高く強い弾道で飛距離を稼げる「Px」

2026年版「T//WORLD(ツアーワールド) アイアン」のラインナップは、軟鉄鍛造フレームとL型カップフェースから成る2ピースポケットキャビティ構造の「Px」、キャビティバックの「Vx」、ブレードアイアンの雰囲気を醸すセミキャビティの「TOUR V」の3種類で、それぞれに異なる打感とターゲット層に向けて作られている。今回はプロ、アマチュアともに各モデルの7番アイアンを試打してもらった。

まずは内海のインプレッションから。最初に打ったのは「Px」。5番から8番は、クロムモリブデン鋼の高強度Lカップフェースに軟鉄鍛造ボディを組み合わせた2ピース構造(9、10番はフラットフェース)。ミスヒットをカバーする偏肉構造と相まって、2ピース構造らしからぬシャープな顔立ちながら、高い飛距離性能と寛容性を併せ持っている。振動吸収材を兼ねたエンブレムの効果で生まれる打感の良さも売りだ。

「Pxの7番はロフト30度。アドレス目線で見るとトップブレードにやや厚みがあり、視覚的にやさしさと安心感を与えてくれます。間近で見るとヘッドが大きく見えたのですが、構えてみるとそれがなくなりスッキリとした印象で、とても構えやすいです。打感は2ピース構造特有の淡い感触ですが、ボールが強く反発して初速が出ている感じが手に伝わってきます。打球が上がりすぎるかもしれないと危惧していましたが、実際に打ってみると高めながら強い弾道が出て飛距離を稼げました。タテの距離がマチマチで不安定な人や、飛距離を求めたい人にはもってこいのアイアンです」(内海)

試打解説:内海大祐(うつみ・だいすけ) ツアープロとして活躍した後、ティーチングの道へ。現在は千葉県松戸市・オールデイゴルフ馬橋店にてレッスン活動をおこなっている。

ソフトな打感ながらもボールをしっかり飛ばす反発性能を備えた「Vx」

次に打ったのは「Vx」。高純度軟鉄の素材S15Cを一体鍛造。さらに独自の熱加工を施して外殻剛性を高めている。これにより軟鉄ならではのえもいわれぬ打感と、ボール初速、スピン性能が三位一体となり、王道のキャビティバックとしてさらにパワーアップした。

「キャビティバックのVxアイアンのロフトは30度。ヘッドがやや小ぶりでシャープです。上級者好みでちょっと手強く見えますが、構えてみるとトップブレードに適度な厚みがあります。個人的には薄いものよりやや厚みがある方が好きなので、その意味では非常に好印象で安心できますね。打ってみるとPxとは全く異なる軟らかな感触が手に残ります。フェース面にボールが乗る感じで球持ちの良さがあり、ソフトな打感ながらもボールをしっかり飛ばす反発性能を備えています。球も上がりやすくキャリーもしっかりと出ました。打感の良さを重要視するゴルファーはレベルを問わず満足できると思いますね。マッスルバックのアイアンだと敷居が高い人にはジャストフィットですが、100切りを目指すゴルファーでも使える。非常に幅広い層が長く付き合っていける万能型です」(内海)

トゥ側をえぐるキャビティバック形状にしたのは、重心距離を短くして球をつかまりやすくするため。前作に比べてオフセットが減って重心角が増えている。4~8番のトゥ側にはタングステンウェイトが内蔵されているが、こちらは直進性を高めつつ、高弾道の球を打つための配慮。見た目はシャープで精悍ながら、打ってみるとやさしさ満載といったところか。

適度にシャープで難しさを感じさせないセミキャビティの「TOUR V」

最後は「TOUR V」。ヘッド素材と加工は「Vx」と同様なので、気持ちのいい打感と初速の速さとスピン性能は前作を凌駕。操作性にすぐれたセミキャビティバックとなっているが、そこに寄与しているのがバウンス設計とソール形状。前作からバウンスを増やし8度にしたことで、ダウンブローに打つゴルファーでも振り抜きの良さを実感できるとともに、ミート率も高くなっているという。一方、ソール形状はリーディングエッジを落とした独自のCソールを採用。ちょっと上から入ってもソールの効果で地面に刺さらない。

「ブレードアイアンのようなシャープさもありつつ、難しさを感じさせない顔をしています。ロフトは32度、見た目は小顔でとてもシャープ、グースがないので、特にボールがつかまりすぎて左へ飛ぶミスを嫌うゴルファーに安心感を与えてくれます。トップブレードはアスリートモデルらしい薄さですが、構えるとキレッキレという感じではなく程よい厚みがあります。ナーバスになりすぎない絶妙な顔立ちといったところですね。芯でボールをとらえた時の打感はソフトで極上ですが、オフセンターヒットした際にはダイレクトにエラーが伝わり、良くも悪くも自分のスイングの結果が打感と弾道に反映されるシビアさがあります。フェースの重心位置が高いですから、シャローに振るとトップ気味の薄い当たりになり、球が上がらず飛距離をロスします。しっかりダウンブローで打つことで初めて最高に滑らかな打感が得られ、スピンのかかった高弾道の球が生まれます。ダウンブローで打ち込める技術があり、スイング操作やスピンコントロールでグリーンにボールを止めたい上級者やアスリート向けのモデルと言えるでしょう」

「TOUR V」の解説でも触れたが、今回のシリーズは、7番アイアンで「Px」が4.5度、「Vx」が5度、「TOUR V」が8度といったように、ヘッド別にバウンスが最適化されている。これによりリーディングエッジの刺さりが抑制されるため、ユーザーそれぞれの入射角に合ったモデルを使った場合のメリットが爆上がり。ショットの再現性が高まるとともに、そのクオリティアップも期待できる。

シャフトはシャフトメーカーと共同開発したTW専用モデル。「TOUR V」の標準は粘り系の「MODUS³ BLACK」。「Vx」の標準は走り系の「同RED」、「Px」の標準は「N.S.PRO 950GH neo」で高弾道ながら吹けない球が打てる。

メーカーが設定したターゲット層に3つのモデルがしっかりハマった

続いてはアマチュアのインプレッション。3つのモデルを好きなだけ打ってもらい、お気に入りのモデルを選ぶというスタイルでテストしてもらった。

「3つとも構えた時の見た目はほぼ変わりませんが、やはりTOUR Vがカッコいいですね。芯を食った時の打感が抜群に気持ちいいです。Pxも打ちやすくて飛ぶので悪くないけど、やっぱりTOUR Vの打感にシビれます」と言うのは渡辺誠さん(53・下写真右)、「ちょっと見栄も張れるし」と笑う。川口昌彦さん(46・下写真左)も「TOUR V」の打感がお気に入り。「3つの中では一番打感がいいですね。打ってから顔を上げたところにボールがあったのもよかった。打球の上がり方がイメージ通りでした。トップラインが薄めで構えた時に目標を向きやすいところも好きです」。ともに平均スコアが80台前半のお二人。打感については譲れないといったところだ。

「ずっとマッスルバックを使っている」と言う伊東巨樹さん(53・下写真)も「TOUR V」を支持。「セミキャビティですがスッキリとシャープなヘッド。ストレートネックで構えやすいです。打感もいいし、打ち込んでもちゃんと抑えが効いて、強く前に飛ぶ直進性の高い球が出ます。これ一択かな」

「TOUR V」の打感の良さを挙げる人は多かったが「こういうアイアンを打てるようになりたい」というアベレージゴルファーもまた多かった。

となると「Vx」や「Px」の出番ということになるが、「フェースに球が乗る感じがありました。見た目も好きだし打感もいい。これから長く使っていけそうです」と「Vx」をイチ推ししたのは仲村成昭さん(68・下写真)。「身長に合わせてライ角を調整し、シャフトも軽量に替えたらもっといいかも」と声を弾ませた。

「Vx」と「Px」、どちらがいいか迷っていたのは黒野浩太郎さん(63・下写真)。「どちらも気にならない程度にオフセットで、トップブレードの厚みも程よいので、構えた時にすごくやさしい感じがします。飛距離が出るのはPxですが、打感が好きなのはVx。どちらも捨てるには惜しいので迷いますね」とのことだった。

長年HONMAのアイアンを愛用している龍野浩寿さん(61・下写真)も「Vx」と「Px」のやさしさに驚いた口。「Vxは見た目がちょっと難しそうですが打ってみると意外にやさしい。球が上がりやすくて振り抜きも良かったです。Pxはそれ以上に楽で飛びますね。打感は2ピース構造っぽいですが、これはこれであり。実を取るならPxでしょうか。ずっと使っているせいもありますが、やはりHONMAのアイアンはいいです」と改めて礼賛した。

3モデルそれぞれに「球が上がりやすい」という感想も多く聞かれたが、「TOUR V」と「Vx」については「出球が低めでギューンと上がるスピン系」、「Px」は「打ち出しから高い球」との印象をもった人が多かった。テスターにはハンディキャップ、あるいは平均スコアを申告してから打ってもらったが、アベレージゴルファーは「Vx」か「Px」、シングルを目指す層には「TUOR V」が人気で、メーカーが意図したターゲット層にバッチリとハマっていることがわかった。

上級者向け、上昇志向、やさしさ重視とキャラクターの違う3モデルだが、アドレス時の収まりの良さがもたらす安心感、振り抜きの良さ、狙った方向へ打ち出せる性能はどれも共通。見た目のカッコよさから入ってもセレクトを間違えず、全てのレベルで欲しいものが手に入る、アマチュアにとっては願ったり叶ったりのアイアンと言えそうだ。

◼️HONMA T//WORLD IRON 公式ページ