パリ五輪の金メダリスト、リディア・コーの逃げ切る強さを考察してみた

戸川景の重箱の隅、つつかせていただきます|第50回

2024/09/23 ゴルフトゥデイ 編集部



スイング、ゴルフギア、ルールなどなど…。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。
Text by Hikaru Togawa Illustration by リサオ
GOLF TODAY本誌 No.628/82ページより

リディア・コーは初日から、ショットが乱れそうになるのをショートゲームとマネジメントで補っている感があった。2日目の18番ホールでは、左の池を避けて右のラフまで大きく曲げ、その後もラフを渡り歩いてボギーに。グイグイとスコアを伸ばせるイメージはなかった。

最終日も、いきなりボギースタート。だが、すぐに取り返し、ハーフターン直後には後続に5打差をつける独走態勢に。

ところが、この辺りからショット、パットともショート気味の傾向が出始める。そして、13番パー4の150ヤード弱のセカンドを手前の池に落とし、ダブルボギー。

同様に、4打リードで最終日のバック9に入りながら崩れてメダルを逃した男子のジョン・ラームを思い出したが、コーは違った。14番以降、見事にパーを拾いまくっていった。

圧巻だったのは、やはり18番のプレー。2位とは1打差、金メダル獲得にはパーの5打以下が必須の場面。FWのフェードボールでフェアウェイをとらえ、2打目も短いアイアンで絶好のライに運んだ。残り80ヤード弱のアプローチをピン奥2メートル強に乗せ、バーディフィニッシュ。

ホールアウト後に「18番のティショットとセカンドショットは、人生で最も重要なショットの2つだった」とコメント。3打目勝負のアプローチでもなく、ウィニングパットでもなく。この“見極め”感覚こそ、コーの守備力、逃げ切る強さを支えていると思う。