桑木志帆「資生堂レディス」優勝! 涙の初Vの裏にあった「ロフト1度と2グラム」
「去年の忘れ物を取りに来られてよかったです」桑木志帆が資生堂レディスで涙の初優勝(写真/相田克己)
日本女子ツアーの「資生堂レディス」は、昨年大会ではプレーオフで敗れた桑木志帆がツアー初優勝を挙げた。その後もなかなか勝ちきれず「シルバーコレクター」と呼ばれた時期もあった桑木が待望の勝利をつかんだ裏は「1度」と「2グラム」のこだわりがあった。
2021年にプロ転向した桑木は当初、強いフックボールで飛距離を稼ぐプレースタイルでした。それを「球筋をコントロールできるように」と昨シーズン前のオフからフェードに変えました。
フック(ドロー)を打つには「インサイドアウト」のスイング軌道で振るのが基本です。それを「逆球」ともいえるフェードを打つために「アウトサイドイン」に振る意識が強くなりすぎたのか、ドライバーショットでのスピン量が3000rpmぐらいになってしまいました。
理想は2500rpmくらいですから明らかに多すぎます。そのため吹き上がるような弾道(あくまでプロレベルでのことですが……)で飛距離のロスも大きくなってしまいました。
スタッツを見ると2022年シーズンは243.79ヤードでランキング18位だったドライビングディスタンスが、フェード初年度の23年は239.46ヤードの44位に落ちています。
ドライバーとボールを替え、さらにこれを改善するため今シーズンはドライバーをロースピンタイプの「B-Limited B1 LS」に。
ボールもスピン系の「TOUR B XS」から「TOUR B X」に変更したことでスピン量を理想の2500回転前後にすることができました。
さらにここからが勝利を呼び込んだプロのこだわりでした。
シャフトのアジャスト機能(いわゆるカチャカチャ)は「R」にすることでフェースは1度右を向き(オープンに)、ライ角は1度アップライトに。さらにロフトは元々の9度が8度と、1度立ちました。
加えてヘッドのヒール側に鉛を貼っているのがわかります。
ブリヂストンスポーツのプロ担当は、これらは「捕まりを良くするためのこと」と説明してくれました