キャディバッグの寿命は?どう処分するのが正しいの?キャディバッグとのお別れ物語!
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第56回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
写真提供/篠原嗣典
まさに盲点?キャディバッグの寿命で迷惑ゴルファーにならないように注意!
「キャディバッグに寿命はありますか?」この質問をよく耳にします。
キャディバッグは頑丈にできています。たくさんの重いクラブを運ぶための用具ですが、ラウンド中に壊れてしまったとき、最悪の場合プレーすることが不可能になるので気をつけなければいけません。
壊れるまで使おうとすれば、百年以上使用できるものも存在します。ただ注意すべきは、21世紀になって販売されているもののほうが、昔よりも寿命が短いものがあることです。
日本製も外国製も、20世紀まではできるだけ長く使ってもらおうというポリシーで作られているキャディバッグが多くありました。現在のものよりも素材技術は劣っていて重かったりしますが、耐久性は優れているものがたくさんあります。
その背景には、良いものを一生物のように大事に使うというゴルファーの文化もありました。
しかし21世紀になって、キャディバッグは耐久性よりも、安価であることと、軽いことが優先されるようになりました。日本ではバブルが弾け、ゴルフ用具が売れない時代に突入していたということもあって、キャディバッグは劣化しやすくなってしまったのです。
キャディバッグが壊れる原因は、芯と呼ばれる内側に入っている筒上の骨組みが曲がってしまったり、歪んだりすることがメインでした。
寿命の基準は、寄りかかることなく、バッグだけで立つことができないときだと言われました。その芯の筒が割れたり裂けたりすると筒の形を保てないものもあったので、それも寿命でした。
壊れなくとも、もう一つの寿命の要因があります。現在ではメインになっている、『劣化』です。
20世紀の中頃までキャディバッグの表面の素材は帆布系の生地か、本革でした。この頃の素材はかなり強く、現在でも十分に現役のものがあります。
その後、素材のメインは合成皮革になります。PVC(ポリ塩化ビニル)とPU(ポリウレタン)です。
軽くできることや、着色しやすく質感も多様に調整できることといったようにメリットが多かったのです。ただ残念ながら、このPVCやPUは経年劣化します。
使用状況によりますが、かなり大切に扱っても15年程度が限界だというのが常識になっています。早ければ数年で劣化してしまうものもあります。
素材の表面にヒビが入ってボロボロになってしまったり、ベタベタして剥がれやすくなるのが劣化による寿命です。
あなたのキャディバッグはどうですか?
「いや。オレはそんなの気にしないから。まだまだ、壊れるまで使う」という人もいるのですが、キャディバッグを使うシーンを想像してみましょう。
まずは移動中、車のトランクに入れたり、後部のフラット部分に置くわけです。このとき、劣化した素材は汚れとして落ちるだけでは済まずに、シミになったりベトベトが取れなくなったりするのです。
自分の車なら良いかもしれませんが、乗せてもらった他人の車であれば、「ごめんなさい」の謝罪だけでは済まない可能性もあります。
プレーする際も、バッグは隣り合わせで並んで長時間固定されます。移動する際に擦れたりしますし、季節によっては高温になったりもします。
プレー後、バッグに見の覚えのない汚れがついていて、タオルで拭いても取れないとコースにクレームを入れる人がいますが、「お隣のキャディバッグが原因です、当事者同士で解決してください」という事件は頻繁ではないにしても、あちらこちらで起きています。
少しぐらい壊れていても、使えるキャディバッグを処分するのは嫌だという気持ちはわかります。とはいえ、それは誰にも迷惑をかけないから成り立つことを忘れてはなりません。
そんな悲劇に遭う前に自分のキャディバッグをよく観察して、少しでもその兆候があったらキャディバッグは交換するのが正解です。
キャディバッグは粗大ゴミとして処分するものだけれど、アナザーストーリーも知るべき!
僕の住んでいる東京都板橋区のゴミのルールでは、キャディバッグは粗大ゴミで、400円のシールを貼って出すものになっています。
ちなみにその中に、14本までのクラブを入れることができます。自治体によって違いはありますが、概ね、キャディバッグは粗大ゴミで処理するようになっています。
寿命が来たキャディバッグは、処分するしかありません。
粗大ゴミの手続きが面倒だったり処理代金がもったいない、という人には、ゴルフクラブの中古屋に持ち込んで処分してもらうという方法もあります。
何かを買ったり売ったりするついで、という礼儀を守る前提で処分をお願いすれば、0円で引き取ってくれるお店も多いです。
余談ですが、未使用の新品やそれに近いキャディバッグであれば、最近は大手中古チェーンで買い取りをしてくれたりもします。僕の経験だと3千円から5千円ぐらいが相場です。
ゴルフコンペの賞品などでキャディバッグをいただくことがありますが、最近はこのルートで現金化をしています。過去にプレミアがついているキャディバッグがあって、これは複数のお店に鑑定してもらって、最も高値だったところに買い取ってもらいました。
2万5千円でしたが、翌週8万円で売りに出されているのを見てネットオークションを確認したら、過去に9万円で落札されていました。損をした気分になりました(笑)
でも、使わずに倉庫で劣化させてしまうよりも、欲しい人の手元で愛でられたほうがバッグも幸せだろうと、自らに言い聞かせたのでした。
ウルトラCになりますが、分解して30センチ未満まで小さく裁断し、ゴミとして処分する方法もあります。実は一度だけこの方法に挑戦したことがありますが、キャディバッグは頑丈にできているので分解するのが大変で、かつ、部位によっては裁断するのにも苦労しました。
結論として、労力やかかる時間を考えると粗大ゴミのほうが安く済むと後悔したのです。
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セルフプレーでもキャディバッグ?カートバッグと呼ぼうという動きもある!
キャディバッグの歴史は実はそんなに古くはなく、一般化したのは19世紀末か20世紀初頭ではないか、という説が有力です。
アメリカには、キャディバッグだけしか展開していないメーカーがいくつもありますが、アメリカのゴルファーが使用するようになって、キャディバッグは世界中に広まっていったという歴史があります。
スコットランドで近代ゴルフが育っていく中、名人クラスでもゴルフクラブは7本程度でプレーしていたので、キャディはバッグを使わず、使わないクラブは脇に抱えて運んでいました。
シャフトがスチール製になったのと同時にクラブの大量生産が始まり、たくさんのクラブを持ち込んでゴルフをする人が出現。クラブの本数制限の必要性が高まり、14本と決まりました。そして20世紀の中頃、キャディバッグは現在の形になっていきます。
21世紀になって20数年が経過した現在、日本にはキャディ付きのゴルフは未経験、というゴルファーが過半数になったというデータもあるそうです。
だからというわけではないのですが、キャディバッグという名称をカートバッグという名称に変えようと提唱しているメーカーや団体があります。
バッグの寿命が来る前に、キャディバッグという名称とお別れするということがあるのかもしれません。
個人的にはキャディバッグという名称に思い入れもあるのと、カートバッグという名称が好きになれないので、そんな未来は嫌だなぁ、と朧気に考えたりしています。
「カートバッグというのは、ラウンド中に使う小さいバックのことでしょう?」という声も聞こえてきそうですが、あれはミニバッグと呼んでいる割合が多いような気がします。
本当に小さな声で、下手くそバッグと呼ぶ人たちもいます(上手い人ほど使わない傾向が確実にあるからというのが語源)。
ミニバッグを禁止するコースが増えることを2023年のゴルフ業界予測で挙げている見識者もいます。実際に2023年から禁止したコースがあります。
使っている人は気が付かないのかもしれませんが、あの小さなバッグはコーススタッフを悩ませているのです。はぐれてしまうと誰のものかわからなかったり、移動中に壊れてしまったり、他の客のキャディバッグに傷をつけてしまう原因になったり、コースを傷つけていたり……。
話が逸れてしまいました。
キャディが触らずともキャディバッグで良いのです。ゴルフ規則ではラウンド中、プレーヤーにアドバイスできるのは原則としてキャディだけです。僕はお気に入りのキャディバッグを使っていますが、メンタル的に凹みそうになったり集中力が低下しそうになったとき、大好きなバッグが目に入ったことで立ち直ることがよくあります。
まさに、キャディとしてバッグが機能していることを感じる瞬間です。
だから、劣化してしまったお気に入りで馴染みのキャディバッグとお別れするときには、感謝してもしきれないほどで、感傷的になってしまいます。
お別れのとき泣かずに済むのは、新しいお気に入りのキャディバッグとの新しい物語が始まるワクワクがあるからなのですが、それはまた別のお話です。
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篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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