年齢を重ねると、今まで普通に打てていたクラブが打ちにくくなることがあります。

飛ばなくなった。当たらなくなった。振りにくくなった。そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。

そして、その原因を「筋力が落ちたから」と考える方も少なくありません。

「だから、軽いクラブに替える」という選択になります。

確かに、それは自然な考え方です。もちろん筋力の低下もあるでしょう。しかし実際には、それだけではありません。

年齢とともに柔軟性が低下すると、以前と同じような対応が難しくなってきます。

すると、これまで通りのタイミングでクラブを扱えなくなる。結果として、振りにくくなる→当たらなくなる→飛ばなくなる。

そんなことが起こります。

つまり、クラブを重く感じることは、原因そのものではなく、変化の一つの現れに過ぎないのです。

重く感じることは結果であって、原因ではない。だからこそ、重く感じるからシャフトを軽くする。という発想だけでは、根本的な解決に至らないことがあります。

シャフトを軽くすることのメリット、デメリット

では、軽いシャフトへ替えていくことのメリットとデメリットを考えてみましょう。

確かに軽いシャフトにすると、持った瞬間は軽く感じ、最初は楽に振り切れるので、ヘッドスピードも上がるかもしれません。飛距離が伸びる方もいるでしょう。

しかし、人間はその状態に慣れていき、軽く感じなくなる時が来ます。すると、最初に感じていた軽さや振りやすさは次第に薄れていきます。

そして、以前と同じようにはクラブが振れなくなる。

タイミングが取りにくくなる。以前より当たらなくなった。そして飛ばなくなった。ということが起こりえます。そしてさらに軽いシャフトへ。そんな悪循環に入ってしまう方も少なくありません。

なぜ、軽いシャフトが、軽く感じなくなるのか?

実は、シャフトを軽くすると、振り重くなり、タイミングが取りにくくなることがあります。

もちろん、物理的な重量は軽くなっています。しかし、人間が感じているのは重量そのものではありません。

感じているのは「振り感」です。

シャフトを軽くすると、クラブ全体の重心は相対的にヘッド側へ移動します。つまり、クラブの重心が体から遠くなる。すると、持った時は軽い。しかし振ると重い。

そんな現象が起こることがあります。

これを始動で感じる方もいれば、スイング中に感じる方もいます。感じる場所は人それぞれですが、シャフトを軽くしたのに、振り感は重くなっている。そんなことは決して珍しくありません。

重さの感じ方にはいろんな要素がある

ここで注意したいのは、

この話は、いわゆるスイングウエイトの話だけではないということです。

シャフトを軽くして、ヘッドに鉛を貼り、スイングウエイトを元に戻せば解決する。

そういう単純な話ではありません。実際のクラブの重さの感じ方には、

シャフト重量や硬さなどの特性。ヘッド重量。長さ。重心位置。

それらすべてが影響します。

つまり、人が感じているバランスと、測定器が示すスイングウエイトは必ずしも一致しません。数値上は同じでも、振り感は全く別のクラブになっていることがあります。

さらに、軽いシャフトにする目的は、その軽さを利用してヘッドスピードを上げるという考え方です。

しかし、ここには一つの矛盾があります。

本来、軽いシャフトのメリットを活かすためには、ヘッドスピードを上げる必要があります。

そもそもクラブを重く感じるようになった方は、以前のように振れなくなってきている方です。

にもかかわらず、軽いシャフトのメリットを活かそうとすると、以前よりもっと速く振らなくてはならなくなります。

つまり、振れなくなったから軽くしたのに、さらに振らなくてはならなくなる。

そんな矛盾が生まれることがあります。

ですが、すでに軽いシャフトへ替えてしまっている方も多いでしょう。

そして、すでに「以前より振れなくなった」「タイミングが取りにくくなった」

という方は、どうすれば良いのでしょうか。

もう軽いシャフトにしてしまった人は?

そのような時に試していただきたいのが、クラブを短くすることです。

クラブを短くすると、クラブの重心は体に近づきます。すると、実際の重量は変わらなくても、振り感は軽くなります。取り回しが良くなる。タイミングが取りやすくなる。

結果として、以前のように振れる感覚が戻ることがあります。

そして、この効果は、軽いシャフトの方ほど大きいと考えています。

軽いシャフトほど、クラブ全体の重心が相対的にヘッド側へ寄りやすいからです。さらに、その長さに慣れてくると、重いシャフトへ戻しやすくなることもあります。

長さで振り感を整える。

その上で、本来のタイミングに近い重さへ戻していく。そのような順番の方が、無理なく改善できるケースも少なくありません。

では何を軽くする?

ここまで読むと、

「では年齢とともに何を軽くすれば良いのか?」という疑問が出てくると思います。

その答えの一つが、ヘッド重量です。

年齢とともに柔軟性や筋力が低下し、以前と同じようにクラブを扱うことが難しくなる。その結果としてクラブを重く感じるようになる。しかし、その時に真っ先にシャフトを軽くすると、タイミングそのものが変わってしまいます。

本来見直すべきものは、シャフトだけではなく、ヘッド重量や長さです。

そして、もちろんクラブ全体の流れ。そういったものを見直すことで、タイミングを大きく崩さずに振り感を軽くできることがあります。

年齢とともに変えるべきもの。

年齢とともに残すべきもの。

それを見極めることが、長くゴルフを楽しむためには重要です。そして、シャフトの重さは、実はできるだけ残したいものの一つです。

なぜなら、シャフトの重さは単なる重量ではなく、タイミングそのものに影響するからです。

年齢を重ねたから軽くする。ではなく、年齢を重ねたからこそ、タイミングを失わない。そして、シャフトを軽くすることではなく、振り感を軽くすること。

その視点が、これからのクラブ選びには必要なのではないでしょうか。

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。

シャフトを軽くしても解決しないことがある