開幕以来、バッグの中身は不動の14本 アマチュアにとって金言ともいえるその理由は

最終組がハーフターンした直後には通算12アンダーの首位に6人が並び、2打差以内に11人がひしめいていた大混戦で、サンデーバックナインに3バーディーを奪って優勝したのは鈴木でした。

そのバッグを見せてもらうと、3月のシーズン開幕から一度もクラブを入れ替えていないとのこと。

その理由は金言ともいえるものでした。

「オフに調整したクラブは合っているはず。それを調子が悪い時に替えると自分が悪いのか、替えたクラブが合っていないのか、わからないから嫌なんです。悪いのは自分の腕。クラブは絶対悪くない」。

調子が悪いとクラブを買い換えることのあるアマチュアに耳が痛い言葉かもしれませんが、聞けばまさしく正論の絶大な信頼感です。

開幕から変わらないクラブセッティング。(撮影/森伊知郎)

一方で、あっさり変えたことも

その一方で、シーズン中にあっさり変えたこともありました。

鈴木はパット時にはボールに引いた線をラインに合わせるのがルーティンです。

それが6月の「EARTH MONDAMINの3日目に32パットと、あまりに入らなかった自分に腹を立てて「もう、やらん」と無地の部分に合わせるようにしたところ、3連続ぐらいでカップイン。最終日は24パットと劇的に良くなったことで、それ以来やってないそうです。

かつては合わせていたボールのラインと入りに入りまくっている「スコッツデールTEC ALLY BLUE」。(撮影/森伊知郎)

4万円の“投資”が3000万円に!

さらに2週前の「日本女子オープン」の際には、パターのフェース向きを測定できるレーザーを購入しました。

この測定器について鈴木は「4万円したんですよ。高っ!と思って。これで結果出んかったら…」と思ったそうです。

パッティングでボールから離れぎみに構える鈴木は、目線と実際に向いている方向がズレてしまうことがあるのだとか。

自身を「割と適当な性格」と評する鈴木はこのことについて「だいたいでいいよ、という感じだったんですけど、もっと細かく詰めていこうと思って」と昨シーズンの最終戦以来勝てておらず、8~9月にかけては3戦連続予選落ちもした状況に一念発起してレーザー測定器への“投資”をしました。

その甲斐あって、この日のバックナインはわずか11パット。

「回収できました」と笑顔で話しましたが、今大会の優勝賞金は2700万円。

9位となった「日本女子オープン」でも307万5000円を稼いだので、4万円が3000万円超になったといえます。

今シーズンの部門別スタッツでは、平均パット数がラウンド辺りで1位(28 .1739)。

パーオンホールは2位(1.7494)の名手がストロングポイントにさらに磨きをかければ、勝つべくして勝ちました。

アメリカのピン本社で調整したクラブを全面信頼し、ストロングポイントを磨く

鈴木は毎年シーズンオフになると用具契約するピンのアリゾナ州の本社まで足を運んでクラブを調整します。

最高レベルのフィッティングをしたクラブが合っていないはずがない、という信頼の一方で長所をさらに伸ばすためには新しいことを取り入れる。

アマチュアも見習いたいふたつの要素がかみ合っての勝利は必然だったといえそうです。

(取材・文/森伊知郎)