出球が低くてスピンがしっかり入るボールが容易に打てる

「RTZ 2 ウェッジ」は完全な新作だが、前作「RTZ ウェッジ」と比べても一目でわかるような大きな違いは見当たらない。小倉は初対面の印象についてこう語った。

「パッと見も、アドレス時の見た目も、前作と比べて劇的な変化はなく、正統に進化している印象です。前作も今回のモデルも洗練されたクセのないティアドロップ形状ですから、これが嫌いな人はいないはず。端正な中にも安心感がある顔はあえて変える必要がなかったということでしょう」

女子ツアーではすでに大勢の契約選手が「RTZ 2」を使用中。いい意味での“変わらなさ”がプロの心をとらえているようだ。(左から鳥居さくら、中村心、菅楓華)

高さとスピンが安定するから安心して狙える

見た目は変わらずとも芝の上で実際に打ってみると「RTZ 2」の中身は大きく進化していることがわかった。

「出球の高さや方向はイメージ通りで、いきなり打っても違和感がありませんでした。特筆すべきは、プロのよく使う出球が低くてスピンがしっかり入るボールが容易に打てること。従来の『ZIP CORE』が『ZIP CORE iQ』に進化して、ロフトとグラインド別の重心設計が一層緻密になったようです。これは上下方向の打点のブレが大きくなりやすいハイロフトの番手でも打ち出し角とスピンが安定することから実感できます。また、すべてのロフト、グラインドでソールデザインがブラッシュアップされ、ソール部分の丸みがややフラットになりました。ソールが芝に当たった時の自然な感じとピュアな振り抜き感はその賜物でしょう。“ソールの神様”と呼ばれたロジャー・クリーブランドが開発に加わったことで、より細かなところにまで気が配られ、丁寧に作り込んできたなという印象です」

どのグラインドもソールの当たり方が自然で振り抜きがよくなった。
「そもそもロジャー・クリーブランドが手がけるウェッジはめちゃくちゃ構えやすいんです」(小倉)

ソリッドながらも軟らかさがある新合金「Z-ALLOY」の打感も魅力

「RTZ 2」のテクノロジーの基盤はゴルフクラブ専用に開発された新合金「Z-ALLOY」にある。素材の軽さを生かしてさらなる進化を遂げたのが「ZIP CORE iQ」だ。ネック寄りにある重量を軽量セラミックピンへ置き換える従来の手法に加え、「RTZ 2」ではロフト角やグラインド(ソール形状)ごとにセラミックピンの形やバックフェースの肉厚を最適化。プレーヤーのリアルな打点傾向に合わせて精密に配置された重心位置によって、打点が上下左右にブレても初速やスピン量のバラつきを抑制し、狙い通りの距離と方向性を与えてくれる。

また、新しい素材と構造とくれば打感の変化が気になるところだが、小倉は「若干ソリッドですが、ステンレスのような弾き感はありません。『Z-ALLOY』にはボールがフェースに乗る感触があり、従来の8620軟鉄よりも軟かく感じます。『RTZ 2』ならではの感触ですが、これを硬いと感じる人はいないでしょう」とフィーリングを重視するプレーヤーに向けても太鼓判を押す。

フェース面にはロフト別にブラストとレーザーミーリングの粗さを変えた「HYDRAZIP」加工により、ラフなどの芝はもちろん水分や砂がボールとの間に入り込む悪条件でも強力な摩擦力でコントロール精度を上げてくれる。また、深くて狭い高精度な溝を緻密に配置した「ULTIZIP」も採用さて、最大19本(写真右のADAPTは21本)もの溝が強烈なスピンを生み出す。

従来の4タイプに加え、名器にインスパイアされた588が登場

従来のソールグラインドバリエーション、「LOW」「MID」「FULL」「ADAPT」もロジャー・クリーブランドによりリファインされたが、注目すべきは伝説の名器「ツアーアクション588」にインスパイアされた新グラインド「588」が追加されたこと。これには小倉も敏感に反応した。

「『588』はすごくいいですね。私はフェースを開くのが好きなのですが、通常ウェッジは開くとバウンスが張り出します。そうなると当然バウンスが強く効きますが、『588』はヒール側だけバウンスが落とされているので、開いて打ってもバウンスの当たり方があまり変わらずすごく扱いやすいです」

ヒール側のバウンスを落とすことでフェースを開きやすくした「588」。

●588グラインド

「『ツアーアクション588』といえば全盛期のタイガー・ウッズも使った名器で私も真似して使いましたが、『588』グラインドは当時とは一味も二味も違って現代風に使いやすくアレンジされています」(小倉)

●LOWグラインド

「『LOW』はボールを拾いやすいのに加え、他のローバウンスモデルに比べてソールが仕事をする感じがありました。ボールだけクリーンに打てるのはもちろん、普通にアプローチしても地面に刺さりません。レベルに入れるのが基本ですが、多少スティープでも対応してくれます。ローバウンス(8度)でも尖っていないところはグラインドの賜物だと思います」(小倉)

●MIDグラインド

「『MID』は“ザ・スタンダード”。普通に打てば適度にバウンスが当たります。フェースを開けばよりバウンスが生きて、しっかり仕事をしてくれます。逆にハンドファースト気味に打つとバウンスが当たらないところも作れる。いろいろなことができるオーソドックスなグラインドです」(小倉)

●FULLグラインド

「『FULL』はオートマチックに寄せられるソールで、どう打ってもどこかしらがちゃんと当たってショートゲームメイクには最適です。私も普段はこういうタイプを使っています。アプローチが下手なので、助けてくれるウェッジがいい。とは言いつつ「RTZ 2」はコントロールもできるので、フルショットから40~50ヤードまで、しっかりスピンがかかります。薄芝からのアプローチなど条件が悪くても、シビアにならずに打てるやさしさ満載のソールグラインドです」(小倉)

●ADAPTグラインド

「フェースの全面に21本の溝が入った受注生産の『ADAPT』は、“こうやって打ちたい”という明確なイメージがあり、ヘッドをコントロールができる人が扱いやすい作りになっています。ヒールからトレーリングエッジを削ることで、フェースを開いて打ちやすい。オープンフェースのアプローチを多用する上級者向けで、操作性が高く高精度なコントロールが可能です」

アマチュアの入り口にはビギナーにも使えるFULLがおすすめ

「RTZ 2」はLOWが6度、MIDが10度、FULLが12度、ADAPTと588が8度とバウンス角が固定されていて選びやすいことも特色だ。アマチュアはどう選べばいいのだろうか?

「アマチュアの入り口になるのは『FULL』です。何かやろうとしたけれどできない、となったら『MID』や『LOW』を試してみるという順番ですね。いきなり『ADAPT』を使ってもうまくいかないと思います。最初はバウンスのあるものを使い、バウンスが自分のやりたいことの邪魔になると感じたらローバウンスに行くのが、最適なソールグラインドに辿り着く近道です。『FULL』ならビギナーが買ってもいい。それでしっかりアプローチの基礎を磨き、自分のやりたいことを絞り込むという道筋ができると思います」

エクスプロージョンを使いやすい『FULL』。
バウンス角と紐付けられたグラインドは機能をイメージしやすい。左から「LOW」(6度)「MID」(10度)「FULL」(12度)「588」(8度)「ADAPT」(8度)。

ちなみに「RTZ 2」の仕上げには好みで選べるようツアーサテン、ブラックサテン、ツアーラック(ノーメッキ)の3種類が用意されている。ノーメッキのツアーラックには、高い防錆性を発揮する加工が施されているため、錆による溝の摩耗や劣化が抑えられ、新品時に近い強烈なスピン性能を長期間維持でき、さらにメンテナンスの手間も軽減される。

反射が抑えられアドレスに集中しやすいブラックサテン仕上げとノーメッキながら錆びにくくスピン性能が長持ちするツアーラック。

ツアーボールでもディスタンス系ボールでもより止まりやすい

これだけ折り紙付きの性能だとボールとのマッチングも気になるところ。「RTZ 2」のポテンシャルを存分に引き出すには、どんなボールが合うかも聞いてみた。

「低く打ち出しつつ確実にスピンをかけて止めるなら「スリクソンZ-STAR」一択でしょう。やはりスピン系のツアーボールの方がフェースには乗りやすいと思います。とはいえ、最近は松山英樹選手のようにソリッドな「スリクソンZ-STAR XV」を使うプロが増えています。その点、上がりすぎない程度にボールをつかまえられる「RTZ 2」のような高重心ウェッジは、対応できるボールの範囲が広いといえます。例えば「XXIO」のようなディスタンス系のボールを打ってもソフトで気持ちいい打感が楽しめてスピンもそこそこ入ります」

「ディスタンス系ボールを使っても打感とスピン性能の違いは明らかです」(小倉)

打点ブレに強い正確性と強烈なスピン性能、そして多彩なアプローチスタイルに対応する美しいヘッド&ソール形状を併せ持つ「RTZ 2」。タフなコンディションもどこ吹く風でショートゲームマネジメントができる安心感と卓越したコントロール性能を持ち合わせたウェッジに仕上がっている。