同じパターを使い続けるのと、気分によってコロコロ変えるのはどっちが良いの?

戸川景の重箱の隅、つつかせていただきます|第49回

2024/08/15 ゴルフトゥデイ 編集部



スイング、ゴルフギア、ルールなどなど…。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。
Text by Hikaru Togawa Illustration by リサオ
GOLF TODAY本誌 No.627/74ページより

1本のパターにこだわり続けた世界的な名手と言えば、1930?1950年代に活躍した南アフリカのボビー・ロックが最右翼だろう。ヘッドが錆びついても、プロ生活をたった1本のL字型パターで戦い続けた。全英オープン4勝、米ツアーを含め世界で60勝以上を挙げている。

打ち方も独特で、パットでもショット同様にフックをかけていたという。当時の南アフリカの芝目のきついグリーンを克服するためだったようだが、実績を見ると世界のコースでも通用する技術だったと言えるだろう。

彼は後の著書に「パターは生涯の伴侶。浮気者に名手はいない」と記しているが、私はこれに納得できない。実際、ツアーの名手には“浮気者”も大勢いるからだ。

プロともなれば、自分の打ち方はわかっている。だが、体調や経験、年齢の積み重ねで感覚が微妙に変化していくことがある。そのズレに対処する手段の1つとして、パターを替えるのはアリだろう。

今までピン型を愛用していた者が、フェースバランスのマレット型を一時的に採用し、好調になることもある。また、そのことで元のエースパターの良さを再確認し、復調するケースもあった。

ここで大事なのは、元のパターを手放さないこと。いつでも戻れる“原点”はキープしておいたほうがいい。つまり新パターは“買い替え”ではなく“買い足し”で増やすべきなのだ。