物価の優等生のタマゴとゴルフボールは似ている?

日本人は1人あたり年間で平均300個以上のタマゴを消費しているそうです。まさに、タマゴは国民食と言えます。タマゴは、平成(1989年)から昨年(2022年)まで販売価格が1パック200円前後と変わらなかったことから、“物価の優等生”と呼ばれてきました。2023年、そのタマゴの価格が高騰して話題になりました。

そんな話をしていたら突然、同意を求められました。「タマゴとゴルフボールって似ているよね?」即答できませんでした。

確かに大きさは近いといえば近いですが、形も重さも似ているという範疇に入るのでしょうか。戸惑っている様子を見て、その人は言ったのです。「タマゴは30年以上も価格がが変わらなかったというけれど、ゴルフボールだって30年以上、同じ価格でしょ。ゴルフボールも物価の優等生だよ

言われてみれば、確かにゴルフボールも価格が変わりません。

ゴルフボールは高すぎる?1個いくらなら納得できる?

今年は値上げしたゴルフボールにもあったようですが、タマゴのように2倍を超えるようなことはありません。

ゴルフをすればするほど、一部の価値観が世間と乖離する傾向があると言われます。ゴルフボールはその代表例として挙げられます。1回打っただけでなくなる可能性があるのにボール1個がワンコインもして、さらに1ダースぐらいは常備するように教えられた初心者は、こう思うそうです。

「これは金持ちの遊びだなぁ。どう考えても、消耗品のボール1個が高すぎる」

中級者と呼ばれるようになると、そんなことを考えていた過去はすっかり忘れてしまって、当たり前のように初心者に「ボールは1ダースは常備してね」なんて指導しているというわけです。価値観というのは環境に大きく影響されるのです。

「ゴルフボールって、ワンコインで3個ぐらいが適切だよな」

大企業に勤めている同世代(50代後半)のゴルフ仲間が言っているのを聞いて、ビックリしたことがありました。

「ゴルフ歴20年以上経っても、新品のボールはもったいないという気持ちが抜けない。使用するときにプレッシャーがかかる」

ジュニアの頃からゴルフをして、競技ゴルフにどっぷりと漬かっていた僕は当時、自分でお金を払っていなかったので、そういう感覚が欠如していました。それ以上に、ボールがなくなるわけがない、という揺るぎない自信がありました。それに当時の主流だった糸巻き構造のバラタカバーのボールはパワーヒッターの場合、なくさなくとも9ホール程度で寿命がきてしまうものだったので、高いからとか、安いからとかいう感覚が入る隙間がなかったような気がします。

だからというわけではありませんが、自分でボールを購入するようになってからも、高額なボールでも必要だと思えば選択することに抵抗がないのです。

そもそもゴルフボールがなければ、ゴルフはスタートすらできない!

ワンコインで3個ぐらいがゴルフボールの適切価格だと言ったゴルフ仲間に、僕はこう質問しました。

「と言いながら、高性能なボールのほうが飛ぶし止まるし入る、という実感はあるんじゃないの?」

彼は、調子が良ければハーフで30台でプレーできる腕前です。

「それはそうなんだけど、ゴルフボールの性能の差は2倍とかではなく、少しじゃない?そうなると、性能より低価格のほうを優先したいかなぁ

考え方はいろいろです。彼の中ではそれが正解なのでしょう。

ゴルフボールの価格がテーマのゴルフ談義をすると、高額だけど高性能のボール半ダースを準備するか、同じ価格で1ダース購入できる安価なボールを準備するか?という選択も定番となります。迷わず前者を選択してきました。

でも、ひどいドライバーイップスになった時、OBを連発してラウンドの途中でボールがあと1個しかない、という状況になったことがあったのです。

残りのホールは4ホール。強烈なプレッシャーの中、アイアンだけでプレーしてどうにか18ホールを終えたのです。それ以降、傷が付いたボールなども処分せず、バッグに入れておくようにしました。

個人的まとめ

ゴルフボールがなければ、ゴルフはできません。どんなボールであろうとまずは、必要数があることが最優先です。その次に何を優先するのかは、ゴルファーの数だけ答えがあるのです。

ボールは全てのストロークで使う唯一のゴルフ用具です。スコアに最も影響するのが、ゴルフボールの面白いところなのです。ゴルフボールの選び方が原因でスコアが伸びない人がいます。ツアープロでも、エースボールとそうではないボールでは、ラウンドで1打どころか数打の差がつくこともありますから、一般のゴルファーであればもっと差が出る可能性があります。

気になるボールがあるのに無視し続けることは、百害あって一利なし、。ゴルフボールの見直しは、いつでもできるのです。

篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。



ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】

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