自分を信じて練習を重ねる過程が、理想のゴルフをつくる
伝説のアマチュアゴルファー中部銀次郎の「言の葉」 vol.6
新連載、伝説のアマチュアゴルファー中部銀次郎の「言の葉」。
「プロより強いアマチュア」と呼ばれた中部銀次郎氏が遺した言葉は、未だに多くのゴルファーのバイブルとなっている。その言葉1つ1つを、皆さんにもお届けしていく。
GOLF TODAY本誌 No.606/68〜69ページより
本誌イラスト/北村公司
中部銀次郎さんが初めて日本アマチュア選手権に挑戦したのは1960年、下関西高校を卒業した大学浪人中のことだった。受験勉強中の気分転換のつもりで出場したが、いきなり予選トップでメダリストとなり、本選も勝ち上がって決勝に進出。いずれも史上最年少の快挙だったが、決勝では惜しくも後半の18ホールで逆転され敗れてしまった。
とはいえ、大の大人相手に18歳であわや優勝だっただけに、すぐにでも日本アマを制して日本一の座につくと思われていた。ところが翌年、甲南大学に入っての2度目の日本アマはメダリストになったもののまたもや決勝で敗れる。
この1年生の時は他の試合でもメダリストになるが優勝はできなかった。それもマッチプレーでは必ず2回戦で敗れ、「2回戦ボーイ」の汚名までいただいてしまった。
意を決した2年生の時に遂に日本アマを制する。3度目の正直だったが、これは廣野ゴルフ倶楽部、石井哲雄プロからの助言が大きかった。「相手がグリーンに乗ったら、どこからでも一発で入れてくると思え」それまで中部さんは相手のパットを見つめることができなかった。入ったらどうしようという不安でいっぱいだったからだ。
しかし、そんなことでは勝つことは難しい。1対1のマッチプレーは精神力の勝負でもある。逃げたらお終いなのだ。石井プロはそうした中部さんの心の中を読んで、立ち向かう心構えを教えたのである。マッチプレーでの極意と言ってもいい。