「すべてのショットでしっかりフィニッシュを決めれば、それだけでスコアが確実に5つはよくなりますよ」
伝説のアマチュアゴルファー中部銀次郎の「言の葉」vol.16
伝説のアマチュアゴルファー中部銀次郎の「言の葉」。
「プロより強いアマチュア」と呼ばれた中部銀次郎氏が遺した言葉は、未だに多くのゴルファーのバイブルとなっている。その言葉一つひとつを、皆さんにお届けしていく。
GOLF TODAY本誌 No.616/68〜69ページより
本誌イラスト/北村公司
中部銀次郎さんとプレーした人が言う。
「中部さんが言い訳するのを聞いたことがありません。惜しくもグリーンに乗らなかったとき、普通の人なら、なんか言いたくなりますよね。『ちょっと薄かったかな』とか『思った以上に風が吹いていたね』とか、『グリーンが固かった』なんて言ってしまうと思うんです。自分のショットは良かったのに、本当なら乗っていたけれどもという言い訳ですね。しかし、中部さんは何も言わない。表情一つ変えず、ボールが止まるまでフィニッシュを崩さずに見ているんです」
中部さんにそのことを聞いてみたことがある。中部さんは笑いながら言う。
「そうですか?私も人間ですから、いつもそうではないと思いますよ(笑)。でも、言い訳をしたからって、ショットの結果が良くなるわけではありませんよね。もちろん、グリーンに乗らなかった理由は考えます。自分の打ち方がまずかったのか、芯に当たっていなかったのかといった自分の問題。また、ライが思っていたのと違っていたとか、風を読み間違えたとか、突風が吹いたとか、グリーンが思った以上に固かったとか。