構えやすく狙いやすい、軟鉄鍛造の常識を超える打感の「T//WORLD TOUR V アイアン」

最初に試した「T//WORLD TOUR V アイアン」(以下TOUR V)はコンパクトかつスリムなブレードのハーフキャビティモデル。このアイアンを初めて手にしたテスター二人が目を留めたのは構えやすさだった。

鶴原 正真正銘のアスリートアイアンですよね。バックフェースはモダンなデザインになりましたが、昔からのHONMAの顔のよさはちゃんと継承されています。

鹿又 僕にはボールを包んでくれるような顔に見えて、押し込めるイメージがあります。でも、左に飛ぶような印象はない。プロや上級者がすんなり使える顔だと思います。

そして、今回のモデルチェンジの最大のトピックがHONMA独自のS15C軟鉄素材による「内柔外剛」構造。特殊な熱処理によって内部は軟らかいまま外側だけ剛性を高くしたヘッドは、軟鉄本来のソリッド&ソフトな打感と高初速&高スピンの切れ味鋭いショットを両立させているという。

鹿又 打感はすごく乾いたピュアな音がします。他のアイアンでは味わえない打感です。

鶴原 そうですね。ゆっくり飛ぶのに高音。ただやわらかいだけの打感は打ち応えがないけれど、「TOUR V」はきっちり手応えが伝わってくるので打っていて気持ちがいいですね。

シャープな見た目の割に難しさを感じさせないという点でも、2人の意見が一致した。

鹿又 ツアーモデルは最初右に出たりヘッドが返り過ぎて左に行ったりしがちですが、「TOUR V」は一発目から自分の思った方向に球が出ました。

鶴原 僕にはヘッドが少し重く感じられたので1打目は少し右に飛ぶかと思ったのですが、真っすぐ飛びました。ヘッド自体のつかまりはいいですね。

鹿又 バウンスが大きくて打ち込んだときの抜けがよく、構えたままのストレートな向きで当てられるからでしょう。HONMAらしく細部までよく作り込まれています。

鹿又 そう。やわらかさの中にほどよい弾きがあり、他のアイアンにはない唯一無二の打感だと思う。ロフトが32度(#7)で少しだけ立っているのから、飛距離を楽に出せてスピンもちゃんと入るところもいい。

「TOUR V」はアスリートゴルファーの求める構えやすさ、狙いやすさ、打感を兼ね備えたアイアンだった。

シャープに構えられるハーフキャビティ。前作よりもバウンス角が増えてダウンブローで打ったときの抜けがよくなった

T//WORLD TOUR V IRON

  • 素材/製法:S15C軟鉄 + 一体鍛造
  • 番手:#4〜#10
  • ロフト角:32度(#7)、45度(#10)
  • 標準シャフト:N.S.PRO MODUS³ for T//WORLD BLACK
  • 価格(税込・#6〜10):14万8500円(スチール)

シンプル・イズ・ベスト! 長く付き合えて上達を手助けしてくれる「T//WORLD Vx アイアン」

フルキャビティの「T//WORLD Vxアイアン」(以下Vx)も同じS15C素材を採用している。ロング〜ミドル番手のトゥ下にはタングステンウェイトを内蔵、ロフトは7番で30度の“ちょい飛び”仕様となっている。

鶴原が真っ先に指摘したのは構えやすさと打ち易さだ。

鶴原 見た感じは「TOUR V」がベース。ソールがやや幅広でトゥ下にタングステンが入っているので球が上がるしミスにも強くなっていますが、オフセットが少なめで見た目はカッコいいです。飛びと高さのバランスがちょうどいいロフト設定で、なおかつ直進性も高い。個人的に「Vx」は初代からすごく好きなアイアンですがモデルチェンジのたびにより打ちやすくなっていると感じます。

また、鹿又は素材に由来する打感のよさこそ最大の持ち味だという。

鹿又 ソリッドな高音と手に伝わるやわらかさを感じます。フェース面の剛性が高いせいか、キャビティでなおかつ素材自体がやわらかいのに当たり負ける感じがありません。一般的なS15Cと比べて摩耗に強そうなのでスピン性能も長持ちしそうです。

鶴原 飛び系キャビティによくある硬くて薄いフェースでパーンと弾く感じがありませんよね。「TOUR V」と相通じる気持ちのいい打感です。

さらに、作り込みでも「TOUR V」に負けていない。

鹿又 HONMAのアイアンだから顔がいい、打感がいいは当たり前。余計なギミックで主張することなくHONMAらしさを残してシンプルに作り込まれています。長く使うほど手に馴染んでいって自分のものになったときにはいつの間にか上達しているはずです。

鶴原 「TOUR V」の打感を備えながら、タングステン効果で少しやさしさもある。ある程度操作もできますし、上昇志向が強い人にぴったりなアイアンですよね。

鶴原も言葉を重ねる通り、「Vx」はスイングやゴルフを教えてくれるアイアンともいえる。

操作性と寛容性のバランスがいいキャビティモデルの「Vx」。ゆるやかなダウンブローで打ちやすいバウンス設定。オフセットは前作より抑えられシャープ感が増している。

T//WORLD Vx IRON

  • 素材/製法:S15C軟鉄 + 一体鍛造
  • 番手:#4〜#10
  • ロフト角:30度(#7)、42度(#10)
  • 標準シャフト:N.S.PRO MODUS³ for T//WORLD RED
  • 価格(税込・#6〜10):14万8500円

高弾道で距離を打ち分けやすい! やさしいのに狙える「T//WORLD Px アイアン」

最後に試した「T//WORLD Px アイアン」(以下Px)はS25C軟鉄鍛造ボディにクロムモリブデン鋼Lカップフェースを溶接(#5~#8)した複合モデル。ロフト設定は「Vx」と同じ32度(#7)だが、ポケットキャビティの深低重心設計により球が上がりやすく直進安定性も高い。

だが、ただやさしいだけのアイアンではないと鶴原は断言する。

鶴原 弾きの強いフェースですが、バックフェースのエンブレムが振動を吸収してくれているおかげか打感は悪くありません。前作は見るからにやさしいアイアンでしたが、このモデルは「TOUR V」や「Vx」とデザインの共通性があって、バッグに入れても中上級者向けモデルのような雰囲気。見た目を気にする人にもオススメです。

さらに鹿又も鶴原も「Px」が競技でも通用するほど精度の高いショットが打てるアイアンだという。

鹿又 ヘッドサイズも大きくないし、ソールもそれほど広くありません。けれど、球はすんなり上がります。やさしいから球が左に出るかと思ったら1球目から自分の思った方向に打てました。ミスヒットにも強くアマチュアにとっては一番実戦向きのアイアンです。

鶴原 番手間の飛距離差もやさしくきっちり出せるのが「Px」ですね。

鹿又 3モデルの中では、僕の本命は「Px」かも。

鶴原 いちばんやさしいモデルですが、印象はシャープですよね。アスリート志向でもやさしいアイアンを使いたい人にオススメしたいです。

軟鉄鍛造フレームとL型カップフェースの2ピースポケットキャビティ構造。球が上がりやすい深重心設計とオールマイティに使えるバウンス設定。

T//WORLD Px IRON

  • 素材/製法:S25C軟鉄+鍛造/クロムモリブデン鋼Lカップフェース+鋳造(#5~#8)・ES235フェース+鋳造(#9~#10)
  • 番手:#5〜#10
  • ロフト角:32度(#7)、42度(#10)
  • 標準シャフト:N.S.PRO 950GH neo/VIZARD IRON Lite
  • 価格(税込・#6〜10):14万8500円(スチール)、17万6000円(カーボン)

ターゲットに合わせて作り込まれたオリジナルスチールシャフト

HONMAが本気で作り込んだのはヘッドだけではなかった。ドライバーが50グラム台になり、セット全体が軽量化して、アイアンシャフトの主流も100グラム台となりこの重量帯の選択肢も増え続けている。ところがHONMAはそこに既存のモデルを当てはめるのではなく、TW専用モデルをシャフトメーカーと共同で開発したのだ。

「TOUR V」標準装着の「NS PRO MODUS³ TOUR for T//WORLD BLACK」(以下BLACK)は「MODUS³ 120」をイメージして軽量化したモデルだ。

鹿又 手元が粘る「BLACK」は芯に当てやすくて球筋を作りやすいシャフト。とくに高低の打ち分けがしやすいのが特徴ですね。

鶴原 はい。ダウンブローに打ちやすいシャフトなので「TOUR V」を選ぶユーザーとは相性がいいと思います。でも、ぼくだったら「Vx」にこのシャフトを入れたいです。

一方、「Vx」標準装着の「NS PRO MODUS³ TOUR for T//WORLD RED」(以下RED)は「MODUS³ 130」の軽量バージョンといっていい。

鶴原 「RED」は走り系なのでロフトが立っていても高弾道が打ちやすいシャフトです。

鹿又 センターの剛性が高く反応が早いシャフトなので手を主体に振る人でも当てやすくなります。

また、「Px」にはシャープなしなり戻りで飛び系アイアンのパフォーマンスを引き出す「N.S. PRO 950GH neo」と60グラム台カーボンの「VIZARD IRON Lite」が用意されている。

鶴原 ヘッドの特性やターゲットユーザーに合わせてシャフトをきちんと作り分けていますね

上から「TOUR V」の標準シャフトで粘り系の「MODUS³ BLACK」、「Vx」の標準シャフトで走り系の「同RED」、「Px」の標準シャフトは「N.S.PRO 950GH neo」、高弾道が打ちやすい。

どの「TWアイアン」を選ぶ? 鹿又と鶴原の出した結論

どのモデルも丁寧に作り込まれた「TWアイアン」。では3モデルの中からどれを選ぶのが正解なのか、二人のテスターの結論を聞いてみた。

鶴原 バリバリのアスリートなら「TOUR V」、「Vx」は上昇志向の人にちょうどいい選択、高い弾道で飛ばしたい人は「Px」がオススメです。

鹿又 ぼくも同意見ですが、3モデルとも自分の思った方向に出球が揃うので左右の球筋は気にせず選んでいいと思います。違うのは出球の高さで、「TOUR V」と「Vx」は打ち出しが低めでスピンが入って上昇していく球、「Px」は最初から高打ち出しです。

鶴原 「TOUR V」と「Vx」は割と近いけれど、「Vx」と「Px」はかなり差があるので迷うことはないでしょう。

最後に鹿又がカリスマフィッターらしいアドバイスで締めくくってくれた。

鹿又 それから、どれをとってもよく作り込まれています。ブレードの長さはさほど変わらないのにわずかなソール幅とバウンスの違いでモデルごとの特徴を出しているので、フィッティングせずにお店でパッと手に取って買っても満足できると思います。ですが、完成度の高いヘッドだからこそフィッティングを受けてほしいですね。シャフトのカスタムもできるのでパフォーマンスをさらに引き出せます。

今回、鹿又・鶴原両氏のインプレッションを受けて感じたのは、HONMAが単に“打感のいい軟鉄鍛造”を作ろうとしたわけではない、ということだ。

構えた時の安心感、抜けのよさ、狙った方向へ打ち出せる“ピンを狙える”アイアンとしての性能、そしてシャフトまで含めた一体感。そのすべてが、それぞれのターゲットゴルファーに向けて丁寧に設計されている。中でも印象的だったのは、3モデルとも精度の高いショットが打てるという共通点があること。アスリート向け、上昇志向、やさしさ重視とキャラクターは違っても、“狙えるHONMA”という軸はブレていなかった。

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