マイクラブで出なかったバンカーから「FR-3」で打ったら全部出た!

百聞は一見に如かず。まずは上妻さんにマイクラブでバンカーショットを打ってもらった。状況はピンまで20ヤード、まあまあアゴ高で砂はやや硬め、ライは良好のガードバンカーだ。結果は打球が上がらずボールがアゴに当たって打ったところに逆戻り。脱出できた球もあったが、ことごとくショートで、バンカーすぐ上のラフにすっぽり入ってしまった。

先入観が入る前にと、間髪入れず「FR-3」(ロフト58度)を手渡し、同じ状況から打ってもらったところ、これが驚き。1発目から脱出に成功、5球打った中ではホームランが1発あったが脱出という意味ではコンプリート。ホームラン以外は全てグリーンをとらえた。

上妻さん曰く「打ち方はマイクラブの時と変わっていません。というか、変えられません。で、同じように砂にクラブが刺さるだろうと思ったら、ヘッドがポンッと前に飛んでくれたんです。1球目は低い球でしたが、それでも出たので2球目からも同じ調子で打ったらポンポン出た。かなり手前にヘッドを入れてもリーディングエッジが刺さらず、スパーンと抜けてくれました。クラブに推進力があって全然ダフりません。ホームランせず、砂さえ打てればグリーンに乗ります。結構寄ったりもして、すごく楽しいです!」と喜色満面。確かに「FR-3」では打ったあとに突っかかる仕草が一度も見られなかった。

なぜ「FR-3」はバンカーで刺さらない? キャニオンソールの秘密

マイクラブで打った時とはまるで別人になった上妻さん。なぜこんなにもあっさりと変身できたのか。石井に聞いてみた。

「バンカーから打つ時、アマチュアの方は“上から打ち込め”とか“バウンスを使え”と言われますが、やっているつもりでもうまくいきません。これはほとんどの場合、バウンスを正しく使えず、リーディングエッジが砂に刺さってしまうから。上妻さんもそうでした。ところがFR-3を使うと、砂に刺さったヘッドが下まで潜らず、前に向かって弾かれるように抜けていきます。この突っかかり感のない挙動が、上妻さんが驚いた“推進力”の正体です。上から厳しく突き刺してもヘッドがスパーンと抜けていくため、ダフりに対する恐怖心が根本から解消され、安心して手前の砂を打てるようになったのです」

バンカー専用を謳うウェッジの多くはソール面積の広さが売りだが、広ければ広いでソールが跳ねるリスクを抱える。もとより砂に刺さってしまえばそれまでだ。そんな問題を一気に解決したのが「FR-3」のソール中央にある渓谷、キャニオンソールだ。

「バックフェースからソールにかけて中央部が凹んだ独自の形状がキャニオンソール。リーディングエッジが砂に入り込んだ後、中央の凹みとその後ろ側にある肉厚なバウンスが浮き輪のような支えとなり、クラブがそれより深く潜り込むのを防ぎます。奇しくも上妻さんが言ったように、ホームラン以外はすべて合格。手前の砂に思い切ってヘッドを落としてもソールが滑ってくれますから加減する必要がない。ボールの5~10センチ(ボール約2~3個分)ほど手前からヘッドが入っても、問題なくバンカーから脱出できます」(石井)

キャニオンソールと聞くと、強烈なヘッドの推進力をもつ「DJ-6」のグランドキャニオンソールを思い出すが、「DJ-6」ではソールが主張しすぎると感じる人もいた。そこで「FR-3」では渓谷を浅めにしてフロントからバックソールへの繋がりを滑らかにしたという。結果、フロントソールのロウバウンス効果とバックソールのハイバウンス効果が見事に融合し、バンカーでは無敵のウェッジが誕生したというわけだ。

「FR-3」ならボール位置を左寄りにしてスクエアにアドレスすればOK

紹介が前後したが、上妻さんが「FR-3」を打つ前に、石井がアドバイスしたことがあった。それは、「マイクラブでやっていたように、フェースを大きく開いてオープンスタンスに構え、上から極端に打ち込まなくてOK。ターゲットに対してスクエアに構え、普通のハーフスイングのように、砂をシュッと前に飛ばすイメージで振り抜いてください」というもの。

また、「ボール位置は左足寄りが正解。プロがバンカーでボールを左側に置くのと同様に、FR-3でもボールを少し左寄りにセットするのが効果的です」と進言した。これはボールを真ん中あたりに置き、無意識に上から打ち込みにいっていた上妻さんを見てのこと。案の定ヘッドが手前から自然に滑り込みながらボールを拾い上げることができた。

さらに、試打の最中にはキャニオンソールの機能やバウンスのボリュームを体感できる効果的な練習法も提示してくれた。やり方は簡単で、右手一本で「FR-3」を持ち、そのまま砂を払うように、クラブを上げ下ろすだけだ。

「この右手素振りをやると、ソール面の後ろ側にあるボリュームを実感できます。ソール中央が削られているからこそ、後ろ側のバウンスが地面に“ベタッ”と、面として当たっている感覚が手に伝わります。この“上げて下ろすだけ”のリリース感覚をそのまま両手で再現し、砂をピンまで届かせるつもりでゆったりと振り抜くだけで、ヘッドが自動的に仕事をして球を上げてくれます」(石井)

さっそく上妻さんも実践したが、「なるほど自分のウェッジと比べると感触がまったく違います。ヘッドが砂に落ちてもソールが滑ってくれる、ちょっと不思議な感覚がありますが、こうなるからこそヘッドが前に行って砂ごとボールを押し出してくれるんだなぁ、と実感できますね」と納得の様子だった。

「FR-3」だと右手だけでバンカーから出せるようになった上妻さん。

フォーティーンらしい顔と打感、高いスピン性能も健在

バンカーショットが劇的にシンプルになったため、その機能にフォーカスしすぎた感があるが、そこはフォーティーンの力作。顔つきや打感など、ウェッジとしてのアイデンティティも確立されている。グリーン周りからのアプローチにおいても、キャニオンソールが本領を発揮し、ミスを大幅に抑制していた。

「バンカー以上にソールが滑るのを感じて全然ダフりません! バンカーではホームランでしたが、アプローチはトップだけ気をつければいい感じです。おまけにスピンもしっかり入ってくれますからピンまでの距離感で打てばいい。バンカー周辺の芝がない、通常なら絶対ミスになるライでも、ダフってOKのつもりで打ったら難なくグリーンに乗りました」(上妻さん)

打感については「TB-3 FORGED」の多面シアターブレードを踏襲してインパクト時の振動を抑えているため、鍛造ヘッドならではのソフトな打感を味わえる。一方、スピン性能に貢献しているのはハイスピンミラー鍛造。フェースの平面精度の高さに加え、ルールギリギリの溝エッジにレーザーミーリングをプラス。多種多様なライはもちろん、ウェットコンディションでも安定したハイスピンショットが打てる。

「機能特化型のいわゆる“お助けウェッジ”の中には、極端にワイドなソールや、バックフェースを隆起させるなど、見た目の違和感が強いモデルも少なくありませんが、FR-3にはそういった異形感はなく、伝統的な“フォーティーン顔”を踏襲しています。構えた時の見た目がオーソドックスで、ほんの少しついたグースがボールを包み込むような安心感を与えてくれます。

一般的なウェッジよりヘッドサイズが半回りほど大きめですが、これによってもアドレス時の安心感がプラスされます。トゥ側の面積が広く確保されていますから、フェースを開いてロフトを寝かせたいシチュエーションでもトゥ側の面を有効に使えます。打った瞬間のフィーリングは非常に気持ちよくて打感がボヤけません。金属でしっかりボールをとらえている手応えがあり、打球音もいいですから、距離感が合わせやすいと思います。もちろんフォーティーンの代名詞である高いスピン性能も健在。ソールの面全体がペタッと接地して滑るため、多少トゥ側、ヒール側、に打点がズレても強烈なスピンが安定的にかかります」(石井)

2023年から「FR PROJECT」(FOURTEEN REVOLVE PROJECT)の下、スピンウェッジの先駆にふさわしい新たなスピン性能を追求しているフォーティーン。今後はプロジェクト名を冠した「FR」のもと、アスリート志向の「7」(現FRZ)、スタンダードな「5」、やさしさを追求した「3」という具合に、エンドユーザーが番号で性能を把握できるモデルが順次展開されるということ。楽しみは膨らむ一方だ。

「FR-3」ウェッジ

  • ヘッド:S20C 軟鉄鍛造(超高精度・ミラー鍛造スコアラインフェース)
  • 仕上げ:パールサテン仕上げ、ダイヤモンドブラックサテン仕上げ
  • シャフト:
  • N.S.PRO DS-91w(WEDGE/96g)
  • N.S.PRO TS-114w_Ver2(WEDGE/125g)
  • FT-62w_Ver2(WEDGE/65g)・FT-52w_Ver2(WEDGE/55g)
  • 希望小売価格:3万800円 / 本(税込)

フォーティーン「FR-3」ウェッジ公式ページ