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高額ドライバー暴走事件?高級ドライバーの大惨事?ドライバーは人を狂わせる悪魔のクラブ…

ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第90回

2023/10/16 ゴルフサプリ編集部 篠原嗣典

ゴルフクラブ,ドライバー

ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。

写真提供/篠原嗣典

高齢者ドライバーの事故はゴルフコースでも起きている

「こんな車の駐め方、初めて見ました」といって見せてくれた画像には、ゴルフ場の駐車場で目安となるラインを無視して駐車している、傷だらけの白いセダンが写っていました。異質だったのは、ライン通りに駐めれば本来なら4台駐車できる場所に、その白いセダンはラインとほぼ直角の横向きに駐まっていたのです。これは迷惑だね、と同情しました。

車の持ち主は、そのコースの古参のメンバーで90歳近い高齢者ゴルファーだったそうです。ハーフしかゴルフをしないので、終了後に駐車場に同行してもらって注意をしたところ、「自分がこんな馬鹿なことをするわけがない!誰かが車を動かしたんだ!」と顔を真っ赤にして激高し、取り付く島もない状態だったとのこと。

真相はわかりませんが、こういうような高齢者ゴルファーのトラブルが増えているそうです。

ややっこしい“ドライバー”

別のコースのオーナーは、ゴルフコースで高齢者が大きな事故を起こす前に年齢制限を設けるしか対策はない、と真面目に話していました。

さまざまな事情により車を運転しなければならないケースがあることを考えると、高齢者ドライバーの事故はやるせない気持ちになります。本人だけですむ事故のみならず、被害者が出る事故も増えています。こういう事故がゼロになるように、心から祈るしかありません。

ここでは「高齢者」と書きましたが、見出しなどで字数の制限があると「高齢」と略されることが多々あります。これが、なんともややっこしい。

「高齢者ドライバー」なら読み違えませんが、「高齢ドライバー」になると、運転者の意味のドライバーではなくウッドの一番のドライバーを連想して、読み違いをしてしまうのです。これは、ゴルファーのあるある話でしょう。

高額ドライバーが暴走し大叩き!?なにそれ?

ゴルフクラブ,ドライバー,ゴルフボール

「ドライバー暴走」というと、車が時速200キロでぶっ飛ばすシーンや、あおり運転で迷惑をかけているシーンを連想します。頭に高齢がつくと、不幸な事故があったのだろうか、と気分が沈みます。いずれも自動車と運転者の話です。

しかし、それを「高額ドライバー暴走」と読み違えると、数年前に見た事件とリンクします。

1本12万円超えのセミオーダーのドライバーを、清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入した知人がいたのです。ドライバーが苦手で、何年も悩んだ末の決断でした。知人は4週間たっぷりと練習場で打ち込んで慣らしを終え、いざ自信満々、高額ドライバーのデビューラウンドへ。僕もご一緒することになりました。

数年前に目撃した「高額ドライバー暴走事件」

知人は、スタートホールではボールを探しに行くのが難しいぐらい大きく曲がってOB。打ち直しはチョロ…2番は左ドッグレッグで最高のショット。しかし、飛び過ぎて突き抜けてOB。左にショートカットを狙って打ち直したボールは当たりが弱く、手前の池に消えました…。期待が大きかった分、失望が大きくなるのもゴルファーのあるある話です。

初級者のようなスコアになることが確定した知人は、難ホールとして有名な池絡みの9番でも池にボールを献上した瞬間、意図的なのか事故なのかは見ていなかったのでわかりませんが、ドライバーが手から離れてひゅーっと池の縁まで飛んでいったのです。

キャディが、ひっ、と短い悲鳴を上げました。その知人は、静止するキャディを無視して池の縁に無言でずんずん歩いて行って、泥だらけになってドライバーを救出しました。同伴者は言葉を失ったまま、知人を見つめるしかありませんでした。

知人は、「地クラブだけに、土まみれ池まみれ」と、イマイチ意味のわからないことを言いながら大笑いをしたのです。僕には彼が泣いているように見えました。あと30数回、分割の支払いがあると聞いていましたから、そう見えただけなのかもしれません。泥々になったドライバーはその後どうなったのか、聞いていません。

これが、僕が見た「高額ドライバーの暴走事件」でした。

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