上原彩子がルールの処置を勘違いし、計68罰打を受けてツアー史上最多スコア141を記録…一体何が起こった?
重箱の隅、つつかせていただきます|第40回
スイング、ゴルフギア、ルールなどなど…。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。
Text by Hikaru Togawa
Illustration by リサオ
GOLF TODAY本誌 No.618/74ページより
こういった事例で忘れられないのは、2016年の伊藤園レディス。上原彩子が“リフト&クリーン”の処置を勘違いし、19回行って38罰打、15ホールで行ったため30罰打、計68罰打を受け、ツアー史上最多スコアとなる「141」を記録してしまったことだ。
雨でぬかるんだライから無罰でボールを拾い上げ、拭いてリプレースするのがローカルルールで適用された“リフト&クリーン”だったが、上原は慣れ親しんだUSツアーの“プリファードライ”と同様に“1クラブレングス以内にプレース”したのだ。
翌日、このことに気づいて申告したのは上原本人。おそらく同伴競技者では、気づかないぐらいの処置ミスだったはず。それでこの罰打はいかがなものかとも思うが、ここで教訓とすべきは“思い込みの怖さ”だろう。
ルールをしっかり覚えようとするほど「このルールの処置は、こうするはず」という“思い込み”〝に支配されやすい。吉田弓美子の失格も、同様の流れだったのではないだろうか。この件では、私もクラブ超過で失格はありえない、最大4罰打で済むはずでは、というのが“思い込み”だと分かり、大いに反省させられた。