タイガーとの契約解消後もご近所さんで親友関係が続いているショーン・フォーリーという男

佐渡充高のプレミアム・ファイル

2024/10/17 ゴルフサプリ編集部



ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。

GOLF TODAY本誌 No.629/99ページ

カナダ出身ショーン・フォーリー(50歳)の左一軸、左寄り体重の「スタック&ティルト」理論に哲学的思考を加えたメソッドは著名コーチと一線を画す斬新なものだった。彼が一躍注目を集めたのは09年タイガー・ウッズの不倫スキャンダルから数カ月後のこと。ファンは失望しスポンサーも次々に契約解消。結婚生活破綻、ツアーを無期限離脱し再起はかなり困難だと思われた。孤立無援に近いウッズに手を差し伸べたのは1歳上のフォーリーだった。

父はスコットランド人、母はインド系ガイアナ共和国出身。彼は欧米著名コーチ初のマイノリティで禅や東洋思想を理論に加えたことから”ゴルフのダライ・ラマ”と称された時期もあった。少年時代からガンジーの自伝に親しみ、母がタイ人で仏教徒として育ったウッズと心を通わせるのに時間はかからなかった。二人は翌2010年正式にコーチ契約を結んだ。

が、セッションをはじめると驚きの連続。スーパースターへの熱狂エネルギーは激しい逆風に変わり、ウッズを叩きのめし、フォーリーへの誹謗中傷も拡大。フォーリーはウッズを守ることを最優先、当時の彼の門下生ハンター・メイハンらも「一緒に練習しよう!」と優しく迎え入れ環境に変化が。ウッズは仲間を得て元気も意欲も取り戻し、世間の雑音を封じ驚異の集中力で猛練習。2013年は5勝を飾るなど見事な復活を遂げたのだった。