スランプ中にクラブを替えたくなる…それってアリ?
サプリ 前回、スランプ脱出には自分のゴルフを俯瞰して、毎ショット分析しながら冷静に現状を受け止めることが大事だと教えてもらいました。
ところで、私はスランプ中にクラブセッティングをいじることで、何とか良い方向に転がらないかといろいろやったんです。
今野 どんなことをしましたか?
サプリ まず、アイアンを替えました。今どきのストロングロフトアイアンから、昔のグースネックでソールの広いやさしいアイアンに替えたんです。
ウッドもFW(5W、7W)を抜いて、25度と28度のUTを入れました。長い距離を無理に打とうとせず、そこそこ稼いで安全に前進しよう、みたいな感じです(笑)。
パターもコロコロ替えましたね……。これってアリですか?
今野 あまり良くないですね。では、アイアンにフォーカスして解説しましょう。アイアンって、芝を切るための“刃物”なんですよ。魚を捌く包丁だとイメージしてみてください。マグロを解体する時の包丁と、アジを三枚おろしにする時の包丁って、同じものは使わないですよね。
サプリ はい。大きさも刃の突き方も全然違うと思います。
今野 では、ワイドソールのアイアンとマッスルバックのアイアン、どんな風に振りますか? 当てますか? ヘッドを入れていきますか?
サプリ なんとなくスイングイメージもヘッドの入り方も違うイメージが湧きますね。アイアンを替えるのは、まずかったようですね……。
今野 調子が悪くなってきた冬の間にアイアンを変えたというのもよろしくないですね。それまではソールが極端に幅広というわけではないアイアンを使っていたのに、真逆とも言えるソール幅のアイアンを打とうとすればミスショットが出て当然です。
アイアンは“やさしさ”だけで選ぶと失敗する
今野 多くの人が、アイアンをやさしさとか慣性モーメントだけで語ってしまうんです。でも本来は、それだけじゃ浅いんですよ。
そのクラブが、どういう芝と相性がいいのか。どういうゴルフ場で性能を発揮するのか。そこまで考えて選んでいる人は、ほとんどいません。
サプリ そこまで考えたことはなかったです。
今野 プロゴルファーって、年間を通してフィーリングを維持したいので、意外と汎用性の高いクラブを使います。
北海道から沖縄まで行っても、ある程度同じように使えるクラブですね。切りたい時には切れて、滑らせたい時には滑らせられる。そういうクラブです。
本当は、その週の芝やコース条件に合わせてクラブを替えたほうがいい場合もあります。でも、それをやると距離感もスピン量も変わる。翌週いきなり別のクラブに替えて合わせるのは難しいんです。
だから結果的に、“固定してなんとなく安定しているクラブ”を使うようになるんですよ。
ワイドソールが合う人、マッスルバックが合う人
サプリ なるほど。地面から打つクラブは特にそうですね。
今野 そうなんです。芝を切るか、切らないか、という考え方もあります。
ユーティリティやフェアウェイウッドは、基本的に地面を切らないようにできています。ゼクシオなんかもそうですね。
逆に、ターフをしっかり取って打つタイプの人は、マッスルバックのほうが相性が出たりします。
サプリ イメージできます。
今野 ベアグラウンドみたいな硬い地面なら、ワイドソールで滑らせたほうがいい。
でも、ふかふかの芝でボールが少し浮いているような状態だと、マッスルバックだとくぐってしまうこともある。そうなると球が浮いて飛ばなくなる。だからストロングロフトとの相性が出たりするわけです。
要するに、クラブ形状と芝の相性があるんです。そこを無視して「やさしいクラブに替えたから安心」と思っても、うまくいかないことがあります。
スランプ中こそ“道具替え”より原因分析
今野 さらに言えば、クラブを替えるとスイングとの相性も変わります。
たとえば、芝を切って打ちたいタイプの人にワイドソールのアイアンを渡しても、ずっとイメージが湧かないことがあります。
うちの母親が、昔ずっと本間のマッスルバックを使っていたんですが、その後やさしいモデルに替えたら「ゴルフがわからなくなった」と言っていました。
理論上はやさしいはずなんです。でも前みたいに芝が切れなくなって、ソリッドなインパクトができなくなったんでしょうね。
サプリ やさしいクラブが、必ずしも正解じゃないんですね。
今野 そうです。スランプ中こそ、道具替えでごまかそうとしないこと。
まずは何が悪いのか、自分のミスの原因は何かを冷静に見ることです。クラブ変更は、その原因が明確になってからでも遅くありません。
サプリ 100叩きしたあとほど、通販サイトを見ちゃうんですけどね……。
今野 気持ちはわかります(笑)。でも、その1本が救世主になることは、そんなに多くないですよ。
今野一哉(こんの・かずや)
JGTOツアープレーヤー。18GOLFプロデュース / キッズゴルフ代表。アマチュアゴルファーの指導やジュニアゴルファーの育成に力を注ぎながら、各ゴルフメディアで活躍中。蝶ネクタイスタイルはゴルファーへ「サービスし、尽くす」と言う意味を表す。








