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表情を変えない選手は強い選手? 優勝争いに加わり続ける”常勝感”のある選手の条件とは?

戸川景の重箱の隅、つつかせていただきます|第47回

2024/07/11 ゴルフトゥデイ 編集部

表情を変えない選手は強い選手? 優勝争いに加わり続ける”常勝感”のある選手の条件

スイング、ゴルフギア、ルールなどなど…。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。
Text by Hikaru Togawa Illustration by リサオ
GOLF TODAY本誌 No.625/74ページより

優勝争いを続けられる競技者の“姿勢”とは?

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今年は久しぶりに密度の高い優勝記録を伸ばしているプレーヤーがいる。USPGAツアーのスコッティ・シェフラーが5戦4勝、USLPGAツアーのネリー・コルダが出場試合5連勝。いずれも5月までの記録だが、もし年間7勝に届けば、それぞれ2007年のタイガー・ウッズ、2011年のヤニ・ツェン以来となる。

ここ10年、プロツアーの最高峰である両ツアーでも、年間3〜5勝が最多で、タイガーやアニカ・ソレンスタムが活躍した頃のような、相撲でいえば“横綱”とも言える“常勝感”のある選手はいなくなっていた。シェフラーには新しい“横綱”に昇格しそうな期待感がある。コルダにはキャリアピークに迫る勢いを感じるが、持続性はどうだろう。

“常勝感”は、単に優勝回数を増やすだけでは生じない。常に優勝争いに加わり続けることがポイントになる。シェフラーの場合、エリートアマからプロ転向後、下部ツアーで年間王者に。レギュラーツアー昇格でルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたが、初優勝には2年かかっている。この、勝てなかった2年間に現在の強さの土台が出来上がったように感じる。

『荘子』の中に“木鶏に似たり”という物語がある。紀省子という人が王のために闘鶏を育て始め、約10日ごとに、もう戦わせていいかという王の問いに、3回ダメ出しをする。1回目は「空いばりをして闘争心があるからダメ」。2回目は「他の鶏の声や姿にいきり立つからダメ」。3回目は「まだ目を吊り上げ、力んで戦いたがるからダメ」。ようやく4回目にして「他の鶏が鳴いても顔色ひとつ変えなくなりました。まるで木で造った鶏のよう。仕上がりました」。その“木鶏”を見た他の鶏は、皆静かになり、こそこそ逃げ出したという話だ。

私はこの話を、50年以上前に発刊された『近代ゴルフ勝利の方程式』で知った。著者である金田武明は、その慧眼で日本ゴルフ界に多大な功績を残しているが、最近は業界でも覚えている人が減り、残念に感じている。

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続く一節から引用しよう。

「スポーツマンの成長過程でも、程度の差こそあれ、その四段階が見られることが多い。(中略)米国ゴルフ界は底が深い。(中略)予選を通過することすら日本では想像も及ばないほど辛いことだ。だが、やっと通過しても、パッと泡のように消えてしまう人がほとんどである。」

“泡”に共通しているのは、たまたまいいスコアが出ると威丈高になり、小さい試合でも勝ってしまうと肩で風を切るようになるが、そこで空いばりしているようではとても“木鶏”までは到達できるわけもなく、消えてしまっても不思議はない、とまとめている。

半世紀を経ても、この本質は変わっていないように思う。日本の男女ツアーを眺めていても、予選通過と優勝争いの狭間で、第2段階の「他の鶏の声や姿にいきり立つ」と第3段階の「目を吊り上げ、力んで戦いたがる」レベルで右往左往している選手が多いように見える。

シェフラーの場合は、勝てなかった2年間が第3段階の時期だったようだ。初優勝以降、優勝争いに絡むポジションから崩れないようになったのは、自信の積み重ねから、それこそ“木鶏”の域に入りつつあるからではないだろうか。

私が見てきた歴代の名手で、最も“木鶏”らしいメンタルの強さを感じられたのは“帝王”ジャック・ニクラスだ。ショット力やショートゲームではタイガーの持つバリエーションに及ばないかもしれないが、ゲームマネジメントの巧みさ、それを遂行できる“姿勢”の良さは他の追随を許さない。メジャー18勝に届いたのは、この強さに尽きると思う。

戸川景(とがわ・ひかる)

1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て(株)オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。

重箱の隅、つつかせていただきます

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