松山英樹は「200本」!? ゴルファーの熟練度はパターの所有本数で測れる

ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第116回

2024/10/04 ゴルフサプリ編集部 篠原嗣典



ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。

松山英樹が米ツアーのプレーオフシリーズの初戦に勝ったとき、手にしていたパターが新しいものだと話題になりました。

日本のメディアに対しては、ポーカーフェースで淡々とした対応が目立つ松山は、米国のゴルフ記者とは満面の笑みで対応していることがよくあります。だからというわけではないのですが、引き出される情報の量も質も、米国のメディアのほうが圧倒的に上です。
新しいパターについても、どんどん追加情報が出てきましたが、その中で興味深いものがありました。

『松山は家にある200本のパターの中から、何年か前からあったアレを何気なく選んだ』

『!』と『?』が交錯しました。
パターが200本も家にあるのか! と驚く人たちと、200本しか所有していないなんてウソだよね? と疑問を持った人たちの反応でした。

一般的なゴルファーの多くは、200本もパターを所有している、というシンプルな驚きと憧れを感じたというわけです。
その一方で、マニアックなゴルファーは、パッティングがウィークポイントと思われているのに、200本は少な過ぎる、と考えたのです。

例えば、僕の周辺は一般よりも若干マニアックだとしても、携帯の番号を知っている範囲の知り合いの中に、パターを100本以上持っている人は10人はいますし、その内の3人は200本を楽に超えます。
あまりパターを替えないゴルファーに分類される僕でも、家中から掻き集めればパターは20本ぐらいはありますし、ゴルフ歴46年で、1ラウンド以上使用したパターの総数は30本は越えると思います。

少し前まで、パターは買い替えやすい手頃な価格のものが多く、少しでもパットが良くなるのであれば、と考えて、貪欲に試すことは正義でした。
パットに悩みがある人であれば、実戦投入せずとも、お試し感覚でパターの所有数が増えてしまうのは、珍しいことではなかったのです。