表情を変えない選手は強い選手? 優勝争いに加わり続ける”常勝感”のある選手の条件とは?

戸川景の重箱の隅、つつかせていただきます|第47回

2024/07/11 ゴルフトゥデイ 編集部



スイング、ゴルフギア、ルールなどなど…。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。
Text by Hikaru Togawa Illustration by リサオ
GOLF TODAY本誌 No.625/74ページより

“常勝感”は、単に優勝回数を増やすだけでは生じない。常に優勝争いに加わり続けることがポイントになる。シェフラーの場合、エリートアマからプロ転向後、下部ツアーで年間王者に。レギュラーツアー昇格でルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたが、初優勝には2年かかっている。この、勝てなかった2年間に現在の強さの土台が出来上がったように感じる。

『荘子』の中に“木鶏に似たり”という物語がある。紀省子という人が王のために闘鶏を育て始め、約10日ごとに、もう戦わせていいかという王の問いに、3回ダメ出しをする。1回目は「空いばりをして闘争心があるからダメ」。2回目は「他の鶏の声や姿にいきり立つからダメ」。3回目は「まだ目を吊り上げ、力んで戦いたがるからダメ」。ようやく4回目にして「他の鶏が鳴いても顔色ひとつ変えなくなりました。まるで木で造った鶏のよう。仕上がりました」。その“木鶏”を見た他の鶏は、皆静かになり、こそこそ逃げ出したという話だ。

私はこの話を、50年以上前に発刊された『近代ゴルフ勝利の方程式』で知った。著者である金田武明は、その慧眼で日本ゴルフ界に多大な功績を残しているが、最近は業界でも覚えている人が減り、残念に感じている。