よく、お客様から
「フィッティング中は何を見ているのですか?」と聞かれます。
スイングですか? クラブの動きですか? ラウンチモニターのデータですか? などです。
もちろん、それも確認していますが、実際には、クラブをお渡しした瞬間からお客様の一挙手一投足を見ています。
クラブをお渡しして、持ち替えた時の雰囲気や、その時の最初の一言。
そして、構えた時の様子、ワッグルの仕方、始動までの動きや、バックスイング、切り返しの間など。その上で、インパクト音やボールの飛び方を確認します。
もちろん、ご本人のご感想も非常に重要で、そのすべてを見ています。
クラブスペックはその前に、よーく聞いておきます。長さ、ライ角、重さなどの数値上の確認も重要ですが、本人がどう感じているのかを、気にします。長く感じている、硬く感じている、重く感じている、などです。
そして、実際に、お客様のクラブを構えさせていただき、確認をします。「どういう意味」で、そういったクラブに対する感想を持たれているのかを予想しておきます。
クラブスペックを見ることは現在の状態を把握するため
30年以上フィッティングを続けていると、お客様のクラブのスペックや実際に触れた段階で、お客様のお悩みの真意はなんとなく見えるようにはなってきました。
というのも、現在のクラブは種類が多くお悩みも多種にわたると考えがちですが、実際には似たような特性のものが多く、経験則としてのパターンに当てはまる場合が多いからです。
ですから、クラブスペックを見ることは答えを探すためというよりも、現在どのような状態なのかを把握するためだと考えています。
その後に、ようやく、実際にクラブを振っていただきます。ここからが本来のフィッティングのスタートです。ただし、クラブそのものをじっくりと見ているのではありません。
そのクラブをどのように使っているか?(振っているか?)
そこを観察しています。
動きの特徴ですね。上述しましたように、渡した瞬間から、人は反応して、そのクラブをどう扱おうか考えてらっしゃいます。(実際に考えている、というより体が反応している)
そして、ミスした時などは、どういう時にそれが出やすいのか? そのクセはどんな癖なのか?そして、その癖の原因は何なのか?
その時に、基本的にはクラブが起因でその現象(ミスショットなど)が出ていると仮定して、原因を探ります。
クラブスペックはある程度頭に入れていますので、予想をしながら対処しているといってもいいでしょう。
そのうえで、シャフトを変えるべきなのか?長さを変えるべきなのか?
ライ角やロフト角を変えたら?グリップを変えたら?と予測しながら、試打クラブを渡していきます。
そして、そのクラブに対す変化に対して、お客様がどういう反応(どういう結果の変化)が出るのかを確認しながら、フィッティングを進めていきます。
もちろん、その反応は前に渡したクラブによって結果は変わってきます。変わらない方もいらっしゃいます。
しかし、たとえそれが小さい調整でも共通していることがあります。
人は必ず反応しているということです。
その反応が大きい方もいれば、小さい方もいます。同じ調整をしても、まったく違う結果になることも珍しくありません。スペックが変わる方向と、反応する方向、そこを見ています。
わからない変化こそ許容範囲
お客様からよく言われる言葉の一つに、
「変わったかどうか分かりません。」
と言われることがあります。
お客様としては、わからないことを申し訳なさそうにおっしゃいますが、私は、その言葉を聞くと逆に嬉しくなります。
なぜなら、その変化は、この方にとって許容範囲であるということがわかるからです。
今回お渡ししたクラブスペックや、調整内容は、その人にとって対応可能な範囲ですよ!と宣言していただいたように考えます。
もちろん、人は1gでも2gでも反応しています。が、その変化が自然に吸収できているだけだと考えます。
逆に、
「重くなりました?」
「長さかわりました?」
など正直な反応が出たら、それはすごく重要な情報になります。
当方の調整では、ゴルフクラブのスペックの変化量としては、目で見える範囲で大きく変えないことが多いです。
長さも数センチ以下。重さも数グラム以下。ライ角も1~2度以下です。
その限られた調整の中で、その方が自然に反応して、自然に改善方向に向かうことを目指していきます。その少し変えるだけでも、大きく反応を示す人もいらっしゃいます。
ですから、どんなに小さい変化量でも、その人にとっては変化が起きすぎたとういことになるので、その場合、戻すこともあります。
だからこそ、一つひとつの変化を丁寧に観察し、結果を整えて行くことに細心の注意を払っています。
つまり、フィッティングとは、実は、クラブを変えることも含めて、そのスペックが、その人にとって自然にゴルフができる状態になるように、いい塩梅を探していく仕事だと思っています。
クラブも見ますし、スイングも見ます。インパクト音も聞きますし、球筋も見ます。
そして、コメントも聞きます。
しかし、それらを一つひとつ別々ではなく、因果関係をしっかり見極めて、調整につなげていく、ということを行っています。
繰り返しになりますが、同じようなスペックの変化であっても、人が違えば反応は違いますし、過剰に反応する人、少ししか反応しない人がいます。
その様々な変化を、状況状況によって合わせることが、本当のフィッティングだと思っています。
それを、こういった流れのことを僕は調律と呼んでいます。
スイングとクラブの調和を取る、という意味合いでご理解いただけると嬉しいです。
そして、単体だけで見て行ってもクラブとしては機能しないでしょう。
こちらで再三申し上げているように、つながりが重要になってきます。
調整前後のクラブだけではなく、実際にコースの様にクラブを持ちかえれば、そのスペックの違いで、人は反応しています。
ドライバーを持てば長いなと思いますし、ウェッジを持てば短いし重いな、と思うのは当然です。
ですが、それが、その人それぞれのクラブを制御できる許容範囲内に収まっていれば、ティーショットドライバーを打って行って、セカンドショットでウェッジを握ったとしても、ナイスショット出来るはずなのです。
それを、ざっくりと、つながりと呼んでいるわけです。
どこまで、お客様が変化に対応できるのか?そのあたりを見極めながら、まずは単体のクラブでシャフトを変え、長さを変え、ライ角やロフト角を調整し、時にはグリップも変える、その上で、全体のつながりも同様に整えていく、ということやっていくのが当方のフィッティングとなります。
クラブとの調和、皆さん取れていますか?

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。











