90切りが生涯目標ならポケキャビでもOK。でもゴールが70台なら選ぶべきはマッスルバック一択

吉本巧のゴルフギア教室 第39回

2024/11/02 ゴルフサプリ編集部



ゴルフクラブの性能の進化が、アマチュアゴルファーに大きな恩恵をもたらしてくれているのは事実。だが、その反面でちょっと“引っかかる”こともある。やさしいクラブがゴルファーに与える影響について、吉本巧の持論を読んでみよう。生涯目標が70台スコアなら、必読の内容だ。

今回はストロングロフトのアイアン(いわゆる飛び系のデカヘッドアイアン)について苦言を呈します。以前は7番で30度台だったアイアンのロフトが、最近は20度台が普通。よく言うとクラブが進化したのかもしれませんが、僕から見たら進化というよりドーピング。もはやクラブがチート化しているので、ここで一旦立ち止まってほしいと声を大にして言います。

もちろん、高齢の方や体力に自信がない、身体的にハンデがある方、あるいは娯楽だから目先のスコアがよければいいのに難しくてシラケ気味、という方々はその限りではありませんが、スイングをよくしたい、長くゴルフをしたいなど、向上心をもってゴルフに取り組んでいる方はチートクラブに手を出してほしくありません。

理由は、芯が広いのでちゃんと当たらなかった時にミスかどうか判断しづらいから。当たらなくても打感がよく、手が痺れたりしないですからミスヒットもナイスショットに感じてしまいます。また、構造が低重心になりすぎているため、トップがトップになりません。気づけないとそのままトップし続けます。飛距離も飛び方も安定しませんからコースで使えるショットにはなりません。

それでもチートクラブが蔓延する一番の原因は、ゴルファーが洗脳されているから。例えばパー3のティショットでは「お前8番、俺9番」と、みんな見栄を張りたがる。そこにマーケティングがうまいこと入り込んで、それでは、とばかりに甘い蜜を出してくれている。そこに思わず飛びついてしまうわけです。すぐに結果が出るのも甘い罠。大袈裟でなく、使ったその日に成果が出る人もいます。ところがある程度まで行くと急に伸びなくなって低迷し、復活することなく下降がはじまります。使いはじめて5年後には元に戻っているか退化します。本当にいいショットを学習したり体感できないことが、長い目で見ると大きな差を生むのです。