2024年も注目のアイアン用カーボンシャフト!特徴は? どんなゴルファーに合うの?
吉本巧のゴルフギア教室 第3回
毎年たくさんの新しいギアがデビューするゴルフマーケットで自分に合った一品を選ぶのは至難の業。噂に流され手を出したら大失敗! という話もよく耳にする。安い買い物ではないだけに、セレクトミスは絶対避けたいところだ。こんな状況で役に立つのは正しい知識。道具はもちろんゴルフのテクニックについて正しく理解していれば惑わされない。ということで生まれた、ゴルフのメカニズムに精通したコーチ・吉本巧がギア目線から森羅万象を解説するこの企画。第3回はアイアン用カーボンシャフトについて。
写真/ゴルフサプリ編集部
ヘッドとの相性もあって、低重心のヘッドはカーボン、高重心ならスチールが向きます。マッスルバックとカーボンの組み合わせを目にしないのは相性がよくないからです。カーボンはよくしなるので、スイングで最終的に起こる「しなり返り」も大きくなります。しなり返るとヘッドは浮きやすいのですが、その状態で高重心ヘッドの打点にボールを当てるのは難しい。打点が下めにある低重心の方が当たりやすいので、ポケットキャビティやデカヘッドと相性がいいと言えます。加えてアマチュアの方はすくい打ちになりやすく、そうなると、よりヘッドが浮いて当たる。総じてカーボンはロフトを立てて当てにくいのです。ただ、ストロングロフトのアイアンなら幾分相殺されるので、ヘッドによってはカーボンシャフトでもイケるでしょう。
アマチュアゴルファーにとってたくさんのメリットがあるアイアン用カーボンシャフトですが、その割に普及していないのには、いくつかの理由があります。一つは種類がありすぎることです。前回お話ししたように、スチールには三大巨頭がありますが、カーボンにはなく今や乱立状態。いくらでも重量を決めて作れるため探せば絶対にドンピシャのものがあるのですが、融通がきくぶん多すぎで選びきれない。選択肢が多すぎるあまり沼になっていて、ある意味一番もったいない状態になっています。メーカーからしても、当たれば数が出るので売りたいカテゴリーだと思うんですけどね。
「カーボン=シニア」という思い込みも普及を妨げています。私もカーボンの方が明らかにショットデータがいいお客さんにすすめることがよくありますが「みんなに笑われるから」と踏み切れない人が多い。プライドの問題ですね。また、スチールに比べると重厚感がなく、打感も軽くなるので上級者は馴染めないようですが、これらも慣れで、気にしない人は何の問題もありません。
これは余談になりますが、もし先側がスチールと同じくらいしっかりしたカーボンシャフトができたら、男子プロも使うと思います。男子プロがカーボンを使わない一番の理由は先側が弱いこと。いくら元調子でも先側が動いて捻れるのが嫌なんです。その意味では先端がスチールの複合系シャフトはありだと思います。また、カーボンにはスチールシャフトにあるステップがありません。何でもステップは、ゴルフ界でトップ3に入るくらいの大発明ということ。ステップレスのスチールシャフトもありましたが、いつの間にか消えました。まあ、シャフトの中にステップがあって見えなかっただけらしいですが、いずれにしても先側が動きやすかった。トゥルーテンパーのプロジェクトXなどは、まだ好きなプロもいるようですが、もしかしたらこれが一番カーボンに近いスチールなのかもしれません。