ゴルフ界にも女性差別が近年まで残っていたことを知っていますか?

頑迷に続いた英名門クラブの「女人禁制」/最近のR&Aは女性ゴルファーの普及に努めているが…

2022/12/03 ゴルフサプリ編集部 小関洋一



今年の夏、全英女子オープン(正式名称:AIG女子オープン)がスコットランドのミュアフィールドで開催された際、「1744年のクラブ設立以来、273年もの間、女性の入会を拒んできたミュアフィールドが2017年に女性会員を認め、そして今回、初めて女子のトーナメントが行われることになった」といった文章を何度か目にしました。

古くから女王が君臨し、女性首相も珍しくないイギリスには「ジェンダー平等の社会」というイメージがあります。しかし、全英オープンが開かれる名門クラブにはつい最近まで「女人禁制」の会則を掲げるところが複数ありました。

“ゴルフの総本山”とも呼ばれるスコットランドのロイヤル&エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュースでさえ、2004年に全英オープンの主催やゴルフルールの統括といったユニバーサルな活動を別組織の「R&A」に委譲。その後も、しばらくは頑迷に「メンズクラブ制」を固持。2014年にようやく、女性に閉ざしていた扉を開放しました。

その後、翌15年にイングランドのロイヤル・セントジョージズ。さらに16年にロイヤル・トルーン(スコットランド)、そして17年にミュアフィールドと、名門クラブが次々と女性の入会を認めたのです。

人種差別は早くに撤廃したイギリスの名門クラブが、なぜ女性差別は近年まで残っていたのでしょう。当時のR&Aのチェアマン、ピーター・ドーソンは「ニューヨークタイムズ」のインタビューに、「女性排除は、一部の男性が好む生き方(ウェイ・オブ・ライフ)なのです」と答えています。

社会的公正を超えた人生観の問題で、簡単には変えられなかったということでしょう。1980年代から全英オープンを取材してきた記者によれば、当時はクラブハウスの玄関で「No dogs or women allowed」(犬も、女性もお断り)と描かれた看板を目にしたそうです。

「ブラックユーモア」としても、今では考えられませんね