ボールを上げて飛ばして止める。新しいソールの効果が秀逸
「アイアンのように操って攻められる性能がほしい」という契約プロ・西村優菜の要望に応えて開発されたのが「クアンタム ミニ スピナー フェアウェイウッド」。高打ち出し角と適正なスピン量を両立して、ダイレクトにグリーンを狙っても止まるショットを可能にしただけでなく、ボールをつかまえつつバックスピンを効かせるアイアンのような操作性も実現しているという。ではこれらを念頭に置き、さっそく石井の試打感を聞いてみよう。

「前週紹介した『クアンタム ミニ バフィー フェアウェイウッド』を“面白いクラブ”と言いましたが、『クアンタム ミニ スピナー フェアウェイウッド』は、それに輪をかけて面白いクラブで、とにかくボールが上がります。加えてボール初速も出るので飛びます。上がるだけならビッグバーサのようなフェアウェイウッド(以下FW)がありますが、上げて飛ばして止める、となると『クアンタム ミニ スピナー フェアウェイウッド』がピカイチです」

「なぜ飛ぶのか? 打ってみて感じたのはソールの効果です。インパクトに向かって上からヘッドを落としても刺さりません。これはソールに設けられた段差の効果だと思いますが、まるでウェッジでバウンスを効かせて打っているように、ソールが滑ってヘッドに推進力がつく感じさえあります。ですから飛ぶだけでなくライも選ばない。ラフやディボットからでもフェアウェイから打った時と同じ球が出ますし、多少ダフっても普通に飛んでくれます」
番手のラインアップは7、9、11番の3種類。ロフトは順に21、24、27度となっている。石井が着目したソールには最新鋭のステップ・ソールデザインが導入されている。「ELYTE」で中央が台形型だったものをブラッシュアップし、三角形に近い形状にしたことで抜けのよさが向上。石井の言う“ヘッドの推進力”をもたらした。また7番と9番はカーボン、11番にはステンレススチールというようにソールの素材を変え、番手に適した方法で高重心化とスピン量の増加を図るなど細やかな配慮も光る。
7W/21度

9W/24度

11W/27度

アイアン以上のショットが楽に、繰り返し何度でも打てる
さて、打球が上がって飛ぶFWに欠かせない機能を有していることはわかったが、アマチュアレベルのヘッドスピードでもその恩恵に浴することができるのだろうか? 疑問を解消すべく、石井にアマチュアのヘッドスピードを想定して9Wを打ってもらった。それが以下のデータだ。
ドライバー・ヘッドスピード45m/s前後を想定した9Wの測定結果
| クラブスピード | 40.3 m/s |
| ボールスピード | 54.4 m/s |
| ミート率 | 1.35 |
| 打出角 | 15.9° |
| スピン量 | 4601 rpm |
| キャリー | 178.3 yds |
| トータル | 186.7 yds |
| 最高到達点 | 29.6 yds |
| 着地角 | 44.5° |
上がドライバーのヘッドスピード45m/s前後、下が同40m/s前後の想定で打ったショットデータ。
ドライバー・ヘッドスピード40m/s前後を想定した9Wの測定結果
| クラブスピード | 37.5 m/s |
| ボールスピード | 52.8 m/s |
| ミート率 | 1.41 |
| 打出角 | 17.2° |
| スピン量 | 4990 rpm |
| キャリー | 169.5 yds |
| トータル | 176.0 yds |
| 最高到達点 | 30.0 yds |
| 着地角 | 45.9° |
「スピナーのロフトをアイアンに置き直すと、7番が4~5番アイアン、9番が5~6番、11番が6~7番といった感じですが、ショットデータはアイアンと遜色ないどころかそれ以上。数字に表れない部分なので力説しておきますが、そんなショットが楽に、しかも何度も繰り返し打てます。驚くほど簡単に高弾道ショットが打てるので、楽しくて何球も打ってしまったほどです。これならパワーがない人やシニア層、女性でも高さが出せてボールを止めやすいでしょう」

「ここ十数年でずいぶん飛ぶようになったFWですが、いかんせんスピン量が少ない方向に進化していて非力な人にはしんどいクラブになっていました。FWを使わざるを得ない層のゴルファーが、ナイスショットしてもグリーンに止まらない場面をこれまで何度となく見てきました。ですが、スピナーならFWの出番が多い人でもダイレクトにグリーンを狙えて射程距離も確実に伸びます。顔もすごくよくなっていて、“出歯”な感じがなくフェースが見えすぎません。フェースの高さも以前のモデルより高くなっています。シャローなヘッドは球が上がりやすいですが、ラフなどでボールの下を潜りやすいというデメリットもありますから、これくらいフェースに厚みがあるほうが当たりやすいと思います」

スピナーの名のごとく、石井が放った打球は途中から急上昇し、最高到達点から急角度で落下しソフトにランディング。ランが最小限に抑えられた打球になっていた。これは西村優菜のスイングデータをもとにAIがフェース設計を行った結果でもある。「クアンタム ミニ」シリーズのFWよりもはるかにスピン量が多くなったということ。ディープで重心が高いフェースもスピン量の増加に貢献している。
ドローもフェードも打ちやすく落下角度もしっかりつく
「ヘッドスピードだけ見れば、女子プロと一般男性アマチュアは近いですから、2打目以降で長い距離を打たなければならない時や、距離のあるパー3では頼れる武器になるでしょう。操作性もあってドローもフェードも打ちやすく、落下角度もしっかりつきます。今はユーティリティ(以下UT)を使えば大丈夫みたいな風潮もありますが、FWの方が高さを出しやすい、ヘッドスピードが稼ぎやすいなど、UTにはない魅力があります。また、UTはシャフト選びが難しいと言われますが、FWならシンプルにウッド系のシャフトを入れれば使えると思うので迷うこともないでしょう」
7W/ドローで打った測定結果
| クラブスピード | 40.1 m/s |
| ボールスピード | 56.8 m/s |
| ミート率 | 1.41 |
| 打出角 | 14.4° |
| スピン量 | 3839 rpm |
| キャリー | 191.8 yds |
| トータル | 205.2 yds |
| 最高到達点 | 27.9 yds |
| 着地角 | 41.1° |
7W/フェードで打った測定結果
| クラブスピード | 41.5 m/s |
| ボールスピード | 55.0 m/s |
| ミート率 | 1.33 |
| 打出角 | 14.1° |
| スピン量 | 4229 rpm |
| キャリー | 182.0 yds |
| トータル | 194.4 yds |
| 最高到達点 | 26.5 yds |
| 着地角 | 41.2° |
ソールの前方には約7gのスクリューウェイトが装着されており、これがフェースコントロールをしやすくしているという。「クアンタム MAX フェアウェイウッド」より半インチ短いクラブ長と洋ナシ型の小ぶりなヘッドデザインも操作性を高めるポイントだ。

「実のところ、僕も7番ウッドは外せなくなりつつあります。ちょっと前まではロフト20度前後のUTやキャロウェイのUWで賄っていましたが、7番のナチュラルな高弾道は一度味わってしまうとハマります。そうなると9番にも興味が湧いてきます。僕の場合5番アイアンあたりが9番と同等の飛距離になると思いますが、アイアンではとても9番の高さは出ません。例えば打ち上げで180~190ヤード残った場合に、アイアンだとボールを浮かさなきゃ、という気持ちが働いてスイング的によくない動きになりかねませんが、9番なら普通に打てばグリーンに止まりますから心配無用。これはかなり魅力的です」
では最後に「クアンタム ミニ スピナー フェアウェイウッド」を導入した場合のクラブセッティングと、適正ヘッドスピードを教えてもらおう。
「そうですね、仮に3本をフルに入れるとしたら、アイアンは6番か7番からじゃないでしょうか。もちろんアイアンが飛び系だと多少変わります。ドライバーのヘッドスピードで言えば40m/s前後か、それ以下。30m/s台の人には積極的に勧めたいです。おそらく西村プロは硬いグリーンでも止められるFWが欲しかったのだと思います。『クアンタム ミニ スピナー フェアウェイウッド』は、そんなプロからの意見をしっかり聞いて作った感じがひしひしと伝わってきます。今のところグリーンでこれ以上に止まるFWは見当たりません」
ミニシリーズの一角だが、その威力はマックス。西村と同様、新しい武器を携えてコースに出てみてはいかがだろう。これまで見たことのないショットが繰り出せるはずだ。

●キャロウェイ「クアンタム シリーズ」

















