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「ボールを右に置いてザックリ」春になるとアプローチで悩むゴルファーが増える不思議

石井良介のゴルフ・すべらない話:第19回

2024/04/10 ゴルフサプリ編集部

アプローチ

石井良介の一面を一人語りという形でお届けする連載企画「石井良介のゴルフ・すべらない話」。第19回は、春先に多くなるアプローチの悩みについて語ります。
写真/ゴルフサプリ編集部

アプローチで本当に大事なのは、いかにクラブヘッドを動かすか

この時期はライが原因のアプローチミスが多いが、右に置いたボールに対して手が右にズレてミスすることも多い

この時期はライが原因のアプローチミスが多いが、右に置いたボールに対して手が右にズレてミスすることも多い

今週はいよいよマスターズ。国内でも男女両ツアーが開幕して本格的なゴルフシーズンがスタートしたわけですが、毎年、冬場から春先へと移ろうこの時節に大量発生する人たちがいます。アプローチで頻繁に出るミスに悩むアマチュアゴルファーです。

冬場は芝が枯れて薄いためライが悪いケースが多い。みんなチャックリしたくないのでボールを右に置いて打ちますが、結局突っつくようになって失敗します。これが春先になると、芝の芽が出て伸びてくる影響で地面が軟らかくなります。ボールを右に置いて打った場合、今度はリーディングエッジが地面に突き刺さってしまいます。

右にボールを置くのはいいとして、なぜこんなミスが出るのでしょう? それは手とクラブの位置関係を違えるから。ボールを右に置いたらハンドファーストになるはずなのに、アドレスやインパクトで手の位置までが右にきてしまう人が多いのです。こうなると余計に地面をほじくることになってチャックリが出ます。そしてそれを嫌ってトップするという悪循環にハマるわけです。

いずれにしても共通するのは、クラブヘッドが正しく動かなくなっていること。いまはアプローチでもショットでも、みんながみんな体の使い方ばかり気にしていますが、本当に大事なのはいかにクラブヘッドを使うか。手やクラブを固定して体だけ使って打とうとするのがミスの主な原因なのです。

アドレスでは頭蓋骨、みぞおち、骨盤のセンターを真っすぐに

以前にもお話しましたが、スイングを安定させるには、そもそも安定しているものを有効に活用するべきです。クラブの重さや長さは変わることがありません。また、腕をダランと垂らした時の手の位置もいつも変わりませんから、その位置でクラブを持てば、クラブと手の関係性は常に一定になります。あとは姿勢だけ気をつければ安定したアドレスになる。いい意味で、できることが限られてきますから合理的にスイングできます。

姿勢の安定について言うと、自分の重心がどこにあるか、ということについて無頓着なアマチュアゴルファーが多いと思います。例えば、構えた時にボールを右から覗き込むようになる人は、間違いなくストローク中に右傾するので、ダフりやトップ、時にはシャンクも出ますが、これは真っすぐ立つようにすることで防げます。

すなわち、頭蓋骨とみぞおちと骨盤のセンターをタテに真っすぐ揃える。その際、みぞおちあたりに重心を感じられるとストロークも安定します。右に傾く人は無意識にそうなっていますから、機会があったら鏡の前でアプローチをやるつもりで構えてチェックしてみましょう。傾きを修正し重心を感じるだけでミスがなくなる可能性があります。

クラブや手の位置など安定したものを活用する。構えについては真っすぐ立つことが基本中の基本
クラブや手の位置など安定したものを活用する。構えについては真っすぐ立つことが基本中の基本

最低限の力でヘッドが動けば、いとも簡単にグリーンに乗る

お次はヘッドをどう使うかですが、前述したように真っすぐ立って、手をダランと垂らしたところで左手でクラブを持ったら、右手は添えるだけにします。極端に言えば親指と人さし指の先端を触れるだけでOK。これでもアプローチはできます。もし打てない、あるいは「右手が心許ない」と感じたら、右手の使いすぎがミスの原因になっているかもしれません。

右手については指先でクラブをつまむ程度でも普通にアプローチできる。
右手については指先でクラブをつまむ程度でも普通にアプローチできる。

インパクトでライ角通りにクラブを戻す意識も大事です。これには手の位置を変えずにヘッドだけ持ち上げ、テコの原理でクラブを動かしてみましょう。右手でクラブをつまみ、そこ支点にヘッドをポンと持ち上げる。左手でグリップエンドを左に押してヘッドを上げたら、あとはヘッドが落ちるに任せます。右手が支点、左手が力点、ヘッドが作用点ですね。

僕がこれをやって、ごく軽い力でもヘッドが動いてグリーンに乗ることを見てもらうと手首を固める必要がないとわかります。アマチュアの方はワキを締めて、手首を固めて動けなくしておきながら「動けない」と理不尽なことを言われます。だったら固めず楽にしておいて気軽にやった方が楽しいし乗る。固めて動けなくすることがヘッドの動きを安定させるわけではないんです。

右手を支点、左手を力点にしてクラブを動かすと作用点のヘッドが大きく動く
右手を支点、左手を力点にしてクラブを動かすと作用点のヘッドが大きく動く

腕や体が正しく動く五角形アプローチ練習のススメ

また、最近のアプローチレッスンでは、杉原輝雄さんのように五角形で打つ練習を多用しています。普通はアドレスで肩と腕で三角形を作り、それをキープして打つと言われます。もちろんそれができればいいですが、三角形の場合、テークバックで右ヒジを引いたり、コックしたり、インに引いたりと、いろいろなことができてしまいます。その点、五角形だとヒジを引く、コックする、といったことができないので誰もが体の回転で打てます。手元と自分の距離も変わりづらいですから、よほど上下動しない限りミスになりません。

また、五角形で打つとフワッと浮く感じの軟らかい球が打ててグリーンに止まりやすいので、寄せ方のイメージも変わってきます。「カッコ悪い」と言う人も多いですが所詮は花より団子。寄ればみんな黙っちゃいます。それに、僕は大袈裟に五角形を作って見せますが、普段三角形でやっている人が五角形にしたところで、あからさまな五角形にはなりません。両ヒジがちょっとゆるんだ三角形くらいにしか見えませんから、カッコ悪いと思っているのは本人だけです。僕はレッスンでは五角形とこれを併用してやっていただき、どちらがアプローチのニュアンスを出しやすいかを探ってもらいます。もちろん最終的な決定はご本人に委ねます。

“五角形”でアプローチするとクラブの引き方や手首の使いすぎが防げ体のターンで打つ感覚がわかる
“五角形”でアプローチするとクラブの引き方や手首の使いすぎが防げ体のターンで打つ感覚がわかる

アプローチイップスの人は自分もクラブも固めていることが多い。確実に当てようとするほど陥りがちです。繰り返しますがグリーン周りではヘッドが動かないほどミスになりやすい。ヘッドにエネルギーがあれば抜けますから、ヘッドは動かさなくちゃいけない。動けばとりあえずは乗るわけで、それ以上が必要なら腕や体が入ってくると理解してください。

石井良介

石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。


石井良介のゴルフ・すべらない話

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