キャディバッグの寿命は?どう処分するのが正しいの?キャディバッグとのお別れ物語!

ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第56回

2023/02/10 ゴルフサプリ編集部 篠原嗣典



ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。

写真提供/篠原嗣典

「キャディバッグに寿命はありますか?」この質問をよく耳にします。

キャディバッグは頑丈にできています。たくさんの重いクラブを運ぶための用具ですが、ラウンド中に壊れてしまったとき、最悪の場合プレーすることが不可能になるので気をつけなければいけません。

壊れるまで使おうとすれば、百年以上使用できるものも存在します。ただ注意すべきは、21世紀になって販売されているもののほうが、昔よりも寿命が短いものがあることです。

日本製も外国製も、20世紀まではできるだけ長く使ってもらおうというポリシーで作られているキャディバッグが多くありました。現在のものよりも素材技術は劣っていて重かったりしますが、耐久性は優れているものがたくさんあります。

その背景には、良いものを一生物のように大事に使うというゴルファーの文化もありました。

しかし21世紀になって、キャディバッグは耐久性よりも、安価であることと、軽いことが優先されるようになりました。日本ではバブルが弾け、ゴルフ用具が売れない時代に突入していたということもあって、キャディバッグは劣化しやすくなってしまったのです。

キャディバッグが壊れる原因は、芯と呼ばれる内側に入っている筒上の骨組みが曲がってしまったり、歪んだりすることがメインでした。
寿命の基準は、寄りかかることなく、バッグだけで立つことができないときだと言われました。その芯の筒が割れたり裂けたりすると筒の形を保てないものもあったので、それも寿命でした。
壊れなくとも、もう一つの寿命の要因があります。現在ではメインになっている、『劣化』です。

20世紀の中頃までキャディバッグの表面の素材は帆布系の生地か、本革でした。この頃の素材はかなり強く、現在でも十分に現役のものがあります。

その後、素材のメインは合成皮革になります。PVC(ポリ塩化ビニル)とPU(ポリウレタン)です。
軽くできることや、着色しやすく質感も多様に調整できることといったようにメリットが多かったのです。ただ残念ながら、このPVCやPUは経年劣化します。

使用状況によりますが、かなり大切に扱っても15年程度が限界だというのが常識になっています。早ければ数年で劣化してしまうものもあります。

素材の表面にヒビが入ってボロボロになってしまったり、ベタベタして剥がれやすくなるのが劣化による寿命です。