180ヤード打てるクラブは5番を打った時の症状によって変わる

ゴルフでは確実に打てる距離が多いプレーヤーほどスコアが安定します。180ヤードを安定して打つとなるとなかなか大変ですが、打てるようになればパー4の2打目や長いパー3なども気負いなく臨めて心強いことこの上ありません。それにはスイングを固めることと、適正なクラブを使うことがポイントになりますが、ここはギア教室ですから後者に絞ってお話しします。対象はドライバーのヘッドスピードは40~42m/sのゴルファーです。

180ヤードの距離を打つ場合、アマチュアの方の多くはアイアンかユーティリティ(以下UT)かの選択になると思います。ヘッドスピードからすると、アイアンなら5番、UTなら23~24度といったところでしょう。まず5番から考察すると、いきなりで恐縮ですが、当該のヘッドスピードでは打ちこなすのが難しいです。

アイアンでは8番より7番、7番より6番が難しいというように、番手によって打ちやすさが変わります。私はこの違いをギャップと呼んでいますが、番手間のギャップは各々が均等でなく、番手が上がるほど大きくなります。8番と7番のギャップより、6番と5番のギャップの方がはるかに大きいのです。余談になりますが、このギャップは今の自分を映し出す鏡でもあります。どのギャップが大きいかで自分の弱点がわかる。クラブ的にもスイング的にも、ギャップとうまくつき合い、かつ徐々に埋めていくことが上達の近道になります。

5番アイアンが打てない理由で、UTにするべきか決まる

話を戻しましょう。5番が厳しいとなると、次の選択はUTになりますが、闇雲に換えてもいい結果は望めません。そこでまずやるべきは、5番で打った時の症状を知ることです。症状は大きく分けて以下の4つになります。

1 チョロやダフりばかりで、まともにフェースに当たらない

2 当たるが打球が上がらず、お辞儀をするような球で飛ばない

3 当たって上がるが打ち出しが高すぎて飛ばずランも出ない

4 打ち出しは高くないが打球が吹き上がって飛ばない

では順に解説しましょう。1の「チョロやダフりばかりで、まともにフェースに当たらない」はスイングの不安定さが原因で、ミート率があまりに低すぎます。5番を抜いてカーボンシャフトのUTに換えるべきでしょう。UTにすることで芯が広くなりミート率がアップ、ヘッドも大きいのでフェース開閉時のブレも減ります。芯に当たらなかった場合に飛距離ロスが少ないのもメリットです。つまり症状が1の人には断然UTがいい。UTに換えて当て感が身についてきたら5番に戻すこともできます。

2の「当たるが打球が上がらず、お辞儀をするような球で飛ばない」はアマチュアの方に最も多いパターン。この症状の人は力負けしています。ヘッドスピード的にも入射角的にも5番はオーバースペック。トップやチョロではないのに、100ヤード飛ばずに着弾してしまうならUTにしましょう。キャリーが100ヤード以上なのに飛ばないならシャフトを換えるといい。力負けする原因の7~8割はシャフトにあります。軽量スチールやカーボンに換えたり、スペックを落とすことで、5番で180ヤード打てるようになる可能性があります。

3の「当たって上がるが打ち出しが高すぎて飛ばずランも出ない」ようになる人は、インパクトでロフトが寝すぎていると考えられます。対策としては5番だけストロングロフトにすること。アイアンセットがキャビティなら5番をポケキャビやデカヘッドにします。2ではシャフトを換えましたが、3ではヘッドを換えてロフトを立てるというわけです。

4の「打ち出しは高くないが打球が吹き上がって飛ばない」は非常にレアなケースで、クラブがアンダースペックで持て余している状態です。自分がクラブに勝ってしまっているため打球のスピン量が過多になってフケ球になる。ボールがフライトした後に曲がるようなら間違いなくアンダースペックです。取るべき方法はスペックを上げること。シャフトを重くする、硬くする、トルクの小さいものに換える、といった対策が必要です。

ということで、180ヤード打てるクラブは5番を打った時にどんな症状が出るかで変わります。UTにスイッチするのもいいですが、プレーヤーによってはそれが遠回りになることがあるかもしれない、ということを知っておいてください。いずれにしてもクラブセットの中にオーバースペックの番手があるのはよくありません。練習で使うのはありですが、手に負えないほどオーバースペックのものを使うのは辛いだけ。全く役に立たないので上達が遅れる一方です。それよりはやさしいUTで練習した方がいい。調子がよければそのままUTを使えばいいわけですから。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。