷く傷めば修復に半年以上かかると書きましたが、管理スタッフは、毎日休まずに、早朝から夜まで、必死にメンテナンスをして、ゴルファーのためにグリーンを整えているのです。

自分の顔に泥を塗ることはしないのが当たり前です。
グリーンを顔だと考えれば、優しい気持ちになれるはずですし、結果として、パットも易しくなるものなのです。

篠原嗣典

篠原嗣典

ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。


ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】

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