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女子プロのドライバースイング解説|鈴木愛・渋野日向子・大里桃子

「アース・モンダミンカップ」をスイングで振り返る!PART3《今年も来るぞ!大本命編》《スイング劇的改造編》

2020/09/13 ゴルフサプリ編集部

「アース・モンダミンカップ」をスイングで振り返る特集も、いよいよ第3弾。ここでいよいよ日本女子プロゴルフツアーの大本命、鈴木愛と渋野日向子のスイングが登場。さらに、劇的にスイングが変わり、活躍が期待される大里桃子。この3人の大本命スイングをプロコーチ・石井忍が解説!

◉スイング解説
石井忍
いしい・しのぶ
1974年8月27日生まれ、千葉県出身。日大ゴルフ部を経て98年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くのツアープロを指導。千葉、神保町、赤坂で「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアのレッスンも行なっている。

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今年も来るぞ!大本命編─1|切り返し以降の動きの順番がどんなときも一緒

強さと安定感はピカイチ。今年も賞金女王の最右翼!

鈴木 愛
すずき・あい(セールスフォース)
1994年5月9日生まれ
徳島県出身155㎝。19年は7勝をあげて17年に続く2度目の賞金女王を獲得。今大会はプレーオフで敗退したが実力を存分に発揮。

賞金を稼げる選手はダウンスイングの動きが整っている

今大会は若手選手が大活躍でしたが、最後に底力を見せたのが鈴木愛選手。やはり大本命ですね。鈴木選手は個性的なスイングといえますが、トップからダウンスイングへの切り返し以降の動きがどんなときも狂わないのが一番の長所でしょう。左ヒザ、左腰、胸郭、左肩、左腕、左手、そしてクラブヘッドの順で戻ってくる動きが秀逸。だからインパクトの正確性もピカイチなのです。

動きの順番が不安定な人は、クラブを速く振らないと順番が揃いにくい。でも鈴木選手は「クラブをゆっくり上げてください」と言われたらゆっくり振れるし、「そのままゆっくり振ってください」と言われても動きの順番が安定してフィニッシュまで振り切れます。

鈴木選手がトップで止めてから打つ練習をよくしているのも、切り返しからが本当の勝負だという意識の裏付けでしょう。

地面に近いパーツから先に戻していく

トップで止めてから打ってみよう

ダウンスイングの動きの順番が揃っているかどうかは、トップでいったん静止してから打ってみるとチェックできる。

今年も来るぞ!大本命編─2|内旋⇒外旋⇒内旋の右腕使いで球をとらえる

渋野日向子
しぶの・ひなこ(サントリー)
1998年11月15日生まれ
岡山県出身167㎝。19年はAIG全英女子オープンに初出場で優勝するなどの大活躍。賞金ランク2位で一躍トッププロの仲間入り。

体の下から上へとうねるような感覚のスイング

渋野日向子選手は今大会は予選落ちでしたが、女子ツアーをリードする存在であることは間違いないでしょう。渋野選手も笹生優花選手と同様アスリート的で、体の下から上へとうねってくるような感覚のスイングです。

テークバックはクラブヘッドよりもグリップ側から始動させていて、右ヒジから先の右前腕部が自分から見て左側に回る「内旋」が始まります。そしてトップから切り返しへと移る段階で右前腕部が反対側に「外旋」し、インパクトエリアで再び「内旋」しています。この右手使いでボールをとらえるのですが、脚に手がついているという感覚で下半身を主体にスイングしているのです。

渋野選手は重いバットなどを使って下半身から動かす連続素振りをよくします。右手の回旋を含めてクラブを、効率よく動かすための体の動きを大事にしたいからでしょう。

右腕の回旋で最大のパワーを引き出す

①自分から見て右ヒジから先を内側に回しながらトップへと上げていく。②トップからダウンスイングを開始する際に右の前腕部を外側に回す③右前腕部を外旋した状態で振り下ろし、インパクトの直前からもう一度内側に回して振り抜いていく。

下半身から動かす素振りをしてみよう

下半身を先に回してクラブを遅らせる
クラブヘッドが体の回転を追い越す
渋野日向子選手はバットなど重いものを持ち、体から先に戻す素振りをよくやっているという。
体を逆回転させてクラブを振り戻す

スイング劇的改造編|右カカトの浮き上がりを抑えてインパクトが安定

キレを増したニュースイングで今季は複数優勝が目標!

大里桃子
おおさと・ももこ(伊藤園)
1998年8月10日生まれ
熊本県出身171㎝。2018年のプロテストに2度目の挑戦で合格すると、その23日後のCATレディースで初優勝を果たした。

下半身の無駄な動きをなくせばスイングが整う

昨シーズンまでの大里桃子選手はダウンスイングで右カカトの浮き上がりのタイミングが早くて、右ヒジが背中から下りてくるようなインパクトになっていました。きっと腰を横に回すイメージが強かったのでしょう。本人の言うように「股関節を縦に使う」意識を持つようにしてからは、インパクトがガラッと変わりましたね。

まずトップがややフラットになり、ダウンスイングで右ヒジが体側について下りてきています。さらに右カカトの浮き上がりが抑えられて、結果的に体と腕のバランスが整ってきたという印象です。

右カカトの浮き上がりが遅れると体の回転スピードがややダウンしますが、下半身が過度に動いてはミート率が低下します。下半身の無駄な動きを抑制しつつ、上体と下半身のバランスを考えることがとても重要です。

以前はダウンスイングで右カカトが早く浮き上がり、右ヒジが背中から出てくるようなインパクトだった。
右カカトの浮き上がりが遅れて、結果的に体と腕の動きのバランスが整ってきた。

下半身の無駄な動きをシャットアウト

下半身を止めすぎてもダメだが、上体の動きとのバランスを考えれば下半身の動きを小さく抑えるのが合理的。
下半身のオーバーアクションはインパクトの安定感を損ないやすい。
昨年はインパクトゾーンで、大きく右足のカカトが浮いている。

大里桃子の告白|股関節を縦に動かすようにしたらよくなりました!

オフの間は故郷の熊本のゴルフ場を拠点にしてスイング改造に取り組みました。以前はダウンスイングで右腰が前に出て、腕の通り道がなくなるという感覚があったんですよ。左腰が引けてインパクトでヘッピリ腰になるみたいな…。そこで股関節を縦に使って、その場で回転させる意識を持つようにしました。そうしたらテークバックでスエーすることもなくなって、腰の入ったインパクトが作れるようになりました。ミート率がよくなってドライバーの飛距離も10ヤードアップしましたね。

GOLF TODAY本誌 No.579 26,27,42,〜47ページより

●「アース・モンダミンカップ」をスイングで振り返る!
Part1:《躍動した若手編》・田中瑞希・笹生優花・西郷真央
Part2:《躍動した若手編》・古江彩佳・安田祐香・吉田優利・西村優菜
Part3:《今年も来るぞ!大本命編》・鈴木愛・渋野日向子《スイング劇的改造編》・大里桃子