セルフプレーが主流になったから。令和の賢いゴルファー保険の使い方

ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第115回

2024/08/19 ゴルフサプリ編集部



ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。

彼女が打ったボールは、高く上がって、真っ直ぐにピンに向かって飛びました。ホールの手前5ヤードに落ちたボールは、少しずつ右に曲がりながら転がってホールに吸い寄せられるように近づき、最後の一転がりでホールに落ちたのです。
「入った!」
と僕は叫びました。周囲に誰か目撃者がいるかもしれない、と意識した行動でした。

達成したのは妻で、一昨年に続いて、生涯二度目のホールインワン。
彼女は、万歳のポーズをとっていましたが、少し困ったような顔をしていました。
「今回は、ホールインワン保険はダメだね」と彼女はため息交じりに言ったのです。
僕らの組の三人以外は、前後の組もいなくて、コースのスタッフなどの目撃者もいませんでした。

セルフプレーの場合、特別な条件をクリアしないとホールインワン保険の適応にはなりません。前回の妻のホールインワンのときは、セルフプレーでしたが、奇跡的に条件をクリアしてホールインワン保険が適応になって、お祝いに使った費用が支払われました。

ただ、その申請から支払い決定まで、驚くほど面倒な調査が続いて、証明してくれたコースにも、コースのスタッフにもとても迷惑をかけたのです。
こんなに不愉快な思いをするなら、請求を取り下げたほうが良いのでは、と考えてしまうほどに、彼女の中でその経験はトラウマになっていたのです。