今の日本女子ツアーでNo.1の美スイング! インパクトの再現性を高めるワキ・ヒジ・胸・ツバ

シャフトが180度反対に動く

菅選手のスイングはシンプルで再現性が高い。スイング軌道の再現性が高いだけではなく、インパクトそのものの再現性が高い。ドローヒッターでありながら、球筋、飛距離が安定している。それが好成績につながっていると思います。

インパクトの再現性が高いポイントは4つあります。まずは右ワキがしっかり締まっていること。ワキを締めることで姿勢が安定し、インパクトの剛性も高い。結果的に飛距離アップにもつながっています。2つ目は右ヒジを曲げて体から離していないこと。ヒジからグリップ、シャフト、ヘッドまで一直線になっているので打点も軌道も安定します。

3つめは胸。インパクトで胸が開かないため、前傾角度がキープできている。インパクトで後方から見たときに左腕が見えているのは胸を開いていない証です(写真06)。そして4つめは帽子のツバ。菅選手は頭を浮かさず、帽子のツバがボール方向を向いたままインパクトしています。

ワキ、ヒジ、胸、ツバがいつも同じ形を作れているから再現性が高い。インパクトのときのシャフトの角度をバックスイング(写真02)と比較したときに180度反転しているのも理想的。今の日本女子ツアーでトップクラスの完成度で、アマチュアが参考にするべきスイングです。

インパクトの瞬間に左腕が見えるのが理想的。
「コンパクトなバックスイングで無理に体を捻っていない。飛距離よりも方向性を重視したスイング。本来はもっと飛ばせるポテンシャルを秘めています」(石井)

バックスイングですでに左足に荷重 左軸スイングでフォローを大きくして「ひと伸び」をプラス!


連続写真の撮影後に菅にスイングで意識していることを聞くと「足を踏ん張ること。左の太モモに力を入れる感じで打っています」と語っていた。

トップでは左足7対右足3

菅選手本人が言っているようにトップでは左の太モモに張りがあって力が溜まっています。スイングタイプとしては左軸で打つタイプ。バックスイングの途中から左足に荷重して、トップでは左足7:右足3くらいの割合になっています。ドライバーショットでも左軸をキープしたまま打っているのでアッパー軌道というよりはレベルブローに近い。写真を見てもわかるようにインパクトゾーンが低くて長く保たれているのも再現性が高くなる要因のひとつです。アイアンショットに近いスイング軌道です。

アマチュアゴルファーは右軸になりすぎている人が多い。右軸スイング自体は決して悪いことではないのですが、右軸からさらに右に傾いてしまってあおり打ちになっている人が多い。そんなタイプこそ、菅選手のスイングが参考になるでしょう。

腕に力が入るとカット軌道になる

もう一つ菅選手が意識していると語ったのが「フィニッシュをしっかりとること」。菅選手はバックスイング、トップはコンパクトなのですが、フォローからフィニッシュにかけては大きく体を回しています。フォローを大きくすることでボールに“あとひと伸びのパワー”を伝えることができています。

フォローを大きくする要因としては体の柔らかさもありますが、左軸になっているのもポイントです。右軸で体を回そうとしてもなかなか腰が回っていかない。菅選手は左軸になっているのでフォロー以降(写真06、07)では右腰が左足の上にあり、上半身を回しやすい姿勢になっています。

フォローを大きくしようとするときにアマチュアの方に気をつけてほしいのは、腕に力を入れすぎないこと。腕の力でフォローサイドを大きくしようとすると、どうしてもカット軌道になりやすい。菅選手は腕に余計な力が入っていないので、インサイド・アウトでドローボールが打てます。

右足に体重を乗せるのはテークバック直後の一瞬だけ。ハーフウェイバックの時点ですでに左足への荷重がはじまっている。
インパクトからフォローにかけて左腰の上で体を回して大きなフィニッシュにつなげている。


菅 楓華

すが・ふうか/2005年5月17日生まれ。宮崎県出身。昨年はツアー初優勝して、メルセデス・ランキング4位と大ブレーク。今季も「台湾ホンハイレディース」で優勝して、賞金ランキング1位、メルセデス・ランキング2位と好成績を残している。ニトリ所属。

解説:石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。